表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
伯爵令嬢のわたしは婚約を破棄されました  作者: Aju


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

19/32

19 魔法の術式

 翌日、アリシアはいくつかの新しい情報を持ってきた。

 それによると、エイドリアンには最近変化があったらしい。


「魔法をお使いになるようになったということです。」


「魔法? どんな?」


「宮廷の白魔法師と同じような。お妹様が熱病に冒された時、何やら調合した魔法薬でお治しになったとか。」


 ああ、英人くん(あいつ)ならそのくらいのことはやるだろう。なにしろ化学オタクだったからな。

「他には?」


「紙に呪文のようなものや魔法陣のようなものを書きつけていらっしゃったのを侍従が見たとか‥‥。噂だけですが。」


 それはたぶん化学式だ。わたしの推測が合っているなら。


「誰かを探しているような噂は?」


「そういうものは聞きませんでした。


 ‥‥‥‥‥‥

 そうか‥‥。


「ありがとうアリシア。ぶっ通しで働いてて、寝てないんじゃないか?」


「大丈夫です。」


「大丈夫じゃない顔してるぞ? ここで少し寝なよ。昼間は誰も入ってこないから、律儀に護衛してなくても‥‥。」


「そ‥‥そのようなことは‥‥」


「そのようなことをして——ってわたしが言ってるの。アリシアには健康でいてほしいって言ったでしょ? わたしのベッド使っていいから。」


「と‥‥と‥‥と‥‥とんでもない! 床でけっこうですから!」


「それじゃ休まらないよ。じゃあ、毛布くらいは使って。」

 わたしはベッドから毛布を取って、床に敷いてやる。

「ほら。」


 アリシアはおずおずとベッド脇の隅っこに横になった。わたしはそのアリシアに残った部分の毛布をふわりとかける。

 アリシアの頬が赤く染まった。


「どうしたの?」


「な‥‥なんだか、恥ずかしゅうございます‥‥」


「わたし見てないから。あっちで本でも読んでるから。ぐっすり眠って疲れを取って——。」

 アリシアは毛布にくるまったまま、小さくうなずいた。


 さて。

 とわたしは本棚を見る。

 これといって面白そうな本はないな。ガールズラブの小説とかもなさそう。‥‥あたりまえか‥‥。


 それにしても‥‥。

 エイドリアンが英人くんの転生者である可能性は高くなった。‥‥が、だったらなぜ、彼は麻耶を探そうとしない?


 それとも同じ事故で死んだ別人の転生者なのか?

 しかし、あの共通項で考えるなら、やはりエイドリアンは英人くんの転生者と考えるのが自然だ。

 薬を調合しちゃう化学オタクぶりも、いかにも英人くんらしい。


 エイドリアンをわたしが見たのは、彼が幼年学校の上級生だった時に図書館で一度だけだった。その時の印象は、おとなしい人だ——という感じ。

 でも人の話では、文武両道だと聞く。そのあたりも英人くんと重なる。


 これは、会って確かめたいな。


 婚約者なんだから会っても不自然ではあるまい。

 カルホース伯爵は辺境伯だからその領地とお城は少し遠いが、行って行けないことはない。同じ王国の中なのだ。


 いや、この世界では女がそんな遠方まで行くものではないというのが常識だ。いかに変わり者と思われているとはいえ、あまりに常識はずれなことをするのも問題がありそうだ。

 しかも三女とはいえ、伯爵令嬢がそんな遠方へ出かけるとなれば護衛の数も多くなって仰々しい騒ぎになってしまいかねない。


 ここはやはり、殿方から来てもらうのがいいか。

 ちょっと呼びつけるみたいで申し訳ないけど‥‥。


 わたしは、まだちゃんと会ったこともない()()()にお茶のお誘いの手紙を出すことにした。

 来てくれるだろうか?


 本棚から目を離してふと背後(うしろ)を見ると、毛布にくるまってアリシアが小さな寝息をたてていた。

 ほら、やっぱり疲れてたんじゃない。

 アリシアがこんなふうにわたしの部屋で安心して無防備になってくれるのは、わたしにはとても嬉しい。



 数日後。

 エイドリアン・カルホースから「明日にでも伺いたい」という、早馬の使いが来た。

 わたしもすぐに使いに返事を持たせる。

『お待ちしております』


 この反応。

 あの暗号が効いたかな?

 だったら、エイドリアンは間違いなく英人くんだろう。


 わたしが手紙の最後に書き添えた暗号。それは‥‥


  2H₂+O₂→2H₂O


 この世界にはまだない魔法の術式。




魔法の術式、ちゃんと表示されていますでしょうか?

もし表示されていない方がいらっしゃいましたら、この感想欄にその旨書いてください。

別の方法で見えるようにいたします。

(「なろう」にはこうしたものを直接打ち込む機能はないようですので、デバイスの環境によっては表示されないかもしれません)


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
化学式。iphoneとWindows11のchromeでちゃんと表示されてます。 タグ使わずに書けるんですね。 異世界転生化学屋が何をしでかすのか。楽しみにしています。 (医薬品調合とか、すでに危険領…
化学反応式、ちゃんとわかりますよ~。 でも、打てないのですか?? 水素と酸素で水が出来る、と(笑)。 中世相当の魔法文明の社会には、ない発想ですしね。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ