真央ちゃんの本心と魔王の本能
一日の授業も終わり、今から帰ろうとしたその時、真央ちゃんが今にも泣きそうな顔で話しかけてきた。
「今日一日無視するなんて、酷いじゃない」
(皆いる所であまりそういう事を大声で言わないでほしいかな)
真央ちゃんがあんな事を言うもんだから、皆の視線が痛い。
「まだ二人喧嘩してたの、早く仲直りしなよ」
真央ちゃんと仲が良い美鈴さんが呆れた表情で言ってくる。
「今日中にはちゃんと仲直りするから心配しないで」
「それならいいけど、真央もちゃんと話すんだよ」
「うん、ありがと」
話しが終わり、皆の視線が外れたので真央ちゃんに近づきこっそり耳打ちした。
「敵と馴れ合うつもりはないから」
その言葉を聞いた、真央ちゃんは我慢しきれずに涙を流しだした。
ちょっと言いすぎたと思った僕は、他の人に何やかんや言われる前に、逃げるように学校から帰った。
「ここまですれば精神的ダメージは十分、後は圧倒的な力で倒すだけだな」
僕自信一応正義の味方の筈だが、悪役のような笑みを浮かべているだろう。
夜になり真央ちゃんが迎えにきた。どんな顔をしてくるかと思ったら、やる気十分真剣な顔つきだ。
母親に真央ちゃんと少し出掛けてくると言い外にでた。
無言の真央ちゃんの後をついていく。ちょっと行った所に公園があるのでそこで狭間を開くみたいだ。
「そっか真央ちゃんは魔王だから自らフィールドを造れるんだ」
「フィールド?」
「そうだよ、昨日の荒野の世界みたいな」
「あれは心象世界って言って、私達の心が造りだす世界なんだよ」
「そうなんだ、知らなかったな、勝手にフィールドって読んでいたよ」
「じゃあー出来たし入ろうか」
二人で真央ちゃんが作りだした、心象世界に入って行った。
中に入り僕の方から口を開いた。
「真央ちゃん本当に戦う気なの?真央ちゃんが魔王をやめるなら仲直り出来るんだけどな」
「私は魔王を辞める気はないわ、社に勝って私が魔王になる事を止めるのを諦めてもらうわ」
「真央ちゃん君の仲良い友達や両親、大切な人達がいるでしょ、その人達はどうするの?」
真央ちゃんからすぐに返事が返ってこない、魔王と言っても昔魔王だった時とは違うと思う……多分
僕は魔王時代の真央ちゃん知らないからな。
もう少し揺さぶりをかけてみる。
「そっか真央ちゃんにとって友達や家族、僕の事何てハリボテの関係だったんだ」
「それは違う!皆大事な存在だよ、こちらの世界で人間として産まれ、人間として育った、魔王の時では考えられない程の充実した楽しい日々が送れた。けど私は魔王、魔王の魂、本能が地球を征服しろと言ってくるの、唯一私を止めれたあの人も、もういない、社もう気が済んだ?済んだなら始めましょ」
「それなら僕が圧倒的な力で真央ちゃんを諦めさせてあげるよ」
「やれもんならやってみなさい」
いつもの真央ちゃんと口調が違う、これが魔王モードって事か、と変な事を考えていたら真央ちゃんが後ろに回り、僕を殴ろうとしているではないか。
まぁ~油断も動揺もしていない僕なら、簡単に避けれるけどねと思いながら一旦距離をとる。
「いきなり幼なじみに殴りかかるなんて、そういう所嫌いだな」
うん、グフとか言って胸を押さえている。効いているみたいだ。
「僕は大切な幼なじみを殴ったりしたくないから、代わりに召喚獣にやって貰おうかな」
「昨日の龍じゃ私には敵わないよ」
「もしかして真央ちゃん召喚獣が一体だけだと思っている」
そっぽを向いた、図星だな
「昔からそういう所抜けてるよね、そんな所が可愛いんだけどな」
今度は喜んで顔を紅くしている。何とわかりやすい幼なじみなんだ。
「そういえば、真央ちゃんはいつから僕の正体知っていたの」
「小さい時から気付いてたよ、社のお父さん只者じゃなかったし、て言うか今戦いの途中だからあまり話さないで」
戦おうかと言う時に、ペースを乱され怒っている真央ちゃん。
「しょうがないよ、色々気になるんだから、それに昔から知っててずっと黙っていたならお仕置きが必要だね」
社が悪い笑みを浮かべ手袋を外し何やら呪文を唱えた。
「召喚獣を出しても私には勝てないわよ」
(そういうのをフラグって言うんだよ)
また脱線しそうなので、今度は心の中で思うだけに留めた。
呪文を唱え終え、召喚獣が召還された。
親指からは白虎のトラチャン、人指し指からは炎龍のアチチ、中指からはフェンリルのポチ、薬指からは九尾のコンコン、小指からは麒麟のキンちゃん
を召還した。
(やっぱり、あの炎龍見覚えがあると思ったら私を倒した勇者が従えてた奴だわ、それにあの白虎も、勇者がいないなら二体までなら大丈夫だけど、全部で五体もいるじゃない、どうしよ他の三体も同じぐらい強そう)
内心、滅茶苦茶焦っている真央ちゃんだが、それを悟られないよう頑張っているが、社にはバレている。幼なじみなので。
「それじゃあ~皆殺っちゃって」
「ちょっと待って~そんな明るい声で殺っちゃってとか言わないで」
真央ちゃんの叫びは届かず、よってたかって召喚獣達にやられている。
炎龍には体当たりをくらい、麒麟には雷で痺れさせられ、フェンリルには前足で潰され、九尾には尻尾でビンタをされ、最後に白虎に頭から噛られ、ペッと吐き捨てられた。勿論皆殺さないように手加減をしている。それでも真央ちゃんはボロ雑巾だ。
「あ~あやり過ぎちゃったかな」
と言いながら、社が眺めていると、フラフラになりながらも立ち上がる真央ちゃん。
「真央ちゃん、諦める気になったかな」
「まだ諦めない、私は負けてない、召喚獣じゃなくて社が戦かってよ、じゃないと負けを認めてあげない」
(社は昔から私のお願いには弱かったものね)
「しょうがないな僕が戦うよ、真央ちゃんを殴るのはあまり気が進まないんだけどな」
(ヨシ!あの厄介な召喚獣さえいなければ勝てる)
とか思ってるんだろうな、真央ちゃんの考えは社には筒抜けだった。
「真央ちゃん知ってるかな、召喚獣は自分より弱い相手には従わないんだよ」
実際社には五体まとめて相手に出来る力がある。
「そんなのハッタリよね、社が召喚獣より強いなんて」
絶望的な宣言をされ信じたくない真央ちゃんは、尻餅をつき、震えながら後退りしている。
ここまで読んで頂きありがとうございます。他にも二作品投稿してますので、そちらも見ていただければ嬉しいです。




