11:旅路
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店を後にした俺は、乗合馬車乗り場の場所を確認してから自室に戻り、日課としているトレーニングを行い、夕食を食べ、就寝した。
そして翌日の早朝。
俺は太陽の国ソルソレイユにある太陽の神殿に向けて旅立つ。
水の神殿を出る際、授業をしてくれていたシスターとマジックバックをくれたシスターが見送りに来てくれた。
「篠様、基本的には安全な街道になりますが、森付近はそうではないこともあります。どうかお気をつけて」
「ありがとうございます。シスター達もお体にはお気をつけてください。では行ってきます」
「行ってらっしゃいませ。いつでもご帰還をお待ちしております」
シスター達に手を振り、水の神殿を出ていく。
事前に乗合馬車乗り場の場所を確認していたので迷うことなくたどり着く。
まず向かう先は水の国ストホルムの王都スデン。
ここに向かうのは今いるカナルールより北側、かつ、水の国ストホルムの王都だから太陽の国ソルソレイユに向かう乗合馬車ぐらい何個でもあるだろうという安易な考えだ。
王都スデン行きの乗合馬車に乗り込み、カナルールを出発する。
「全員が召喚された街なのに結局みっちーとしか出会わなかったなー。それにそのみっちーも召喚された日しか会えてないし、実質一人で異世界転移させられたようなもんだよな。それにしても勉強を教えてくれていたシスターは俺を馬鹿にしていた気がしていたんだがなんで見送りに来てくれたのだろう? まあどうでもいいか。子供たちがあのまま元気でいてくれたらいいなー」
離れていくごとに小さくなっていくカナルールに思いを馳せる。
それとあの錆びたナイフのことを思い出す。
「もしこのナイフを使った場合、どうなりますか?」
俺は武器屋を出る前にドワーフの男に訊ねていた。
「そうだな。おそらく獲物を刺すことはできるだろう。ただ、引っこ抜こうとした途端折れるだろうな」
寿命一回のナイフ。
これが今後どう作用するかはわからない。
だが、一回しか使えないという儚さにかっこよさを感じたのは秘密だ。
乗合馬車に揺られること半日以上。
早朝に水の神殿を出たのに王都スデンに到着したのは夜。
その間休憩を挟みながらだったが、乗合馬車に乗り続けた結果、おしりがとんでもないことになっていた。
サスペンションがないため、衝撃が直に伝わってつらかった。
日本、いや地球のあの技術はとんでもないものだったんだと理解させられた。
それにこれがまだ約3週間も続くことを考えると憂鬱でしかなかった。
とりあえず早急に空いている宿を探し、宿泊する。
そして日の出とともに乗合馬車乗り場を探し、王都スデンを発つ。
本来なら観光をしていきたいところだが、日程の余裕はあまりない。
それに王都スデンには麗羅がいるとみっちーが言っていた。
この世界で誰よりも逢いたい人。
そんな彼女を探し出し、一緒に行くということも考えたが、いなかった時のタイムロスを考え、こちらも行わなかった。
さらに北へと進んでいき、カナルールを出発してから1週間。
とうとうこの度最大の難所の国境付近の森が見えてきた。
このころには馬車の旅には慣れ、宿の店主から手に入れた秘密兵器の厚手のクッションを敷くことで当初とは違い、ある程度は快適な旅になっていた。
「ここが例の森か。森というからにはもっと道が荒れているかと思っていたけど、想像より整備されてるし危険なところとは思えないな……ってこれフラグか?」
そんなことをつぶやいてから十数分後、俺の乗った乗合馬車の周りを魔物が取り囲んでいた。
「俺めっちゃフラグ立ててるじゃん! ってそれよりもこいつはオオカミの魔物か? っていうことは……」
「ああ、こいつはフォレストウルフだ」
俺の声に反応したのは背中に体験を背負っているが体つきの良い男。
「ぼ、冒険者の皆さん、よろしくお願いします」
「ああ、任せろ。お前ら行くぞ!」
乗合馬車の御者さんが俺の声に反応した体つきの良い男に声をかける。
先程の男はもちろんのこと、先程の男以外に剣や弓などを構えた男女がフォレストウルフを撃退していく。
彼らはこの乗合馬車の用心棒で雇われた冒険者だ。
魔物の出没が少ないと言っても出てくるときは出てくる。
だからこの道を通るときは用心棒を雇って通るのが普通なのだそうだ。
そのため、運賃が今まで乗ってきた区間の運賃の3倍の値段を言われた時には目が飛び出るような気持ちになった。
ただこうやって魔物と戦っている冒険者を見ているとお金を払って安全を変えるなら安いものだと思わされる。
なにせ俺は見た目に反し、幼稚園児レベルの力しかない。
今戦っている冒険者たちは簡単に対処しているが俺にとってはボス級の魔物だ。
戦っている姿を見て勉強しよう。
そんな胸中で冒険者たちが戦っている姿を注視していると、
「危ない!」
そんな声が聞こえて来た。
声の方へ振り向くと5メートルほどの距離でこちらに向かって突っ込んでくるフォレストウルフが目に入る。
一瞬で距離が3メートルほどに縮まり、俺とフォレストウルフの視線がぶつかる。
フォレストウルフは俺を襲う気だ。
そう直感で感じた。
急いでカナルールで買ったナイフをマジックバックから取り出そうとするも間に合わない。
あっ、俺死ぬかも。
そんなことが頭によぎった時、ジャンプして俺に襲い掛かってきていたフォレストウルフがいきなり何かに跳ね飛ばされたかのように横に飛んでいく。
「えっ、な、なにが、起きて……」
フォレストウルフが飛んでいた反対の方から音が聞こえ、そちらを見ると人影が見え、それが次第に鮮明になるにつれて、俺は自然と笑みがこぼれた。
「ふっふっふー、危ないところでしたな、ゆっきー」
「みっちー!」
俺を助けてくれたのは、オタク友達で親友のみっちーだった。
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