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神樹の少年シーナ ~転生したら、頭に葉っぱが生えたんだけど?~  作者: 月ノ宮マクラ


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13/15

013・女たちの会話

(今の声、パルシュナかな)


 どうやらテントの外で、3人で会話しているみたいだ。


 しかも、話題は僕らしい。


 う、う~ん……。


 気になった僕は、少々、聞き耳を立てる。


 僕が眠っていると思っているらしく、美女たちと美少女の会話は続く。


 レオナックさんの声が、


「確かにの」


「まぁ、レオまで……」


 呆れ気味に応じたのは、クレティーナさんだろう。

 

 その妹の声が言う。


「だって、記憶喪失よ? 絶対、嘘じゃない」


「記憶障害は、見た目ではわかりませんよ」


「でも、こんな森に、あんな子供が1人でいるなんて不自然よ! 私は裏があると思ってるわ」


「裏ですか?」


「そ。……実は、擬態した魔物とか」


 ドキッ


 頭に『葉っぱ』を隠してる僕は、内心、動揺しちゃう。


 でも、


「ないですね」


「ないの」


 と、大人2人は即否定。


 少女の「うぐぅ……」と悔しそうな声がする。


「我も最初は疑ったが……そうした『人』に擬態する魔物特有の気配がない。むしろ、聖職者に近い清浄な気配がするの」


「それに、彼は私を助けたのですよ?」


「……うぅ」


「まぁ、魔物は人を助けぬな」


「ええ」


「でも、怪しいわよ! なんか、隠してる!」


 パルシュナは反発。


(それは、正解)


 テント内で、僕も頷く。


「そこは、否定せん」


「はい」


(あら?)


 お姉さん2人も同意した。


 少女も驚いた気配がする。


「あの小僧は、何かを隠しておる。それは確かじゃ」


「なら……!」


「じゃが、我は、それを自分の身を守るため(・・・・・・・・・)じゃと判断しておる。悪性の類ではなかろう」


「身を守るため……?」


 キョトンとした声。


 姉が言う。


「シーナは常識に疎い。彼は『護国の神樹』も知りませんでした」


「はぁっ!? や、やっぱ怪しいわ!」


「はい」


 頷き、


「ですが、生活の苦しい辺境の村では、世の中を知らぬ者は多いでしょう。そして、そうした村の中には、幼い子供を聖なる森に供える風習がある村もあるのですよ」


「供え……」


「口減らし、あるいは、神への生贄」


「…………」


「シーナも、そうした1人ではないかと」


「……マジで?」


 姉の沈痛な声に、妹も小声になる。


 ええと、


(僕、そんな風に思われてたの?)


 さすがに、びっくり。


 クレティーナさんが、僕に優しい訳だ。


 赤毛の美女が、


「なるほど、人間不信か」


 と、呟く。


「はい。だから、私たちに色々隠したがるのでは、と」


「ふむ」


「うぅ~っ」


「それと、シーナは何か不思議な力を持っているようです。パルや私たちを治したのも、その力の一端でしょう」


 ドキッ


 僕、また緊張。


 レオナックさんも同意する。


「そうじゃの。しかも、神殿の神官共が使う『回復魔法』とは違う系統の魔法のようじゃ。もっと原始的な、癒しの力そのものに思えるの」


「何、それ……? マジ、何者なの」


「わからぬ」


「アイツ、やっぱ怪しいわ」


 少女は繰り返す。


 姉が「パル」と呼ぶ。


「人間不信のシーナにとって、その力は隠したいものでしょう。ですが、それでも彼は貴方の足の火傷を治したのですよ?」


「あ……」


「その意味を考えて」


「…………」


 妹は沈黙する。


 赤毛の美女は頷き、


「アレが、善良な性質なのは間違いあるまい」


「はい」


「……ちぇ~」


 姉は頷き、妹は不満そう。


 数秒の沈黙。


(…………)


 なんか全員、僕のいるテントを見てる気がする。


 僕は息を殺しちゃう。


 やがて、


「何にせよ、子供を1人、森に放置しておく訳にもいくまい。王都フィーンドリアまでは保護し、一緒に連れてやろうではないか」


「はぁ、仕方ないわね」


 パルシュナも同意する。


 小声で「足の借り、返したいし」と呟く。


 姉の方も、


「あの子は、私の命の恩人です。ええ、その分の恩返しもしなければ」


 と、微笑む気配。


(……うん)


 3人に、僕は疑われていた。


 でも、そんな怪しい僕のことを受け入れ、彼女たちは森の外まで連れて行ってくれると言う。


 少し……泣ける。


 突然の異世界転移。


(頭に葉っぱもあるし、1人ぼっちの異邦人だと思ってたんだけどなぁ……)


 胸が熱い。


 目から汗が出る。


 ゴシゴシ


 慌てて擦り、


(ん、寝よ)


 3人に顔を合わせるのも恥ずかしく、強く目を瞑る。



 ――信じてくれて、ありがとう。



 心の中で呟き、


 バサッ


 照れ臭くなった僕は、頭まで毛布を被る。


 そして、


 ぐぅ……


 と、再び眠りに落ちた。

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― 新着の感想 ―
所々正解を引き当てている辺り、やはり鋭い・・・現状、「口減らしで捨てられた子供」という形になっているけれど、これは早い段階で能力の事を話した方が良いかも。話したら話したで頭を悩ませる案件にはなりそうだ…
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