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告白の旅へと出かけよう~親友に転移させられた俺は努力を重ねて彼女の下へ舞い戻る~  作者: 池春 藤斗


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10/19

10:旅支度2

クリックしていただきありがとうございます!

昨日考えた予定通り、道具屋と武器屋を目指して出発する。

水の神殿があるカナルールは水の国ストホルム3番目の都市。

活気があり、皆が活き活きしている。


「今夜の夕食に肉はどうだい! 新鮮なものが入ってきたよ!」

「今朝獲れたての野菜はいかがですか! みずみずしいですよ!」

「奥さん、お目が高いですね。これはですね……」

「合計3,340ディルになります。お買い上げありがとうございます」


このような声が通りを歩いていると聞こえてくる。

こんな声を聴いていると何かしら商品を覗きたくなるが、今回の目的は街ブラではない。

誘惑を振り切り、一つ目の目的地の道具屋に到着し、中に入る。


「いらっしゃい。初めて見る顔だな。何をお探しかい?」


店主っぽい男性が声を掛けてきた。


「一人旅をすることになったので、その道具を。もし携帯食料があるならそれもいただけると」

「なるほど。何か自前で持ってるものはあるかい?」

「いやないので、買い揃えようかと」

「なるほどなるほど。それならうちで全部買っていくといいよ。携帯食料も含め必要なものは全部あるから。初来店でまとめ買いしてくれるってのならサービスしとくよー」

「ちなみにどれくらいのサービスを?」

「そうだな……2割引きでどうだい?」

「3割引き」

「それは難しいな。2割2分」

「2割5分と携帯食料1週間分」

「……わかった。それでいこう」

「ありがとうございます」


つい関西人の血が騒いでしまった。

俺自身は関西人ではないが、母が関西出身でよくフリーマーケットなどで値切っていたのを思い出した。


「母さんたち、心配してるかな……いや心配していないなんてことはないか」

「おい、大丈夫か? 急に顔色が悪くなった気がしたが」

「だ、大丈夫です。じゃあ商品を見せてもらえますか?」

「おうよ!」


思わず呟いてしまった。

卒業式後、家族と合流し、予約してある焼き肉屋に行く予定だった。

その予定が何の前触れもなく、いきなり絶たれた。

幸せな時間になる予定がこんな異世界に放り出された。

家が恋しい。

家族が恋しい。

突如襲い掛かってきたホームシックと戦いながら買い物を進めていく。

ほとんど言いなりで道具等を買ってしまったが、優しそうな人だったから全く必要のないものを押し売りされたなんてことはないだろう。

そんな適当で身勝手な信用とともに店を後にし、次は武器屋へと向かう。

なんとなく大通りから離れ、なんとなく路地に入る。

迷路みたいに曲がりくねる道を進んでいくと武器屋の看板を掲げた店が現れる。

興味を惹かれ、中に入る。

壁一面に剣などが飾られ、床などもきれいに掃除してある。

とても路地裏にあるような店とは思えなかった。


「いらっしゃい。何か用か?」


声のした方へ視線を向けると一人のドワーフの男がいた。

身長は俺の胸ほどしかないが、見事に鍛えられた筋肉がこれでもかというほどに服の上からでも強調されている。

初めて見るドワーフに、普段の俺ならテンションが上がるところだが、ホームシックを起こしている現在、テンションが上がることはなかった。


「あー、武器を探してるんだ。軽くて丈夫なのってありますか?」

「そんなあいまいなこと言われてもな……まあいい。少し待ってろ」


そう言うとドワーフの男は何本かの剣を選び、俺の前まで持ってくる。


「ここにあるのがお前さんの要件を満たすであろう剣たちだ。まずこれ持ってみな」


ドワーフに渡され、持ち上げようとするも……


「……お前さんふざけてるのか?」


当然の反応だ。

なにせ見た目は大人、力は幼稚園児レベルの俺が普通の剣を持ちあげるなんてできるわけがないのだ。


「いや、ふざけてないんですよね、これが……」

「まあいい。次はこれだ。持ってきた中で一番軽いやつだ」


剣を交換し再度持ち上げようチャレンジするもピクリともしない。


「……」

「……」

「……」

「……すみません」

「これが持ち上がらないなら短剣……いやナイフしか無理だな。冷やかしのおふざけじゃなければな」

「せっかく選んでいただいたのにすみません」

「ナイフはそこに固まってるところしかねえ。自分で選びな」


ドワーフの男は指を指し、場所を示す。

俺はペコペコしながら指示された場所に行く。

そこには10本ほどナイフが置かれていた。

ナイフと言っても料理を食べるときに使うナイフほどの大きさではなく、包丁ほどの大きさだ。

刀身が黒いものから白銀のもの、果ては紅なんてものもあったが、目に留まったのはいずれのものでもなかった。


「これはなんだ? 錆びてるのか? いやけどこの店内の感じだと錆びたものを置くとは思えないしな……」


刀身と持ち手が黒のナイフ。

ただ錆びているのか、刃は刃こぼれを起こし、茶色い錆が付着していた。


「あの、すみません。これって売り物ですか?」

「どいつのこと言ってる。……いやこんなもん知らんぞ。くそ、誰かが置いていきやがったのか!? こんな売り物にすらならんごみを!」


ドワーフの男がいきなり怒声を上げる。

確かにこんな風に声を上げるのも理解できる。

このナイフは明らかに異質。

ごみとして捨てられるようなもので、こんなところにあるようなものではない。

だがなんとなく気になる。


「あの、これもらっていいですか?」

「あん? ああいいぜ。そもそも売り物じゃないし、明らかなゴミだ。持って行ってくれるならこちらとしてはありがたいしな。それでどうだ、何かいいものはあったか?」

「そうですね。……これでお願いします」


俺が手に取り、ドワーフの男に渡したのは先ほどのナイフと似た色のナイフ。

これを選んだのに特別な理由はない。

気になったナイフと色合い同じようなものだから。

それだけだ。


「そうか。なら代金は半額に負けておいてやるよ」

「そんなにいいんですか?」

「ああ、ゴミを見つけてくれたお礼だな。それにあんな錆びたものを置いてたら他の物まで錆びてしまう。下手したらナイフすべてがダメになってしまうところだったからな」

「ではありがたく半額の値段で買わせていただきます」


代金を渡し、ナイフを2本手に入れ、店を後にするのであった。


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