004・女さん
早くもブクマや評価を頂けました!
新作を投稿する時はいつも不安なので、とても嬉しいです。
して下さった皆さん、本当にありがとうございます♪
どうかこれからも、シーナの物語をゆっくり楽しんで頂ければ幸いです。
音は、断続的に響く。
その方角へと、森の破壊された痕跡も続いていた。
「よっ」
タッ トォン タタン
倒木を跳び越えながら、僕は走る。
頭では、光る葉っぱもヒラヒラ揺れる。
300メートル近く走り、
(お、見えた)
前方に何かを発見した。
って、うわっ!?
僕は、両足で地面を抉りながら、慌てて急停止。
――巨大熊だ。
森の奥に、体長5メートルぐらいの灰色の大熊がいた。
前足の爪が長く、先端が紅い。
額には、大小数本の角が生えている。
眼球は、左右に2個ずつ――計4個もあった。
怪物……いや、
(――魔物だ!)
異世界の代名詞ともなる存在、その現物を、僕は今、目にしているのだ。
でっかぁ……。
呆ける僕の前で、熊は暴れている。
ガッ ドォン
前足の爪で裂かれた木々が簡単にへし折れ、地面が吹き飛ぶ。
今まで見てきた破壊跡を新たに生み出していく。
(わぁ~ぉ)
凄まじい威力。
1発でも当たったら、僕、死んじゃうぞ?
でも、何をそんなに暴れているのか……と、目を凝らし、気づく。
熊の正面に、人がいる。
…………。
……え?
(人ぉ!?)
僕は仰天。
しかも、女の人だ。
白い鎧を身に着け、緑色の長い髪をなびかせながら、巨大熊と戦っている。
だけど、
(……短剣?)
手に握っているのは、包丁より少し長いだけの短い剣だ。
僕、唖然。
いやいや、無理でしょ?
熊の大きさと武器の大きさが、全然、釣り合ってない。
ヒュッ スパッ
前足の爪を避け、彼女は何度か、熊を斬る。
でも、
グォオオン
熊、元気。
多少、表面の皮膚を斬られただけで、全然、ダメージになってない。
女さん、めっちゃ苦戦中。
(当然だよ)
あんな巨大な熊と戦うなら、何で、もっと長い武器を用意しないの?
あの人、お馬鹿さんなの?
と、その時、
(あれ?)
僕は、自分の右手にある拾った『槍』に気づく。
…………。
もしかして、これ?
戦闘中に落とし、拾えなかった、とか?
た、大変だ~!
慌てる僕の前で、
ガキィン
(あっ!?)
振り下ろされた前足の爪を受け、多分、予備武器だった短剣が砕け散った。
女さん、地面にひっくり返る。
「く……っ!」
焦った表情。
灰色の巨大熊は、更に女さんに攻撃しようとする。
(だ、駄目……っ!)
その時、
バチッ
彼女と目が合った。
紫水晶のような綺麗な瞳――そこに複数の驚きの光が宿る。
次の瞬間、
「――槍を!」
女さんが僕に手を伸ばし、叫んだ。
(!)
反射的に、僕は槍を振り被る。
2枚の葉っぱが光り輝き、
「やあっ!」
ドヒュン
重い槍が一直線に30メートル以上先の女さんの方へ飛ぶ。
バシッ
彼女の手が、飛来した槍を掴む。
巨大熊は、紅い爪を振り下ろす。
同時に、彼女は槍を構え、
「――貫け、白き流星槍!」
槍の穂先が輝くと、光でできた3本の槍が空中に生まれ、灰色の巨大熊へと射出された。
ボボン
3本の光の槍は、肉体を貫通する。
(おお、魔法!?)
僕は、目を丸くする。
熊の魔物は停止し、やがて、仰向けに倒れた。
ズズゥン
重い音が響き、地面に血だまりが広がる。
ピクリとも動かない。
……絶命したみたい。
(凄いや)
初めて目にした魔法の威力に、僕、感動してる。
彼女は、
「ふぅ」
と、息を吐く。
初めて目にした異世界の人だ。
ドキドキ
(よ、よ~し)
思い切って、声、かけてみよう!
ご覧頂き、ありがとうございました。
本日、もう1話更新します。よろしくお願いします。




