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僕は無双が出来ない。  作者: 朝夜
4.来たる二軍試験に向けてっ!
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この流れは……なんだかめんどそう


「……で、どういう事か、説明してもらいますの? あ、ちょ、ルルナ、何ワタクシのお菓子勝手に食べてるんですのー!? しかもベッドの上でぇー!!!?」

 

「んんーおいひーこれ!」

 


 ルルナが一人で勝手に茶菓子に舌鼓を打つ中で、シャルルはどこから説明したものかと悩み耽る。

 しかもこれは双子側にとって都合が良すぎる案件。普通に話した所でプリスが納得するはずもなく、それどころか最悪自分達の存在を明るみにされてしまう可能性すらあった。何か対価となる土産物の一つでも用意できればよかったのだが、装備品やアイテムの類で尻尾を靡かせる程『容易な相手』ではない。

 


「……今更隠したって仕方ないかな。とりあえず勝手に中に入ってしまった事は謝るよ。で、勝手なのは百も承知でお願いがあってここに来たんだ」

 

「は? お願い? アナタ達が? このワタクシに?」

 

「そう。プリスが『第一位魔法騎士』という事でね」

 


 腹を括ったシャルルは、自分達がこの場所に来た経緯を掻い摘んでだが、説明する事にした。

 

 新たな発見を求めて訪れた事。

 自分達はまだまだ知らない物だらけだった事。

 そして自分達の存在を知られてしまったら二度とここには戻ってこられなくなる事。

 

 一つ一つ出す言葉に嘘偽りは無く、全て事実のままに話した。

 

 

 

 ――

 

 

 

 ――――

 

 


「……ふーん、そういう事ですの。だからその『お仲間』とやらの為にワタクシを介してでも『皇竜の雫』を手に入れたいと?」

 

「もちろん、タダでとは言わないさ。僕達ができる事ならば可能な限り引き受ける」

 

「……なんだか、アナタがそこまで真剣な瞳をしているのが新鮮ですわね。ワタクシが実際に会ったのはたったの二回ですけど……その……。どちらにも……何と言うか、アナタ方からは『本気』を感じられなかったのですわ」

 

「んー。あの頃のルル達って惰性で動いてた感じだしねー。戦ってる間はたしかに楽しいんだけど、終わったらなんか冷めちゃうっていうか」

 


 有り余った強さを手にしても、満たされるのはほんの一瞬。ふと我に帰った時、そこに刺激や魅力がないと悟ってしまうと、冷めてしまうのもまた一瞬。せめてそれを分かち合える誰かがいてくれたら双子達にも何かしら変化はあったのかも知れないが、アルカディアの存在を知るまで、結局その機会が訪れる事はなかった。

 

 ――と、そこまで黙って話を聞いていたプリスはおもむろに双子達へ距離を詰める。

 


「……成る程、アナタ方の事情はひとまず承知致しました。――よろしいですわ、ならば『ある条件』を潔く引き受けてくれたら、その願いに応えましょう」

 

「お、本当かい?」

 


 思わぬ段階で了承得られたその言葉に、シャルルは少しだけ身を乗り出す。一方でプリスはその条件を言葉に出す前に、少しだけ間を空ける。

 そしてそのタイミングとほぼ同じくして、後ろから『もう一人』の魔法騎士生徒が開いたドアから顔を覗かせる。

 


「プリス様、ただいま上がりました――」

「このワタクシと、後ろにいるミューリアスと戦いなさい!」

 


 あまりにも突然過ぎたその発言に双子だけならいざ知らず、後ろでポカンと口を開ける黒髪の少女。

 

 対して双子はというと、その条件を拒否する理由もなければ余裕もない。

 


「ぷ、プリス様何を突然!? それにこの輩達は、かの聖域に軽はずみに立ち入った不埒者ではありませんか!」

 

「あ、ルル知ってる! このおねーさんって入口にいた学園で言う所の『受付たんとーの人』だよね!」

 

「う……うけ……! 言うに事欠いて、相も変わらず貴様は『聖域の門番たる私』を愚弄するかぁ……!」

 

「おやめなさいミューリアス。容易く口車に乗ってはいけませんのよ」

 


 主の命で制されてはミューリアスもこらえるしかなく、歯ぎしりしながらこの場での諍いは控える。

 


「で、戦うのはいいんだけど、どこでだい? まさか『学園内の序列に沿った実力で戦え』とか言うんなら流石に僕等も勝ち目が……」

 

「ご安心なさい、ワタクシもそこまで外道ではありませんのよ。それに関しましては本気のアナタ方がのびのびと戦える場所に致します事よ」

 

「本気の……? 僕等が言うのもなんだけど、本気でやり合ったらそれこそ地上に迷惑がかかる可能性だってあるし、最悪『地形が変わってしまう』かも知れないよ?」

 

「あら、このワタクシとお姉様とは、最初に『何処』で戦ったのですか? ――『あそこ』以外、他ならないのではなくて?」

 


 そう言ってプリスが指差したのは、自らの真下。

 


「ええ、ここで戦うのー? ルルは別に構わないけどもー」

 

「ちーがーいーますわよっ! ここよりもずっと奥深くに潜む場所――云わば『この星の中心』。……とでも言えば宜しいかしら?」

 

 

 中心という言葉でようやくプリス以外にも納得がいった。


 それは、シャルルとルルナが好奇心の果てに自力でたどり着いた、かの『聖域』に他ならない。

 


「プリス様。まさかこの二人を再びあの地に誘うとでも……?」

 

「さあ行きますわよ。今一度――――『テレスティアル・コア』へ」



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