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28話 爆進! スピードスター!

「これ……作戦って言えるのぉ!?」



 茜さんから指示された内容はこうだ。

 『全速力で走ってウチらが持って来た手榴弾を各階に投げて来て』だ。

 全員が持って来た手榴弾は合計50近く。それを背負うリュックに押し込み、私は今、全力疾走しながらピンを抜いては投げ、爆破していく。



『1人で走らせるあたり鬼畜だけど、まあ効果的と言えば効果的か……』


「なんであんたはそう冷静なのよぉぉぉ!!」



 爆発する度「ぎゃあああ!!」と巻き込まれたウィザードの悲鳴が上がる。普通の人であれば爆破に巻き込まれた時点で肉塊になるところだが……魔力で守られた頑丈なウィザードには致命傷には至らない。

 だけど確かに効果はある。簡単に言えば一般人が不意打ちでスタンガンを喰らう様な物だ。

 驚き、衝撃に巻き込まれ、吹っ飛び気を失う。

 これがまあ上手いこと刺さる刺さる。

 敵の数も配置もわからない状況を、こうも一方的に破壊できるのは、私の……ライトニングスパローの力だろう。



『隠密、不意打ち、サポートだけで考えてたけど……こんなやり方があったとは……いやはや、あの山賊の発想には兄でも着いて行けないや』


「もー! そんな余裕があるなら少しは代わりなさいよねぇぇ!」



 ピンを抜き、投げる。ピンを抜き、投げる。

 カバンの中にはまだまだ手榴弾は残ってる。いっその事一気に投げようか考えたが……もしそれに巻き込まれたら、幾らウィザードでも腕の1、2本はさよならバイバイだろうから躊躇われる。



「ある程度爆破したし、クリアなんじゃない?」


『かもね』



 ここはさっき部隊のみんなと居た2つ上の階層。

 手榴弾の量と、敵地での単独行動を考えて、あまり離れすぎない方がいいと考えての事だ。

 まだ上の階層はあるみたいだけど、一旦合流した方がいいだろうと私は考えた。



『戻るついでに爆破した場所を覗いて行こっか。生き残りがいたらあれだし……』


「生きてるわよ! 死んでてたまるもんですか」



 この歳で大量爆破殺人鬼にはなりたくない。確実に生きている。と考え、私は来た道を確認しながら戻る。

 幸いどこもかしこも、床に伏し気を失うか、呻き声を上げているウィザードしか居いようで安堵する。

 その為何の問題もなく、団体行動で上がって来ていた茜さん達と合流することが出来た。



「おつかれ。どないやった?」



 開口一番、茜さんが聞いてきた。



「効果覿面でした……一応、帰って来ながら生存確認も済ませて、問題なしってあたりです」


「そかそか。そりゃあ良かったで。さっすが稀代のスピードスターやな」



 ガシガシと私の頭を撫でる茜さん。ひとしきり撫で終わると、部隊全員に振り返り次の指示を出す。



「爆破に巻き込まれた奴から聞き出した話から、敵の中枢はここより3階上に居る! あと少しや。やけど今ので確実にウチらが攻めて来たのは知られとるはずやから、気ぃ抜くんやあらへんで!」


「「「「了解!」」」」


「なら……ムーブムーブッ! 先手必勝! 電光石火や! いくでぇ!」



 そうして私達は敵のいる3階上層を目指す。

 にしても爆破で気を失ってるウィザードから聞き出したって……なかなか酷いことを味方の割にするなぁと私は思った。

 いきなり吹っ飛ばされて、目が覚めると、さっき見た尋問の様に指の骨を折りながら質問攻めに合う……。自分たちがやった悪行に対しての裁きではあるが……震え上がる様な所業だ。確かにこれは山賊と言われても仕方ない。



 そんな私達は敵に遭遇する事なく、なんとか目的の場所までやって来れた。

 大きな扉の前、茜さんと来栖さんが両扉のノブを握り、私達に顔を向ける。

 武器を構えた私達は頷き、2人が扉を一気に開いた。

 お兄ちゃんが「フラッシュバンッ!」と声を上げて閃光弾を中に投げ入れる。

 私達は体を捻り光から目を守るや、直ぐに突入開始する。

 正面近くにいたウィザードは視界が塞がれていて、制圧は容易だった。だが後方に控えた遠距離戦機を携えた迎撃を受け、近くの家具を押し倒し、防御しながら少しずつ前へ進む。



「カバーッ!」



 茜さんの叫びに八重さんが反応し、家具から身を出して弓を射る。連射された魔力の矢がウィザード達を穿ち、攻撃に隙が生じた。

 この隙に残りの私達は駆け出す。

 全力疾走する私は、未だこちらに攻撃を加えようとするウィザードの足を払い、茜さん達が着実にトドメを刺していくという完璧と言える連携だ。

 これも合宿で訓練した成果だろう。

 そう考えていると、奥の間から悪魔型――頭からツノを生やし、両腕が大木の様に太い熊が解き放たれた。



「いやいや。こうも用意したウィザードが倒されるとは、流石アビス解放者達ですね」



 パチパチと拍手しながらやって来たのは、悪魔型【エリミネーター】を従わせるケリーだ。



「お前ッ! まだおったんかいな!」


「お〜。これはこれはアカリさん。私の掌握から初めて抜け出したウィザード。ご機嫌麗しゅう……」


「麗しくないわい! 不快! 嫌い! 大嫌いやッ!」



 アカリが先手必勝とケリーに向かっていくが、ケリーがパチンと指を鳴らすと、【エリミネーター】がその巨腕でアカリの拳を受け止めた。

 


「ちっ! お前……今度はいたいけな学生から、バケモンを使役する様になりやがったな……」


「流石、私と少しの間とは言え魂を共有した仲ですね! ご名答。今の私はこの狭間にいる【エリミネーター】を全て掌握してるのですよ……ほら!」



 手を少し動かしただけで、残りの【エリミネーター】が動き始め、私達に襲い掛かる。

 各自、その猛攻に抗うが――



「あなた方はここで死ぬか、足止めさせていただきますよッ! 我が党首の願いの為に!」



 ケリーの放つその言葉は、今の私達を動揺させるには十分すぎる物だった。

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