「これ、ぜったい未来でみたら笑うね」
六月。
雨の季節がやってきた。
窓の外では、しとしと雨。
家の中には、洗濯物。
そして――
退屈した子どもたち。
「たいくつー……」
結愛、床でごろごろ。
優月もソファで伸びている。
僕はコーヒーを飲みながら笑った。
「なんかしようか」
すると。
唯ちゃんが、ふと思いついた顔をした。
「じゃあ、“おうち映画館”やる?」
子どもたち、即復活。
「やるー!!」
数十分後。
リビングは、完全に映画館になっていた。
カーテン閉める。
クッション並べる。
ポップコーン作る。
結愛は、チケット係。
手作りの紙を配ってる。
『ぺんぎんえいがかん』
謎テーマ。
しかも。
僕だけ入場時に聞かれる。
「ぷりんありますか?」
「ありません」
「じゃあはいっていいです」
基準厳しい。
上映開始。
みんなで並んで座る。
部屋を暗くして、映画を見る。
でも。
途中から、結愛が映画よりポップコーンに夢中。
優月は、真剣に見てる。
唯ちゃんは、いつの間にか子どもたちを見て笑ってる。
僕は、その横顔を見ながら思う。
こういう時間って。
なんでこんなに愛しいんだろう。
映画が終わる頃には、外はもう夕方だった。
雨の音が少し静かになっている。
その時。
優月が突然言った。
「ねえ、みんなで映画つくりたい!」
僕たち、きょとん。
「映画?」
優月は目を輝かせる。
「家族のやつ!」
結愛、即参加。
「ぺんぎんだす!」
ということで。
急遽、“家族映画制作”開始。
優月が監督。
結愛が主演。
僕は――
「ぱぱはころぶ役ね!」
「役じゃないのよ!」
もう運命だった。
撮影スタート。
結愛がペンギンと冒険する話らしい。
でも。
途中で転ぶ。
僕も転ぶ。
なぜか唯ちゃんまで笑いすぎて転びそう。
家の中、大騒ぎ。
スマホの動画には。
ぐちゃぐちゃな映像と。
笑い声がいっぱい入っていた。
でも。
それが、なんだかすごく良かった。
夜。
完成した“映画”をみんなで見る。
内容はカオス。
ストーリー意味不明。
途中で結愛、お菓子食べてるだけ。
でも。
家族全員、涙出るほど笑った。
上映後。
優月が満足そうに言う。
「これ、ぜったい未来でみたら笑うね」
僕は頷く。
「絶対笑う」
唯ちゃんも、優しく笑っていた。
「宝物だね」
その言葉に。
僕は静かに頷いた。
完璧じゃなくていい。
ちゃんとしてなくてもいい。
こうして。
くだらないことで笑える時間が、きっと一番大事なんだと思う。
その時。
結愛が突然。
「つぎは、ぷりんのえいが!」
まだ続編作る気だった。
家族全員、大爆笑。
雨の日だった。
でも。
家の中は、晴れていた。




