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第5話―2 奈落に呑まれし斧狼:2

最初の小屋と休憩小屋以外に別の小屋があるのだとしたら、追放された者達の痕跡があるはずだ。

 ◇奈落流刑地 洞窟◇


 あれからどれくらい歩いただろうか。

 でも微かに水の音がする場所まで来たのは分かる。



「コトバ君、もし……もしもだよ、奈落流刑地に追放されたオルタシェイラの魔導戦士が生きていたとしたら、どうする?」


 もしもオルタシェイラの魔導戦士が生きていたら?

 話が分かる奴なら話し合うだけ。

 逆に話が分からない奴なら……。



「話が分かる奴なら協力を申し出る、話が分からない奴ならそのまま置いていくだけだよ、アリシェラ」


「そう……、確かにコトバ君のその力を見て、話が分かる人ならコトバ君に協力してくれるかもだし、逆にオルタシェイラ王に密告する人かもしれないし、だね」


「ああ、だからまずは話を聞いてから決めるよ……」



 ワードドレインのチカラとワドラの存在をオルタシェイラ王と通じている奴に、万が一知られたりでもしたら、その時俺は……。


「なんかまた変な話をしちゃったね、ごめんね」


「謝ることはないよ、アリシェラ。あの日記自体が罠の可能性もある、だから慎重に行こう」



『ガァァァァ! ショケイ! ショケイ! ショケイ!』



 あの斧狼野郎が近くにいるな……。



「ステルス!」


「あれ? コトバ君? どこに行ったの?」


「アリシェラにステルス」


「いたいた。コトバ君が急に気配が消えたからさ」


「アリシェラ、あれを……」


「あれ? あれは松明の灯……もしかして生存者?」


 松明の灯で斧狼の姿をやっと少しだけ把握することができたな……ん? 

 なんだあれは? アクスウルフの腕に666?



《「なんだよこの不死身のアクスウルフはなん――」》



『ショケイ! ショケイ! ガァァァァ! ショケイ!』



 うっ……。

 問答無用で……斬り落とすとか……、なんだ? 震えと寒気が止まらない……。



「……ひどい……コトバ君、大丈夫?」


「ああ……震えと寒気が……、人が死ぬ瞬間を見るのは、初めて……だから……」



 これは夢でもゲームの世界でもアニメの世界でもない。

 この震えと寒気の感触は本物……、でも……。



「……でも、あの斧狼を倒さないと俺は妹に会えず死ぬ。俺も一度、あの小屋で死んでいるし、俺がこうして生きているのは、ワドラのおかげなんだ」



《『ステータスオープン』》



 ワドラ……。



《『コトバはどうするのかなー? いくら魔法の再発動までの時間が無限だからって、MPが0になったら充填されるまで使えないよー』》



 はっ? 充填されるまで使えなくなる?

 ……おい嘘だろ!



【MP:3/INF】



「コトバ君、この消えるワード魔法を解除しないと!」


「そうか! ステルスを解除」



【MP:300/INF】



《『コトバ。お前が目にしたあの光景も、ステルス二人分でMPを消費し続け、危うくワード魔法が使えなくなりそうだったことも全て、お前が判断して決めないといけないことだ、お前はどうするんだ?』》



 なんだよワドラ、そんな顔で腕を組みながらこっちをみるなよ。



「……どうするもなにも、俺はこんな場所で死ぬわけにはいかない……、だからと言って、アリシェラを切り捨てるなんてこともしない、俺だけでは奈落流刑地から脱出するなんて無理だ」



《『そうだ、コトバ。お前が果たすべき目的、それは見失ってはダメだ、分かったかなー?』》



「ああ……分かったよ、ワドラ」



 俺が無意識の内に、またあの斧狼に斬られてしまったら……なんてことを考えていたことを、ワドラに見抜かれていた。



《『はい、コトバー! あの時と今、コトバが持つ力はどう変わったのかなー?』》



 俺が持つ力がどう変わったのか?

 そうだ! 俺にはあの時と違い、今はワードドレインがある!

 アイツの情報を見る方法なら、もう俺の中にあるじゃないか。



「コトバ君、どうするの?」



 今の俺ができること、それは!



「斧狼をスキャン!」



【アンデアクスットウルフのスキャンが完了】



 スキャン結果は……、これはなんだ?!


【ウィ◇◇◇・ブ◇◇ヴ・ス◇◇◇ド 2◇ ◇】

【LV.6◇6 DHP:6◇6◇/◇6◇6 MP:6◇66/◇6◇ DP:0/1】

【状態:常時ア◇◇◇ト】

【備考:不◇◇狼の奴◇◇印が発◇中!】


「こ、これは……コトバ君、あのアクスウルフはやっぱり……」


「アリシェラ、このままあの斧狼と戦うのはまずい。とりあえず小屋を見つけて作戦を練ろう!」


「小屋? コトバ君、小屋ならあそこにあるみたいだよ」


「よし! 俺とアリシェラにステルス」


【MP 250/INF】


 MPが50も減るのかよ。

 でもこの距離なら足りる!



 俺達は斧狼に気づかれない様に、アリシェラが見つけた近くある小屋へと向かった。



 あの斧狼……、この国は一体どうなっているんだ?



 第5話―2 奈落に呑まれし斧狼:2 完。

 

 第5話―3へつづく!

【ワードライブラリ 保有ワード一覧】

 [・スキャン][・ソニック][・カース]

 [・ステルス][・ハント]

 

 【ワードライブラリ 保有KS式WM一覧】

 [・ステルスソニックスキャン]

 [・ヘヴンリークレンジングソニック]

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