5:みっちーのスキル
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「なあ、みっちーってどんな職業とユニークスキル持ってんだ?」
なんとなく聞いてみた。
それになんとなくだが、教えてくれそうな気もした。
「あまり言いたくないのですが、ゆっきーには言っても良いですぞ。わいの職業は『水の魔法使い』。ユニークスキルは『FPSゲーマー』と『美少女ゲーマー』ですぞ」
これを聴いた瞬間、みっちーらしいなと思った。
なにせみっちーはオタクだ。
だが、ただのオタクではなく天才オタクなのだ。
特にFPS。
あらゆる世界大会に出場しては世界一に何度でもなる天才。
それに齢18歳にして自身のFPSチームを持ち、FPSゲームや美少女ゲームを製作し株式市場への上場が視野に入るゲーム会社の経営者。
もちろん納税もしており、クラスメイトの誰よりも社会人をしているかっこいいやつなんだ。
「どういうスキルの効果?」
「『FPSゲーマー』は飛び道具に補正がかかったり、気配を消せたり、仲間の位置が分かるスキルですぞ。『美少女ゲーマー』は会話内容を振り返れたり、異性の好感度が上がりやすくなったりするスキルですぞ。わい的には異性の好感度が上がりやすいっていうのが一番うれしいですぞ。ハーレムも夢ではないのですぞ!」
確かにハーレムは男の夢だ。
みっちーの破格のユニークスキルがあれば簡単になせそうだ。
それにしても『FPSゲーマー』はやばい。
気配を消して近づき、一発で仕留める。
リアルゴルゴ〇3になれるんじゃないか!?
まあこの世界に銃があるかは知らないけど。
「スキルの説明でどういったものなのか知ったんだよな?」
「そうですぞ」
「その説明に違和感はなかったか?」
「違和感ですかな? 特になかったですぞ。取扱説明書みたいな何の面白みもないものですぞ」
比較サンプルはひとつだけだが分かったことがある。
もしかしたらあの説明は俺だけの可能性があるということだ。
それにこれがあの分からないスキルについてのヒントになるかもしれない。
「そうなんだ。ありがとう。みっちーが教えてくれたなら俺も言わないとな。俺は『二刀流(雑魚)』に『ツリーシステム』、そして名無しのスキルが一つだ」
「名無しとはどういうことですかな?」
「俺にもさっぱり。字が伏せられてるんだよ。何かなのだろうが今のところ不明って感じだ」
「それは恐ろしいですな」
「本当にな。まあさっきの質問でヒントはつかめた。俺のスキルの説明は人が話してるみたいな説明なんだ」
「と言いますと?」
「例えば『二刀流(雑魚)』だと、『剣に魔法どちらにも適性があるよ。目指せ異世界の二刀流! 目指せ異世界の大谷〇平! ただ雑魚みたいだから適正無しと同義かなー』って書いてあるんだよ。……てか口に出して読んだら腹立ってきた」
「まあまあ落ち着くのですぞ。確かにわいのとは全く違いますな。もしかしたらサポートもしくはガイド系のスキルかもしれないですぞ。いずれにせよ、時間が経てばわかるに違いないですぞ」
「そうだな。ありがとう、みっちー」
みっちーの言う通り時間が経てばいずれわかるだろう。
それに今はわかっていることに全力を尽くすべきだ。
そうでないと俺は誰よりも早く死んでしまうかもしれない。
「そうそう、ゆっきーに伝えておくことがありますぞ」
「なに?」
「成瀬さんのことですぞ」
「麗羅か」
成瀬麗羅は俺の幼馴染。
藤堂と同じく幼稚園の頃から一緒で俺の片思いの少女だ。
あいつの女性版という存在で、運動に勉学ともに優秀で容姿端麗。
街中でモデルにならないかと勧誘もされたほどだ。
そんな彼女と運動はできても勉強が得意でなく、容貌もイケメンとは言いがたい普通の容姿の俺とでは釣り合わない。
それにどこかのタイミングで彼女には好きな人がいると聞いたことがある。
誰とは聞いてないが、順当に考えれば俺と同じ幼馴染のあいつだろう。
似たもの同士どこか惹かれあうところはあるはずだ。
それともあれか?
あいつと麗羅って実は付き合ってたりするのか?
俺に内緒で?
なんか腹立ってきた。
そんなわけで俺は自分の気持ちを誰にも打ち明けていなかったのだが、みっちーにはお見通しみたいだ。
「成瀬さんは今いる国、水の国ストホルムの王都スデンで聖女騎士として活躍しておりますぞ」
「聖女ね。将来看護師になりたいとか言ってたからお似合いだな。それよりも聖女はまあいいとして騎士って言うのはどういうこと? オタクの俺でも聖女騎士なんて聞いたことないんだけど」
「聞くところによると、聖女としてのずば抜けた治癒能力はもちろんのこと、騎士としても一騎当千の活躍をしてるみたいでして」
なにこの俺との差は。
俺は幼稚園児で麗羅は化け物級の英雄。
どうやってこの差を埋めろと。
無理難題過ぎるだろ!?
片思いのハードル高すぎ!?
けどなんかな……
「ゆっきー、顔つきが良くなりましたな」
「そうか?」
「そうですぞ! 強豪校相手にノーヒットノーランをした日のように輝いてますぞ! さすがジャイアントキリング好きの変態! 相手が強いほど燃えるみたいですな!」
「変態って言うな、変態って。確かにモチベーションアップにはなるが、さすがに今の俺は絶望的すぎるぞ」
「勇者はスキル無しの木の棒から冒険を始めるのですぞ。スキルがあるだけ良いですぞ」
確かにその通りだ。
今は弱いかもしれない。
いつか今いる立場から大逆転し、圧倒的に突き放すことができるようにあのスキルたちを選んだんだ。
弱気になるな、前に進め。
止まらなければ俺は加速度的に果てしなく強くなれるんだ。
それに今の俺は間違いなく底辺だ。
ならこれ以上悪化することはない。
なにも恐れるものはないんだ!
そう決意してみっちーと会話を続けるのであった。
この時の俺は気づかなかった。
この空間に俺とみっちー以外に誰かがいたなんて。
その誰かの影響であんなことになるなんて想像もしていなかった。
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