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32話 最終決戦。平和を脅かすお邪魔虫①

 本会議場では厳重員と虚ろな目をした議員達がこちらをじっと見て来る。

 恐らくすでに議員全員が彼らの術中にはまっている。

 この場で彼らの企みを阻止しなければ国が――全てが変わってしまう。それも最悪な方向に。

 その為にもまず超えなければならない存在が迫る。

 奏凍死塚だ。

 スーツ姿の彼女は黒い魔力塊のモヤを手に、ゆっくりと距離を詰めて来る。

 一見隙だらけなのだが、彼女から感じる重苦しいプレッシャーを前に、私達の体は震え、思う通りに動かずに居た。



「来る……来るッ!」



 お兄ちゃんが震える足を戦機氷鬼の刀の柄部分で叩きつけている。必死に体を動かそうとしているお兄ちゃんを見て、死塚は冷笑する。



「せっかく待ちに待った戦闘だと言うのに、この程度の魔力を浴びただけでそのザマとは……アルカトラズで会った時の威勢はどこへいったのやら……」


「死塚。楽しむのは良いが手早くな? 万が一、北海道に残された奴らがここで合流されては計画は台無しだ。分かっているな?」


「分かってますよ厳重院先生。この世を乱世に帰すあなたの政策には興味しかないので、例え今、私の前に居るのが未熟な雛鳥であっても、一切手を抜く事はしませんよ」



 死塚がモヤを刀に変えてお兄ちゃんに振るう。

 未だ動けずに居たお兄ちゃんは、その刃の軌道に顔を引き攣らせるが――



『鈴芽ちゃんッ!』


『頼んだわよ! 大樹!』



 動けない体を無理やりに動かす為、意識を鈴芽から大樹に入れ替わり、お兄ちゃんへ向けられた刃をライトニングスパローで受け止める。



「鈴!?」


「大丈夫か!? 早く体勢を立て直して!」


「その感じ――今は大樹さんか!」


「どっちでも良いから! 早く立て直して!」



 言って俺は死塚の刀を打ち払い、拘束突きを放つ!

 穿たれた剣先を、死塚は余裕に、優雅に、楽しげに躱し、光速の連続攻撃を見切っている。



「化け物!?」


「私の魔力に当てられて、すぐに回復するあなたも大概化け物ですよ」



 突きを完全に見切った死塚は剣先を指で摘み、空いた手で俺の腹に一撃、拳をぶつける。

 内臓が悲鳴を上げるほどの打撃をもろに受けた俺の体は、本会議場の机を砕きながら吹っ飛ばされてしまう。

 死塚はニヤニヤと笑い、次なる目標――未だ動けずにいるアカリとアリスに狙いを定めた。



「させるかっ!」



 急ぎ立ち上がり、痛む体に鞭打ち、俺は死塚へ再度挑む。

 袈裟斬り、逆袈裟、回転斬りに光速移動からの背後への不意打ちと果敢に攻めてみるも、どれも子供をあやすように対応される。

 アルカトラズでもやった予測か……厄介な!



『なら入れ替わり立ち替わり! 私とあんたのスタイルをごちゃ混ぜでぶつけるまでよ!』



 俺は鈴芽ちゃんと意識を交代しながら剣をぶつける。

 俺は豪快に、鈴芽ちゃんは不意をつくような姑息な一撃を……ランダムに放つ。



「ほう……これはなかなかですね……」



 面白いと死塚は対応していくが、時折予測を外して俺たちの攻撃が彼女の体に傷を付ける。

 やはりこの戦法は届く!

 そう希望が見えたのだが――



「ならばこちらも、少し本気で相手させてもらいましょうか!」



 刀だった死塚の戦機は、またもや形を変えて黒い触手に変貌する。それは彼女の意思によって動くらしく、俺の四肢を縛り、両手で無防備な俺に連続で殴りつけては蹴りを入れてくる。



「ぐっうぁぁぁぁぁッ!!」


「鈴ッ!」



 お兄ちゃんとアリス、アカリが一方的に殴られる私の身を案じた。中でもアカリは歯をギリギリと食い縛り――



「くっそ……舐めんなやぁぁぁ!!」



 震える体、死塚のプレッシャーを押し殺し、グローブを装着した拳で死塚の頬に拳を伸ばす。

 その一撃が当たるかと思われたその時、死塚の背中から新たな触手が伸びて、アカリを掴んで本会議場の奥へと投げ飛ばす。



「どう? このオクトモードは? 久々に使ってみたけど、中々良くないですか?」


「悪趣味! それにキモいッ!」



 血を死塚に吐き付けながら、俺は嫌味を言ってやった。

 顔に血がついた死塚は、それを指で拭い取り、舌で舐める。



「威勢のいいこと。果たしてどこまで保つことやら――」


「その前に、あんたが吹っ飛びなさい! ドラグナートッ!」



 プレッシャーから最後に解放されたアリスが大剣を振るい、俺と死塚の間に割って入った。

 その不意打ちにより、俺を拘束していた4本の触手は手を離し、アリスから距離を取る。



「大丈夫?」


「なんとか。動けないほどじゃない!」



 殴られた箇所はジンジン痛むが問題はない。

 だがこのまま死塚の攻撃を受け続けるわけにもいかないのは確かだ。ただの打撃でこの威力――今は触手だが、殺傷力のある戦機に形を変えたら、間違いなく死ぬ……。

 今の彼女は、ただの遊びだと考えて戦ってるからこその無事……。



『かなり手強いわね……』


『うん……。まずは、あのなんでも変わる戦機を攻略しないと、どうにもならないね』



 刀に触手――あれがなんでも好きな形に変えられるのなら、ケリー同様、防具にも変えられるはず。

 なんにせよ、まずはあの千変万化の戦機の形を固定させる。あとのことはそれから考えるッ!

 そうして俺たちは、4人で死塚に向かうのだった。

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