家族って、そういうものなんだろうなって思った。
夏祭りの翌日。
家の中には、まだ少しだけお祭りの匂いが残っていた。
テーブルの上には、食べきれなかった綿あめ。
金魚の小さな水槽。
そして――
ソースがついたままの結愛の浴衣。
「なんでこんなにつくの……」
唯ちゃん、苦笑い。
結愛は、金魚をじーっと見つめていた。
「きんぎょさん、おなかすいてるかな」
優月が優しく教える。
「まだごはんちょっとだけだよ」
なんだか、本当にお姉さんになった。
その日の午後。
突然、空が暗くなった。
ゴロゴロ……。
雷。
結愛、即フリーズ。
「きた……」
数秒後。
ピカッ!!
「ひゃぁぁ!!」
僕へ飛びつく。
完全にコアラ。
優月は平気そうな顔をしていたけど、少しだけ僕の近くへ寄ってきた。
外では大雨。
窓を叩く音。
停電しそうなくらい暗い空。
その時――
バチン。
電気、消えた。
家の中、一瞬真っ暗。
「きゃあ!?」
結愛、半泣き。
唯ちゃんは、すぐ懐中電灯を探しに行く。
僕は、結愛を抱っこしながら言った。
「だいじょうぶ」
優月も、小さい声で言う。
「へいきだよ」
数分後。
懐中電灯とランタンで、リビングがぼんやり明るくなった。
すると。
なんだか急に、“秘密基地”みたいになった。
結愛、少し元気復活。
「きらきら!」
優月も、ランタンの光を見ながら笑った。
唯ちゃんが言う。
「せっかくだし、停電パーティーする?」
子どもたち、大喜び。
結局。
みんなで床に座って、お菓子を食べながら話すことになった。
テレビもない。
スマホもあんまり見ない。
ただ。
みんなの声だけがある。
優月が、小さく言った。
「なんか、キャンプみたい」
僕は頷く。
「たしかに」
その時。
結愛が突然。
「こわいおはなしして!」
なんで!?
僕と唯ちゃん、顔を見合わせる。
優月はワクワクしてる。
結局。
僕が話すことになった。
「むかしむかし――」
数分後。
結愛、僕にしがみつく。
「むりぃ!」
言い出した本人。
優月は、お腹抱えて笑ってる。
唯ちゃんなんて涙出てる。
でも。
そんな風に笑っているうちに。
外の雷も、少しずつ遠くなっていった。
しばらくして。
ぱっ。
電気が戻る。
部屋が明るくなる。
結愛、ちょっと残念そう。
「おわっちゃった」
僕は笑う。
「楽しかった?」
結愛、元気よく頷く。
「うん!」
優月も、静かに笑っていた。
その夜。
寝る前。
優月がぽつりと言った。
「停電って、ちょっといやだけど」
「うん?」
「みんなでいると、なんか楽しかったね」
僕は、その言葉に静かに頷いた。
不便なことも。
予想外のことも。
一緒に笑えたら、思い出になる。
きっと。
家族って、そういうものなんだろうなって思った。




