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僕は無双が出来ない。  作者: 朝夜
5.二軍試験開始(この章は不本意ながら僕が紹介する事に)
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間一髪?

 

「さて……と」

 

 

 お腹を抱え痛そうに顔を歪ませるルルナをシャルルが横で抱きかかえながら、裏門までやってきた双子達。周りに数名の見張りがいる中で、二人は至って平静を装いながら転移魔法陣に踏み込もうとしている。その際、最も近くにいた警護役の教師が声を掛けてきた。

 

 

「む、どうした。まだ生徒に撤退指示は出ていなかったと思うが?」


「体が大分優れなくて、僕達は一足先に棄権しようかと……。お役に立てず申し訳ありません」


「リーダーに指示は仰いだのか?」


「勿論です」

 

「そうか。見た所君達はまだ三軍所属だものな、無理もない。命あっての物種だ、勇気を出して退くのはなんら恥ではないし、チャンスはまた次がある。しっかりと養生するようにな」


「はい」「はーい」

 

 

 生徒の無事をしっかり見届けようと、教師は生徒が無事に転移を終わるまでは片時も目を離さず、やがて転移陣から強く光が溢れだすとその光が双子を包み、やがて完全に姿が消える。

 

 

 

 

 * * *

 

 

 

 

「ここまでのようだね。王女ルティーヌよ」

 

 

 ボロボロになった身でがっくりと膝をつきながら見上げるルティーヌを、ロベルティはとても愉快そうな顔で見つめていた。レイシアもルティーヌの目の前で悠然と立ちはだかり、油断もなければ温情もなく、今の彼女にあるのは『ルティーヌの駆逐』という主からの命令だけだった。

 

 

「ユートゥルナ随一の攻撃魔力を持つといえども、所詮は魔法だけに囚われた古き一族。機械の力を兼ね備えたレイシアの敵ではないのだよ」

 

「……私を殺して、その後はどうするつもりなの」

 

「決まっている。魔法という過去の栄光に縋りつく古き王はこの時代を以って終わらせ、新たな時代を始めさせるだけだ」

 

「……ならレイシアは、その為の『道具』に過ぎないという事?」


「道具? 何故そう決めるのだね?」

 

「私の知っているレイシアは、こんなに寡黙で無口で、ただ命令に従うだけの人形なんかじゃない。貴方はレイシアの死を利用して、ただ自分の都合のいいように物事を進めているだけよ! ……貴方にまだ人の心が少しでも残っているのなら、せめてレイシアの気持ちくらい考えてよッ!」

 

「ふん。この期に及んで何を言うかと思えば……」

 

 

 ロベルティは主の命を待ちながらじっと佇むレイシアに対して顎をくいっと横に振ると、ルティーヌの下へ近寄り、無造作に首を掴む。

 

 

「私は人の道など、とうの昔に踏み外しているのだ。今の私にあるのはただ『憎しみ』の心のみ。あの愚王は死んだと思われる他でもないレイシアによって無慈悲に切り刻まれ、戸惑いと畏怖に飲まれ、苦しみ、のたうち回りながらこの世を去るのだ。これを愉快と言わずして、何と言う? ――――フフ、アーッハハハハハッッ!!!」

 

 

 ――狂っていた。誰の声も聞こえないくらいまでに。唯一聞こえるとすれば、それは前に立つかつて娘と呼ばれていた少女だけなのだろう。

 

 

「さあ、余興は今度こそ終わりだ。――『レイシア』」

 

 

 殺せ。と命じる主に、機械仕掛けの巫女はただこくりと頷く。

 

 

(みんな……ごめんなさい)

 

 

 ルティーヌは抵抗する事を諦め、ただ静かにその時が来るのを待った。

 

 レイシアは右手に握ったミスリルハンマーを片手のみで軽く振り上げる。かつて友だった頃の記憶は【闇】に封じられたまま、なんの躊躇いもなく殺意が宿る。

 

 

「――始まる。いよいよ。これが……新時代の第一歩だッ!」

 

 

 ロベルティが目を見開き、そのタイミングでレイシアが掲げたミスリルハンマーをついに振り下ろす。

 


 

「シャル――――『あそこ』ッ!!」




 そして地面に打ち付けられた瞬間、大地は轟き、地面は大きく抉れる。

 

 ロベルティは狂気に満ちた笑みのままに、ルティーヌの亡骸を見届けようとその場所を強く凝視した。

 

 

 

 ――――だが。

 

 

 

「マスター。……『異常反応』です」

 

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― 新着の感想 ―
[良い点] 素晴らしいセンスとモチベーションです。 強いが故に妬まれる、忖度する、閉じこもる、かばい過ぎてしまう、そんな強者たちの友情の物語は正直アンチを作りやすくファンの数を確保しにくいかもしれませ…
2019/12/23 12:44 退会済み
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