社の過ち
あっという間に凍りつき、顔だけが出ている状態だ。
「私の周りの絶対零度の領域を突破する事は不可能よ」
「お兄ちゃん降参して、これ以上二人を傷つけたくないの」
まさかこんなに強力な力を持っているとは思わず、歯を食い縛り悔しがる社。天音ちゃんが降参してと言ってくるが、魔王に降参する訳にはいかない。
「真央、大丈夫か」
「大丈夫だけど、動けないよ」
真央も力を入れて抜け出そうとするが、びくともしないようだ。
「さぁ~降参しなさい、そうしないと顔まで凍らせるわよ」
社が相手のペースに乗せられている事に気付き、手袋を外し炎龍のアチチを召喚した。
「アチチ凍りを溶かすんだ」
凄い熱気がアチチの身体から発せられる。
「何て熱気なの、けどこのくらいじゃ私の氷は溶かせないわよ」
前に氷の壁を作り熱気を防ぐ先輩。しかし社の狙いは他にあった。
熱気で辺り一面に水蒸気で霧ができ、周りが見えなくなったのだ。その隙を狙い天音ちゃんを人質にとったのだ。キャーと叫び声をあげるが何処か楽しそうな天音ちゃん。
「天音ちゃんを返して欲しければ、真央を離すんだ」
「人質をとるなんて卑怯よ、しかも小学生を」
「なんとでも言うがいい、真央を離さなければ天音ちゃんにはこうだ」
社が天音ちゃんの脇腹に手をあてくすぐりだしたのだ。くすぐられ笑いが止まらない天音ちゃん。
「小学三年生の女の子にそんな事するなんてセクハラよ」
先輩から非難を浴びる社、何故か真央もセクハラよとこちらに文句を言ってくる。
セクハラ呼ばわりされた社は手を止めた。天音ちゃんは笑いすぎて息が上がっている。
「天音ちゃんも小学生三年生とはいえ、魔王なんだから実はもっと歳上なん」
社は最後まで言いきれず、イギャーと叫び声をあげている。社の手を見ると指を反対方向に曲げられている。
「お兄ちゃん、私は小学生三年生だよ」
怖い笑顔を社に向ける天音ちゃん。
「はい、天音ちゃんは小学生三年生です」
「わかったらいいのよ、お兄ちゃん」
同じ過ちを繰り返す社だった。




