きっと、ずっと忘れないんだろうなって。
ゴールデンウィーク。
家族会議の結果――
「キャンプに行こう!」
となった。
結愛、意味はよく分かってない。
でもテンションだけ最高潮。
「おそとでねるの!?」
「そうだよ」
「くまいる!?」
「たぶんいない!」
朝早く出発。
車の中は、お菓子と笑い声でいっぱいだった。
優月は、窓の外を見ながら嬉しそう。
結愛は五分で寝た。
早い。
キャンプ場へ着くと。
空気が全然違う。
木の匂い。
鳥の声。
風の音。
優月は大きく伸びをした。
「きもちいいー!」
結愛は、なぜか小枝を拾い始める。
「たからもの!」
最終的に十本くらい持ってた。
まずはテント作り。
……だったんだけど。
僕、説明書に苦戦。
棒が多い。
意味が分からない。
唯ちゃん、笑ってる。
「パパがんばれー」
優月も応援してる。
「ころばないでね!」
テントで転ぶ未来が見えてる。
数十分後。
なんとか完成。
……ちょっと斜め。
でも。
子どもたちは大興奮。
「おうちだー!!」
結愛なんて即入居。
「ここ、ゆあのへや!」
キャンプ場でも始まる縄張り争い。
夕方。
みんなでカレー作り。
優月は真剣に野菜を切っている。
結愛は、じゃがいも洗う係。
……だったけど。
なぜか水遊びに進化。
僕、びしょ濡れ。
「冷たぁぁ!!」
結愛、爆笑。
唯ちゃん、写真撮ってる。
絶対あとで笑われる。
でも。
外で食べるカレーは、びっくりするくらい美味しかった。
結愛なんて。
「おかわり!」
三回目。
小さいのによく食べる。
夜。
焚き火の前。
ぱちぱち燃える音を聞きながら、みんな静かになっていた。
空には、星。
優月が、小さな声で言う。
「きれい……」
都会では見えないくらい、たくさんの星だった。
僕は、隣の優月を見る。
少しずつ大人っぽくなっていく横顔。
でも。
星を見て目を輝かせるところは、まだ子どもだった。
その時。
結愛が突然。
「ねえ」
「ん?」
「おほしさまって、ぷりんみたい」
全員沈黙。
僕、吹き出す。
「どこが!?」
結愛、真剣。
「きいろ!」
基準そこだった。
家族全員、大笑い。
夜更け。
テントの中。
子どもたちは、並んで寝袋に入っていた。
優月が、眠そうな声で言う。
「また来たいね」
「うん」
「おとなになっても、みんなでこれるかな」
その言葉に。
僕は少しだけ胸がきゅっとなった。
時間は進む。
子どもたちは大きくなる。
きっと。
いつか、今みたいにはいかなくなる日も来る。
でも。
僕は笑って答えた。
「来れるよ」
優月は、安心したように笑う。
「そっか」
その数秒後。
結愛、寝言。
「……カレーとぷりん……」
欲張りセットだった。
僕と唯ちゃんは、小さく笑い合った。
テントの外では、風が静かに揺れていた。
そして僕は思う。
こういう夜を。
きっと、ずっと忘れないんだろうなって。




