第9話―1 奈落に呑まれし魔法修練塔:1
第四小屋でウィンドラが見つけた古代オルタシェイラの民が遺した書物。
その書物には、かつて奈落流刑地が魔法修練塔とその周辺だったという事と魔法修練塔諸共、邪魔術によって奈落に呑み込まれた事が記されていた。
◇奈落流刑地 風場の域 第四小屋内◇
「奈落に呑み込まれた魔法修練塔だと?!」
塔がそのまま呑まれるとか、普通にあり得ないだろ。
「ナナイロ殿、自分もラングウォルド殿もこの書物に目を通して、その様な事は俄かに信じがたい、と考えている」
「でもね、コトバ君。ここがもし本当に最初から奈落流刑地だとしたら、私達が今いるこの小屋と他の小屋、遥か頭上にある光の出口もあるはずがないの」
アリシェラの言う通り、ここは奈落流刑地と呼ばれる場所だ。
なのに安全な小屋が幾つもあるなんて、よくよく考えてみれば、確かにおかしいな。
「うむ。ナナイロ殿とラングウォルド殿が二つ目の小屋で見つけた、自分ではないオルタシェイラの魔導戦士が記した書物、陛下が自分に刻みつけた不死斧狼の奴隷刻印等の話から考えると、この書物に記された事は事実なのだろう」
「そんなことを言われてもな……、因みに上階層へ行く方法みたいなことは、その書物に書いてあったのか?」
「その事であるが……この書物には、『風場の域、吹き荒れる風操りし時、奈落に呑まれし塔、天上の光を掴めたり』と記されている」
この暴風をなんとかすれば、奈落に呑まれし塔が天上の光を掴める?
「奈落に呑まれし塔と天上の光と記された、この言葉が何を意味するのかを考えないといけないわね」
「そうだな。この周辺に手かがりが無いか、一度調べてみよう」
「うむ、あの吹き荒れる風に気をつけて行かねばな」
◇奈落流刑地 風場の域◇
とは言ったものの……、風が凄すぎるだろ。
目の前にいるアリシェラとウィンドラは、いかにも重そうな鎧を着ているから大丈夫かもしれない。
でも俺はここに来てからずっと学校の制服だぞ!
俺一人だったら間違いなく、この強風で吹き飛んでるだろ。
「それにしても……凄い風だな」
「そうだな、ナナイロ殿……ん? しばし待て!」
「ウィンドラ、どうした?」
「ナナイロ殿、この場を一歩でも動いたら奴に狩られる」
奴?
俺には何にも見えないが。
『かまいかまいかまいスラかまいかまいかまいかまいッシュ!』
《『ステータスオープン! コトバ! 余所見をするな!』》
「あっ? ……よっ! なんだ今……イタッ」
【HP:400/500】
イタッ、なんだよこれ……。
ちょっと掠っただけで、またHPが100も減りやがった。
「危なかった……サンキュー、ワドラ」
《『なんのなんの、気を抜くなー!』》
「ああ、分かってる」
もしワドラが声をかけてくれなければ、今頃腕が無くなっていたな。
「ナナイロ殿、ラングウォルド殿! どうやら相手は風の裂力を持つ魔物の様だぞ!」
暗闇の暴風の中に隠れている風の魔物か……。
スキャンする為に手を翳しでもしたら、手をスパッとされてしまうだろうな。
それなら、スキャンを放つのを手ではなく、魔導剣のアトリュソウルズを介して上へ放つ!
「よっ! アトリュソウルズ・ワード〈スキャン〉!」
ワドラ……、頼んだぞ。
《『ふむふむ……』》
「どうだ、ワドラ」
《『お待たせー! これが不死身魔物ちゃんの情報だー!』》
【アンデ・サイクロスラシュ・マンティス LV:200】
【DHP:3000/3000 MP:475/500】
【DP:0/1】
【WL保存可能スキル ・◇◇◇◇ュ ・サ◇◇◇◇】
こいつもやはり奈落で死んだモンスターか。
しかもこいつから奪えるワードが二つもあるな。
姿が見えないこいつに俺達が斬られて死ぬか、俺が先にこいつのワードを奪うか……。
こいつがさっき放ったワードが何かを知る必要があるな。
第9話―1 奈落に呑まれし魔法修練塔:1 完。
第9話―2へつづく!
【ワードライブラリ 保有ワード一覧】
[・スキャン][・ソニック][・カース]
[・ステルス][・ハント]
[・エグゼキュート]
【ワードライブラリ 保有KS式WM一覧】
[・ステルスソニックスキャン]
[・ヘヴンリークレンジングソニック]
[・ヘヴンリーエグゼキュート]
【ナナイロコトバ 装備】
・琴珠学園高校制服
・アトリュソウルズ
*2026年9月25日(金) 一部内容の改訂を行いました。




