第8話―2 奈落流刑地からの脱出鍵:2
KS式ワード魔法の重複作成はできない。
確かによくよく考えてみれば、そんな都合の良い力を持って、この奈落流刑地から脱出できたとしても、この世界から脅威判定される可能性が高い。
もし俺が本当に世界から脅威判定されたら、琴葉へ誕生日プレゼントを渡す想いも叶わなくなるということだ……。
◇奈落流刑地 洞窟◇
とりあえず[ステルスソニックスキャン]をウインドラに放ってみるか。
「ウインドラへステルスソニックスキャン!」
ウインドラ、そんな重たそうな巨大剣をよく両手で構えていられるな。
「……キタッ! KSワードソード! 無音探知波斬〈ステルススキャンスラッシュ〉! フン!」
ん? 一体何が起きたんだ?
ウインドラが剣を大きく振ったのに、剣を振った音が全く聞こえなかったぞ。
「自分は今、ナナイロ殿が放った探知の魔法をアトリュスウォードに変換させ、前が見えぬ前方に向かい剣を振った」
「ああ見れば分かる。でも俺のステルスソニックスキャンを使い、ウィンドラは何がしたかったんだ?」
「それであるが……、ナナイロ殿の探知魔法の波の跳ね返り、それにより洞窟の出口までの大体長さを教えてくれたのだ」
洞窟出口までの長さ?
一体どれくらいなんだろうか。
「なるほど! コトバ君の魔法は一応ワード魔法、スウォードさんも一応ワード魔法、だからスウォードさんの魔導剣にコトバ君のワード魔法を載せることができる、ということね」
そうか!
俺達三人が奈良流刑地を脱出していく上で、今後も色々な状況に遭遇することは当然だ。
だから悪い状況に陥ってしまったとしても、俺のKS式ワード魔法なら状況を打破できる時もあるということ。
もし俺がアリシェラのスペルズ型魔法の仕組みを理解できたとしたら……、そういった状況を打破できる可能性も高くなるかもしれない。
「アリシェラ、スペルズ魔法はオルタフェリアに行けば学べるのか?」
「ええ、スペルズ魔法はオルタフェリアへ行けば学べ……、えっ? コトバ君、今なんて?」
「オルタフェリアへ行けばスペルズ魔法を学べるのか?」
「はぁーーーーーー?!」
「そんなに驚くことなのか?」
「驚くもなにも、コトバ君はもう十分すぎる力を持ってる。だからそれ以上、力を持ってしまったら、コトダマに帰った時に困るのはキミよ」
「そうだぞ、ナナイロ殿。そもそもだが、ナナイロ殿がいた故郷には魔法があるのか?」
「俺が住む世界に魔法はないが、人によって創られた剣と魔法の世界を、俺達は影から見ているだけだ」
俺の世界には、この剣と魔法の世界と違い、ステータス画面も無い。
当然、その中にいるアトリュソウルズを握っている妹の姿をしたワドラもいない。
だから俺自身、目の前で起きている事が未だに信じられない感覚もある。
「影から見ている、ね……、つまり(魔導戦士もいない世界、平和な世界)か……」
「ん? アリシェラ、なんか言ったか?」
「いいえ、ただの独り言よ」
「そうか、ならいいけどな」
「またアンデットか! だが貴様らが何体来ようも、このウィンドラが焼き斬ってくれる! ウォォォォォ!!」
紅狼のウィンドラ、流石は魔導戦士だな。
でもなんか空気が変わってきた様な……。
気のせいか?
しばらく後……。
「オー! ナナイロ殿、ラングウォルド殿。洞窟の出口が見えてきた様だぞ」
「洞窟の出口? 何にも見えないが……、ん? これは風?」
◇奈落流刑地 風場の域◇
歩き続けた洞窟出口の先で広がっていたのは、勿論真っ暗闇な世界だ。
こんな奈落流刑地でも風の流れはあるんだな。
「スペルズ〈サーチラ〉! ……あっ! コトバ君、スウォードさん、あれを見て!」
「どうしたアリシェラ? ん? あれは?」
あれは……小屋か?
第8話―2 奈落流刑地からの脱出鍵:2 完。
第8話―3へつづく!
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