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「物はなくなっても、“大事だった気持ち”は残るんだよ

キャンプから帰った数日後。


家の中では、“ある事件”が起きていた。


原因――


結愛のペンギンぬいぐるみ行方不明事件。


「ないぃぃ!!」


朝から大騒ぎ。


結愛、半泣き。


お気に入りの大きなペンギン。


寝る時も一緒。


ご飯中も近く。


ほぼ家族。


それが消えた。


優月も真剣。


「さがそう!」


僕と唯ちゃんも総動員。


ソファの下。


ベッドの隙間。


車の中。


どこにもない。


結愛、だんだんしょんぼりしていく。


「ぺんぎんさん……」


その姿を見ていた優月が、突然立ち上がった。


「探偵する」


名探偵優月、爆誕。


ノートを持ってくる。


「さいごにみたのは?」


結愛、真剣に考える。


「……ぷりんたべてた」


参考にならない。


でも。


優月は本気だった。


「現場検証だ」


僕、ちょっと笑う。


その姿が、なんだか頼もしかった。


数十分後。


優月が突然叫ぶ。


「あったぁ!!」


全員ダッシュ。


発見場所――


冷蔵庫の横。


しかも。


なぜか小さい毛布かけられてた。


「なんでここ!?」


結愛、きょとん。


数秒考えて。


「あつかったのかな」


意味不明すぎる。


でも。


見つかった瞬間。


結愛はペンギンをぎゅっと抱きしめた。


「よかったぁ……」


その顔を見ていたら。


僕まで安心した。


優月は、探偵気分でドヤ顔。


「じけんかいけつ!」


唯ちゃん、拍手してる。


「さすが名探偵」


その夜。


みんなでアイスを食べながら、事件の話で盛り上がっていた。


優月が笑う。


「でもさ」


「ん?」


「結愛って、なんでも家族みたいにするよね」


たしかに。


ぬいぐるみ。


石。


枝。


全部、“仲間”。


結愛はアイス食べながら頷く。


「だいじ!」


その一言が。


なんだか結愛らしかった。


大好きなものを、ちゃんと大事にする。


それって、すごく素敵なことだと思った。


夜。


寝る前。


優月が、ふと僕へ聞いた。


「ぱぱはさ」


「ん?」


「だいじなもの、なくしたことある?」


僕は少し考える。


そして笑った。


「あるよ」


「かなしかった?」


「うん」


優月は静かに聞いている。


僕は続けた。


「でもね」


「うん」


「物はなくなっても、“大事だった気持ち”は残るんだよ」


優月は、小さく頷いた。


その時。


結愛、ペンギンを抱きしめながら寝言。


「……どこいってたの……」


家族全員、吹き出す。


ちゃんと心配してたらしい。


僕は、その小さな寝顔を見ながら思った。


大事なものがあるって。


きっと、幸せなことなんだろうなって。


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