14:神域
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光が収まり、目を開けると白い空間にいた。
またあのスキル取得の場所にいるのかと思ったが違った。
空間が白いことには変わりはない。
だが、小川や草原が一面に広がっている。
「なんだこのへんてこりんな場所は。それに俺の手足にケガがない。どういうことだ?」
「それはあなたが神域にいるからですよ」
声の方へ振り向くと何かがいた。
そのなにかを俺は認識できなかった。
なにせ白い空間に白い何かが浮かび上がっている、そんな感じだからだ。
「あなたは誰ですか? それに神域って何でしょうか?」
「私は自然と調和の女神エレメイヤ。神域は私たちのような女神が住まう場所のことよ」
自然と調和の女神?
そんな女神は授業には出てこなかったな。
っていうことは異教徒と呼ばれる人たちが信仰する女神ということか?
「そうですよ」
「!」
俺は驚きを隠せなかった。
まさか俺の心の内を読めるのか!?
「その通りです」
どうやら本当に心の内を読めるらしい。
これじゃ何も隠し事はできないな。
「エレメイヤ様、なんで俺はこんなところにいるのでしょうか? ……まさか死んだのでしょうか!?」
「あなたは死んでいませんよ。それに敬語は不要ですよ。呼び捨てにしていただいても構いません。友達のように話してください」
死んでなかったのか。
それは良かった。
良かったのだが、そう言って油断させておいて呼び捨てで呼んだり、普通に話した途端俺を不敬だとか言って殺したりしないよな?
「そんな恐ろしいことしませんよ。私の名に誓いましょうか?」
エレメイヤの姿は輪郭ぐらいしかわからないのでどんな表情をしているか全くわからないが、ほほ笑みながら怒っている、そんなイメージが脳内を支配する。
姿かたち、表情がしっかり見えれば話しやすいのだが、これじゃあなかなか話すのが……
「難しいですか?」
また心を読まれたよ!
未知の体験過ぎてどうしたらいいのかわかんねえよ!
えっと、漫画やラノベだったらこういう時どうしてたっけな?
耐性をつけるとか神の使徒や眷属になるとかだったよな。
耐性をつけるのは全く間に合わないし無理だ。
神の使徒や眷属になれば、この神域から出てバレたら異教徒扱い。
あれ?
俺終わってるくね?
エレメイヤ様とまともに話せなくね?
「エ・レ・メ・イ・ヤ」
「……はい」
怖え!
脳内ののぞき見怖えよ!
なんで女神をいきなり呼び捨ていないといけないんだ!?
っていうよりもそもそもなんでエレメイヤ、もとい女神と普通に話そうとしてるんだ?
神託や助言をもらうのが普通で、面と向かって話す相手じゃないような気がするんだが……
ダメだ。
訳が分からなくなってきた。
「ふふふ、面白いですね。こちらを見てもらえませんか?」
エレメイヤそういうので見る。
「……あれ? なんか変わったような。輪郭がさっきよりはっきりと出てきた? というよりはっきりしてるよ」
テレビでよくある黒い影だけを映している映像のような感じのものが徐々に浮かび上がってくる。
その黒い影は丸みを帯びつつ引き締まるところは引き締まった綺麗なプロポーションをした女性。
「綺麗なプロポーションだなんて、私照れちゃうわ」
本当に恥ずかしがっているのかはわからないが、先程から黒い影がくねくねし始める。
そしてその黒い影が次第に薄くなり、それに伴い色も出現しだす。
ものすごくわかりやすいアハ体験をしていると思ったが口には出さない。
白磁器のように美しく透き通った肌に、夏の自然豊かな緑を彷彿させる鮮やかな緑のドレス、一本一本が黄金のようにきらびやかに輝きを纏う腰まで伸びた髪、そして何より、人間では考えられないほどにバランスの整った容貌。
まさに女神と言って過言がないほどの女性が目の前にいた。
はっきり言って今まで見てきた女性の中でエレメイヤほど美しい女性は見たことが無い。
見たことが無いんだが、
「麗羅の方が可愛くて俺の好みだな」
「なんであの女が出てくるの!?」
つい口に出してしまった。
それよりもさっきの発言が気になる。
「あの女って言ったか? それってどういう意味だ?」
「……私そんなこと言ったかしら? 記憶にないなー」
なんか女神なのにごまかし始めたぞ。
「ごまかしてなんかないしー」
「リスみたいに頬を膨らませてもごまかされないぞー。可愛いのは認めるが、いったい自分がいくつだとおも、ってる、ん、だ……」
女神相手でもこの年齢関係のワードは禁句らしい。
今だけは初めの時みたいに姿が見えない方が良かった。
だって女神が輝きを失った瞳と一切表情が読み取れない顔つきでこちらを見てるんだ。
怖い!
怖すぎる!
冷や汗がだらだら背中を伝う。
「……ええっと、どうしたら許してもらえますか?」
「……」
「……あのー?」
「……」
いったいどうすればいいんだよ!
喜んでもらえることをするとかか?
その手で行くならいったい何ができる?
なにか贈り物でもする?
いや、そんなものは今持ってない。
なら恋人になる?
いやこれは不敬すぎる。
なら貸し1つということにする?
いやこれは恐ろしすぎる。
そのほかだと信者や使徒になる?
いやこれも……
って今反応したぞ!
間違いなく口角が上がってたぞ!
それにしても信者や使徒になるのはあまり気が進まないんだけどな。
仕方ないか。
このままだとどうやったらここから出られるのか分からない。
機嫌を直してもらって教えてもらわないと。
嵌められた感満載だけどね。
「分かりました。大変美しい女神のエレメイヤの信者もしくは使徒になるので許してください」
「しょうがないですねー。私の使徒にしてあげましょう! ちょっとこっちに来てくれる?」
エレメイヤの言う通りにそばまで近づくと、俺の頬にエレメイヤの唇が触れる。
「えっ……」
「私の加護を与えました。頑張って成長してくださいね!」
いきなり視界が白くぼやけだし、俺の体がなくなっていくような感じに陥る。
「あらあらもう時間が来てしまったのね。今から転移させられた場所であなたは目覚めます。そこは東大陸ではなく極東大陸。亜人たちが大半の場所です。ここでは人間が嫌われています。理由は想像できますよね? 早くレベルを上げて亜人たちに虐げられないようにしなさい。まあ運よく初心者におすすめの森に転移されるみたいだから簡単には死なないわ。あとこれね」
視界がはっきりしない中でもわかるほどにマジックバックが光出す。
「錆びたナイフがあったでしょう? あれ私に縁のあるものだったんだよね。だからあなたはここに来られたの。あのナイフ使えるようにしておいたからしっかりと使ってね! 最後に女神教で祀られている7柱の女神には気をつけること」
視界がホワイトアウトしていき何も見えなくなる。
「じゃあ元気でね。私の大切で大……」
最後まで言葉を聞けないまま意識をなくすのであった。
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