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13話 潜入一日目収穫

 潜入任務一日目は収穫なしという結果に終わったと、アリスとアカリ二人の親愛製薬での探索の報告を私の家で受けていた。

 


「っちゅうわけでまた明日も潜入しつつ、例の人の昇進してからの話に期待やな」


「例の人って、たしかアカリが無駄に仲良くしてたあの案内役の人のことよね?」


 

 居間にあるテーブルで寛ぐ二人に私はお茶を淹れて目の前に差し出した。それを二人は飲みつつ、うんと頷く。


 

「あの時はなに無駄話してんのかって思ったけど、こうなるともうあの人に期待するしかないのはアカリのナイス起点よね」


「だな〜。よくあそこまで距離感を近づけようと考えたもんだ」

 


 アリスとお兄ちゃんのいう通りだ。

 あの機材を通して二人の会話と映像は把握していたけど、アカリの行動はまさしくナイスと言っていいほどのものだった。

 


『人の心に付け入る奴らに対して俺達も同じように付け入るスタイルなんてなかなか粋なことするよね』


 

 全くもってね。それもこれもアカリの人とすぐに打ち解けようとする性格だったから成立した結果だろうね。


 

「いや〜。そんなに褒められても〜? 困るっていうかそれほどでもあるっちゅうか〜?」

 


 みんなから褒められて満更でもないアカリは頬を赤くしながらも、にへら〜と笑って頭を掻いた。

 


「このチャンスを明日は生かす必要があるわね。アカリ? この後のプランは考えてあるのよね?」


「え……」


「「「うん?」」」

 


 なにその反応。まるで何も考えてなかったってような……。

 


「まさかアカリ。あなた……」


「何も考えてなかったってのか? アリスにあそこまで言っておいて?」


「しゃーないやんか! あん時はあれで正解やって思っただけで、その後のことなんか思いつかんかったんやもん! ええやんか! 今ここで話し合えばさー!」


「うーわ。なんか駄々こね出したんだけど……この人、自分の愚かさを棚に上げ出したんですけど」


「うっさいなー!」とテーブルをバンバン叩くアカリ。

 テーブルが壊れるし下の階の住民に迷惑だから、そう激しく叩かないで欲しいんだけど。


「ま、まあアカリのいう通りだな。結果人脈を作れたのはデカいし、これを利用する手はないよな」


「お兄ちゃん、アカリに対して甘くない? ねえ? まさかアカリのこと……」


「そ、そんなんじゃねぇよ! 結果が全てだろ! 俺はその点をだな――」


 

 ふぅん。そうやって必死に弁明してるあたりが妙に怪しい。私許さないからね。こんなお馬鹿なアカリにお兄ちゃんを取られるなんて絶対に!

 お兄ちゃんの側は絶対に譲らないんだから!


 

 ピンポーン♩

 その時、家にインターホンの音が鳴り響いた。


 

「はいはーい」と出る私は、そこに写っている人物を見ると、そこに居たのはファンタジア本部に潜入していたはずの柳先生が立っていた。

 ここに来たってことは任務は終わったって事なんだろうか。スイッチを押して私は返事に出る。

 


「先生? どうしてここに?」


『あ。来栖隊長と結由織さんから、恐らくここで皆さんが話し合ってるだろうと聞いて情報共有に来たんですが……』


「そういう事ですか。分かりましたどうぞ〜」


 

 言って私はお兄ちゃんに目で玄関の鍵を開けてくるよう促した。お兄ちゃんはそれを察知して玄関に向かう。

 にしても二人にはここで話し合ってることなんて教えてなかったはずなのによく分かったもんよね。

 


『ここしか話し合うに都合のいい場所がないからね〜。直接基地に戻るのは危険だし、かといってそこら辺の喫茶店とかなんか奴らの支持者の耳に入る可能性も高いし』


 

 それもそうね。

 だったらここで話し合ってるのも考えつくのは必然か〜。

 


「お邪魔します」


 

 ってそう考えていると柳先生が学校でよく見るスーツ姿で入ってきた。私は急いで新たなお茶を淹れつつ彼女の前に差し出した。

 


「ありがとうございます鈴芽さん」


「いえいえ〜。で、どうでした? ファンタジアの潜入は」


 

 別働隊、来栖さん達率いるファンタジア潜入部隊の実行者は柳先生だとは聞いていた。他のメンバーは私とお兄ちゃんと同じようにサポートに回るとも。

 結局潜入任務っていうのは少人数でやるのがベストってことよね。

 


「はい。まあ予想通り、党員に支持者がカルト集団のように熱狂していて、それはもう異質と言うべき状態だったわけですが……」

 


 柳先生が珍しく顔を引き攣らせながらそう言った。

 こんなに表情を崩す先生を見るのはかなり珍しく、この場にいたみんなもそれはもう驚きと言った顔を浮かべている。


 

「そ、それは大変でしたね……」


「で、何か収穫はあったんです?」


「いいえ。やはり予想通りあの場所には目ぼしい情報はありませんでした。奏凍死塚と当主の影も形もありませんでした。すでにあそこは党員メンバーだけで運営された事務所……そこに次々と新たな加入メンバーがやって来るという、まるで虫の巣のような場所でしたよ」


「「「うわぁ」」」


 

 想像するだけでどんな場所か容易に思いついた。

 そうなると他の事務所も同じような状態なんだろう。

 それほどまでに街頭演説の洗脳効果が成果を上げているってことだ。そうなると今の政権に対してのデモ活動に反対支持派がどんどん出てきてもおかしくない。

 それどころかもっと非道惨状になったりするかも。


 

 そこから私たちはアカリとアリスの仕入れた情報と柳先生の話と意見を交えながら、約2時間ほど話し込むことになった。

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