第1話―3 奈落流刑地:3
ワドラと契約した後、俺のハズレスキル:ドレインは、チートハズレスキル:ワードドレインへと進化した。
「ワードドレイン……つまりワードを奪えるって、意味だよな、でもどうやって?」
《『コトバ。この場所の名前は奈落流刑地らしいよー!』》
そうだ。
この場所の名前は、奈落流刑地だったな……。
どおりで真っ暗闇の世界なわけだ。
「ああ、俺をこの場所に追放したあのヤロウは、そう言っていた……かもな」
《『やったじゃん! 奈落流刑地、つまり人はあまり来ない、つまりコトバは、他の勇者召喚された奴より、やったじゃんな経験ができるってコトだね! ではチュートリアルといきますかねー!』》
(やったじゃんな経験って……なぜワドラの方がノリノリなんだよ)
「ワドラ、ワードドレインで戦う方法を教えてくれ」
《『よーし! ではまずー! そこのコウモリみたいなやつをスキャンしようか?』》
白いステータス画面の中にいるワドラが指を示した方向である洞窟の天井にいたのは……。
「逆さまでしがみつくコイツ……翼の先が刃……」
それは黒紫のモヤを纏い、獲物を狩ろうと逆さまで待つ、一匹の巨大なコウモリだった。
「あのなーワドラ。いきなりスキャンしろって言われてもな……どうやってやるんだよ」
《『コトバ、ワタシからなんでも教えてもらおうと考えるなよー! ワドラであるワタシは、コトバから聞いてこないなら答えは教えない、でもヒントは出す。要するにコトバをサポートするだけだよ、覚えておきな』》
「チッ、いいだろう! あくまで俺の戦い方は、俺が体験しながら、俺の体験した経験を積む、そう言うことだろ」
《『正解正解! じゃ、コトバがやることは?』》
「コウモリをスキャン!」
『ワードドレイン:スキャン発動!』
「はっ? ワドラのスキャンという言葉を奪ったのか?」
《『正解正解、スキャンという言葉がワードライブラリに追加されたからねー! ワードライブラリについてはあとで教えてあげるよー!』》
「ワードライブラリ? ……ん? なんかステータスとは違う画面が出てきたな、スキャン結果?」
コウモリがスキャンされた結果、俺の目の前にコウモリの情報が映し出された。
【アンデソニックバット LV.100】
【DHP 2000/2000 MP 10/10】
【SP 200/200 DP 0/0】
【WL保存可能スキル ???】
アンデソニックバット……LV.100?
俺はレベル.2だぞ!
レベル.100のコイツに勝てるわけがないだろーが!
DHPとか、WL保存可能スキルが【???】も謎すぎだろーが!
《『あっちゃー、やっぱり奈落流刑地なだけあって、負のHPしか持たないモンスターばかりかー、ほらコトバがドレインで死にかけた理由は、負のHPをドレインしたからだよ』》
「俺を斬ったアンデットの負のHPをドレインしたから、俺は死にかけた……まっ、そりゃそうだな」
『キキキキキキキキキキキキキ! キキキキシネキキキ!』
俺の声に気づいたアンデソニックバットが迫ってきた。
『キキキカースキキキソニックキキキ』
アンデソニックバットの翼から放たれたのは、回転するドス黒い真空刃だった。
「おいおい待て待て、こんな攻撃避けれる訳ねーだろ……グハァ! 血……」
【HP 15/30 刻想勇者の恩恵:カース浄化】
一撃くらっただけで、俺のHPが……。
しかもカース? が浄化された?
《『コトバ、どうするのかなー? このままだと死んじゃうよー!』》
「あのなーワドラ! ガチヤバなのは、俺が一番よく分かってんだよ!」
『キキキカースキキキソニックキキキ』
(でもどうする、どうするんだ、考えろ、考えろ、考えろ七色言刃……コイツは俺に真空刃を放つ前に、耳障りな声の中でカースとソニック……コトバ……それはつまり!)
『キキキカー――』
「させねーよ、コウモリ野郎! カースソニックをワードドレイン!!」
【ワード:カースソニックをドレイン、WLに保存】
『キキキキキキ? キキキキキキキキキ、がぁぁぁっ!』
やはり噛みつきか。
コイツの真空刃を放つ為に必要なワードは、俺が今、ワードドレインしてやったから当然か。
《『そうそうー! ワードドレインは、相手が敵意を持って放つ攻撃方法をドレインすることもできるんだよー! はいコトバー、これがワドラがワードライブラリから造った魔法だよー! 試してみな』》
俺はアンデソニックバットに向け、手を翳した。
「刻想の勇者たる七色言刃が命じる! 『ヘヴンリークレンジングソニック!』」
俺が呪文を唱えると、翳した手から白光の膜を帯びた真空刃が放たれ、見事にアンデソニックバットを斬り裂いた。
「はぁはぁ、やったのか?」
《『ほほー、初めての異世界のモンスターとの初陣なのに、一撃で仕留めるなんてねー』》
「いいや、ワドラのおかげさ、サンキューな」
《『まぁー、コトバとワドラの初陣の初勝利ってことだねー! ステータスオープン』》
ワドラが俺のステータス画面を表示させた。
「レベルが上がってる……しかも8レベル……ありえねー」
【LV.10/INF HP 15/100 MP 180/INF】
「レベルが上がったら、全回復するんじゃねーのかよ」
《『んなわけないない、コトバは生きてるんだから、怪我をしたら時間がかかるに決まってるじゃん! でも回復のワードがもしドレインをすることができれば、解決できるかもねー』》
「回復のワードをドレインか……こんなアンデット系モンスターしかいない、奈落流刑地じゃ望めないな……だから早くこの場所から脱出しないとな」
アンデソニックバットを倒した俺は、暗闇の世界からの脱出口を見つける散策を再開した。
第1話―3 奈落流刑地:3 完。
第2話ー1へつづく!
お読みいただきありがとうございました。




