2:テンプレ空間
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気が付くと漫画やラノベでよく出てくる真っ白な空間にいた。
白以外で見えるのは一緒に転移させられたクラスメイトだけ。
こんな状況に俺こと、篠幸村は思わず豪快に叫んでしまった。
「何テンプレ空間にクラス転移させてくれてるんだよ、あのバカ教師が! それに最下位の俺には運がないって言いたいのか、このクソ野郎が!」
クラス転移後の第一号の発声が大声での俺の罵倒であったため、皆が俺に注目する。
「ゆっきーの気持ちはよくわかりますけどいきなりそれはないですぞ」
俺に話しかけてきたのはじゃんけん大会29位のオタク友達、近藤光康。
通称みっちー。
みっちーとは高校からの付き合いだが、意気投合し親友になった。
そして俺にオタクの道を示した主要因の人物である。
「その通りだよ、幸村。今はこれからのことを考えないと」
みっちーに同意したのはじゃんけん大会1位の藤堂栄翔。
今回の転移はこいつがいたせいじゃないかって俺は疑っている。
なぜなら漫画やラノベでよく出てくる勇者のような人物だからだ。
文武両道。
眉目秀麗。
やることなすこと何でも上位に位置する男、それが藤堂栄翔なのだ。
それにこいつとは幼稚園からの付き合いだ。
そのためかやたら俺にこいつを紹介してほしいやら、ラブレターを代わりに渡してほしいやら、告白するからいつ時間が空いているか訊いてほしいなど様々な紹介や仲介をさせられた。
これで誰かと付き合ったりするのなら紹介や仲介した甲斐があるのだが、これがまた誰とも付き合ったりしないのだ。
少数だがこいつに振られた後俺のところに来て、「なんでもっと私のことをアピールしてくれなかったの!?」というような理不尽なことを言われたりするもんだからたまったもんじゃない。
なら藤堂から俺に対して紹介や仲介があったのかというと一切ない。
直接誰かを紹介してくれと言っても「それは絶対にできないかな」って苦笑いを浮かべながら言うものだから余計に腹が立つ。
「いやこれからとか言っても転移先のことなんてわからないんだから対策のしようもないだろう! それにお前はじゃんけん大会1位じゃないか! じゃんけん大会最下位の俺に何を言おうと腹が立つだけなんだよ!」
「ハハハ。運も実力のうちさ!」
「この野郎!」
俺たちが話をし始めてことでほかの者たちも会話を始めだす。
「私たちこれからどうなるの?」
「怖いよ」
「誰か助けてよ」
「ふざけたことしやがって」
「ほんとうにな」
不安の声の方が多そうだ。
そんなことを思っていると、
「みんなこれから今後のことを一緒に「お待たせしました。今からスキルの授与、並びに転移を行います」!」
藤堂が周りに声掛けを行っている最中に突如どこからか響く声。
誰もが会話を止め、周りを見渡している。
「指定された順に行いますので、順番までお待ちいただきますようお願い致します。では開始します」
開始の合図と同時に藤堂の足元が光だし、空間に溶けるように姿を消した。
「きゃああああ!」
女子の誰かが悲鳴を上げる。
それも仕方ない。
いくらアナウンスがあったとはいえ、藤堂だけが消えたのだ。
怖いのはわかるが俺はこれをあと28回見ないといけないのだ。
そのことを考えてくれ。
まあそれよりもだ。
「あいつが行ったか。みっちー、とうとう始まったけどどうする?」
「どうするもこうするもゆっきーが言ってた通り何の対策もできないのですぞ」
「そうだよなー。今ユニークスキルっていうのを見れたらいいんだが。……転生もしくは転移のお決まりでもやっておくか。ステータスオープン……うおっ! まじかよ!」
俺がまた大きな声を上げたことで皆が俺に注目する。
そんな俺が目にしていたのは名前に年齢、レベル、スキルが載ったステータス画面だった。
「ゆっきー、その反応はまさか」
「そのまさかだったよ。……みんな驚かせてごめん。ステータスオープンなんて言ったらステータス画面が出てきたからびっくりしたんだ。みんなも確認してくれないか?」
知りえた事実を共有する。
みんなが各自ステータスを確認し、自分は何だったと話し合っている。
ちなみに俺はこのようなものだった。
名前 篠幸村
年齢 18歳
職業 見習い魔法剣士?
レベル 1
ユニークスキル 二刀流(雑魚) ツリーシステム 〇〇〇〇〇〇〇
スキル なし
このステータス画面にはSTRやINT、VITなどは表記されないみたいだ。
それにしても職業『見習い魔法剣士?』
ユニークスキルも『二刀流(雑魚)』に『ツリーシステム』。
果ては〇が7個ある名前のないスキル。
よくわからないな。
ここはオタク友達のみっちーに相談だ。
「みっちー、相談したい、んだ、が……」
気が付くとこの白い空間には俺だけになっていた。
「まさかこんな短時間でスキルを決めたってのか!? いやもしかしたらスキルを選択するところの1時間がここでは1分なんてこともあったりするのか」
なんてつぶやいてると俺の足元が光出す。
とうとう俺の順番になったらしい。
さてどんなスキルがあるのだろうか。
残り物には福がある。
このことわざ通りでありますように。
俺は祈ることしかできなかった。
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