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神樹の少年シーナ ~転生したら、頭に葉っぱが生えたんだけど?~  作者: 月ノ宮マクラ


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007・回復の力

 森の中を歩いていく。


 隣には、手を繋いでくれる美人の女冒険者さん。


 その手は、とても温かい。


 でも、


(これじゃ、葉っぱは出せないね)


 光合成も使えないので、大人しく、普通の子供みたいなペースで歩いていく……う~ん、遅い。


 ま、仕方ないか。


 今はのんびり歩こう。


 多分、クレティーナさんも足が長く、本来はもっと早く歩けそうなんだけど、今は僕の短い歩幅に合わせてくれているみたいだ。


(優しい人なのね)


 と、シーナ評価が上昇中。


 その時、


「そういえば」


「ん?」


「シーナは森にいる間、食料などはどうしていたのですか?」


 と、聞かれた。


 僕は、青い目を瞬く。


「水」


 と、答えた。


 彼女は「水?」と繰り返す。


「うん。小川があったから、その水を食べてた(・・・・)。それ以外、何も食事はしてないよ」


「…………」


「?」


 何だろう?


 なんか、可哀想な捨てられた子犬を見るような顔してる。


 彼女は目元を指先で拭い、「そうですか」と短く答える。


 それから、腰ベルトに下げられたポーチから、何か布に包まれた小さな物を取り出した。


 布を剥がし、


「携帯食です。よかったら、どうぞ」


「え、いいの?」


 僕は、素直に受け取る。


 スティック状のお菓子みたい。


 パクッ


 と、1口。


(うん、美味い!)


 豆や穀物が主体なのかな?


 少し塩味がして、でも、豆とか噛むと甘さが滲む。


 あと、僕、頭に葉っぱが生えてるけれど、普通に口からも食事ができるんだと知ることができたよ。


(あは、便利な身体~)


 僕は笑い、


「ありがとう、クレティーナさん。美味しいよ!」


「そうですか」


 彼女も微笑む。


 モグモグ……


 僕は夢中でスティックを食べる。


 その様子を、冒険者のお姉さんは微笑ましそうに眺めていた。



 ◇◇◇◇◇◇◇



(ご馳走様!)


 うん、美味しかった。


 だけど、彼女の食料を奪ってしまったのは申し訳ない。


(何かお返ししたいな)


 と、彼女を見る。


 そして、ん? と気づく。


 よく見たら、女冒険者さん、ボロボロじゃないか。


 手足に細かい傷があり、服や鎧も汚れていて、多分、その下の肌には打ち身の痣などもありそうだ。


(ああ、そうだよね)


 熊、凄かったもの。


 森の破壊跡も凄まじく、あれと短剣1本で戦っていたのだ。


 そりゃ、負傷もあるさ。


(…………)


 これ、治せないかなぁ?


 僕には『光合成』スキルがある。


 光合成すると、足の疲労も回復したし、肉体修復効果もあるみたいだった。


 もし、他人にも適用できたら……?


 よし、試すか。


「クレティーナさん」


「はい」


「あの、少し座ってもらっていい?」


「はい?」


「休憩ってことで……あ、そこの石、ちょうどいいや。ほら、座って座って?」


「あ……シーナ?」


 グイグイ


 有無を言わさず、僕は背中を押す。


 驚きつつも、大人な彼女は子供な僕のお願いに応え、素直に座ってくれた。


 僕は、背中に回る。


「後ろ、見ないでね?」


「はぁ」


「あ、目も閉じててくれると安心かな」


「よくわかりませんが……わかりました」


 苦笑し、彼女は目を瞑る。


(よしよし)


 素直なお姉さんに微笑み、


 ニュッ


 僕は、頭から2枚の葉っぱを生やした。



 ――光合成、開始。



 パアッ


 太陽光を吸収し、葉っぱが光る。


 全身が熱くなる。


(イメージして……)


 手のひらに熱が集まり、その手をクレティーナさんの長い髪が流れる背中に押し当てる。



 ――治れ!



 手の熱を流し込む。


 瞬間、


「ん……っ」


 ビクッ


 彼女の肩が跳ねた。


 10秒ほど続け、僕は手を離す。


 シュッ


 葉っぱを隠す。


「もういいよ」


「…………」


「どう?」


 と、聞いた。


 彼女は紫色の瞳を開き、不思議そうに自分の両手を見る。


「痛みが……ない?」


 と、呟く。


 立ち上がり、身体を動かす。


 手足を曲げ伸ばしして、腰を左右に捻り、最後に槍をヒュヒュンと振り回す。


(わぁっ!?)


 か、顔に当たるかと思った。


 やがて、彼女は動きを止め、


「負傷が治っています」


 と、驚いた顔で言う。


 バッ


 僕を振り返る。


「これは、シーナが?」


「うん」


 僕は笑う。


(よかった、成功だ)


 実験台にしちゃったけど、でも、問題なさそう。


 彼女は、目を丸くする。


「まさか、シーナは回復魔法が使えるのですか?」


「え~と、厳密には違うけど……まぁ、似たようなことができる感じかなぁ」


「…………」


「方法は、内緒」


「内緒……」


 少し茫然と呟く。


 僕は頷き、


「食べ物の恩返しができて、よかった」


 と、もう1度、笑った。


 途端、


「っ」


 目を見開き、クレティーナさんは息を飲む。


 ん……?


(なんか、顔赤い?)


 僕の前で、彼女は戸惑ったように自分の胸元を手で触り、それから大きく息を吐く。


 僕を見つめ、


「ありがとう、シーナ」


「あ、うん」


「私はまた、貴方に助けられてしまいましたね」


「え、お互い様だよ」


 何言ってるの?


(僕だって、人里まで案内してもらえそうなんだから)


 僕の反応に、彼女は笑う。


「ふふ、そうですか」


「…………」


「ええ、わかりました。方法は詮索しません」


「あ、うん」


「ですが、もし、シーナが話しても良いと思えたなら、その時は色々と教えてくださいね」


 クシャ


(あ……)


 彼女の白い手が、僕の金色の髪を撫でる。


 優しい手つき。


(…………)


 僕は瞳を伏せ、


「うん、わかった」


 と、約束した。


 クレティーナさんも満足そうに頷く。


(……ごめんね)


 まだ、少し怖いんだ。


 いい人なのは、わかってる。


 でも、この世界の常識とか価値観を知り、話しても大丈夫だとわかるまでは、もう少し秘密にさせてね。


 クレティーナさんを見上げる。


 彼女は微笑み、


 キュッ


 僕の手を優しく握る。


「さぁ、行きましょうか」


「うん」


 僕も頷く。


 そして僕らは、再び森の中を歩き出したんだ。

ご覧頂き、ありがとうございました。


次回は明日、更新です。

よかったら、どうかまた読んでやって下さいね。

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― 新着の感想 ―
ショタに目覚めつつあるおね・・・すき。
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