第4話―3 奈落に棲む不死の魔物:3
大鎌蜘蛛からワードドレインしたワード:ステルスとソニックスキャンを組み合わせた新しいワード魔法:ステルスソニックスキャン。
あの斧狼に勝つにはまず、情報収集が必要だ。
俺は頭上に手を翳した。
「ステルスソニックスキャン!」
「あれ? コトバ君、今なにかした?」
「ああ。ソニックスキャンを改良したワード魔法、ステルスソニックスキャンを周囲に放った」
「ソニックスキャン? あー、アクスウルフと戦っていた時に飛んできたコトバ君が飛ばして、私を助けてくれた探知のワード魔法ね」
「そうだ。あの時、ソニックスキャンを放ったまでは良かった、でもアリシェラに気づかれたからな」
「あー、それはね。魔導戦士は探知魔法の発動場所を巡れ……あれ? ちょっと待って」
「どうした?」
「あの死なないアクスウルフはなぜ、コトバ君の探知魔法に気づいたのかしら」
確かに。
俺のソニックスキャンにアリシェラが気づいたのは、本人が魔導戦士だからと言っていた。
でもあの斧狼は、魔導戦士じゃなくてアンデットだ。
《『コトバはどうするのかなー?』》
「ワドラ……どうするもなにも情報がない」
情報……、情報……。
「コトバ君、あれ見て……小屋がある」
小屋?
なぜこんな場所にまた、あの小屋があるんだ?
「コトバ君、どうするの?」
「とりあえず……あの小屋に行ってみよう」
「ええ。慎重に、気をつけて行きましょ」
「ああ、分かった」
あの灯のない小屋、大丈夫だろうか……。
◇奈落流刑地 小屋前◇
「スペルズ《サーチラ》……うん、アクスウルフの反応は無いわね」
「じゃあ、中に入っても大丈夫だな」
とりあえず中に入ってしばらく休もう。
「じゃっ、コトバ君、開けるよ」
「アリシェラ、頼む」
アリシェラによって開かれた小屋の中は、俺が最初に入った小屋とは違い、然程も荒れてはいなかった。
「ふぅー、これなら……コトバ君」
「なんだ? アリシェラ」
「少しだけ休もう、でも灯りを灯したら、アンデット化した魔物やアクスウルフに気づかれるかも、だから聖精霊ワドラ様をお――」
《『ステータスオープン! アリシェラ、呼んだー?』》
「わっ! ……聖精霊ワドラ様……」
《『アリシェラ? どうしたのー?』》
「なんでもないですよ。でもなんだか不思議な気分、異国の少年の勇者と魔導戦士の私が、一緒に奈落流刑地の出口を探している、なんてね」
「そうか? 俺はここに来るまで、異世界なんて信じていなかったし、それに数時間前の俺の目の前に映っていた光景は、明るい世界だったからな」
「コトダマという国から勇者召喚された、少年か……とりあえず向こうに座って外を見ながら休んでいるから、なにかあったら声をかけてね」
「ああ、分かった」
静かだな。
俺が最初に斧狼に斬られたあの小屋とは大違いだ。
《『コトバ、お前はステータスを確認しなくてもいいのか?』》
「ワドラ、お前が今も俺に見せてるだろ?」
《『そうだったな、何かあったら起こしてやる、だから今は少しだけ休みな』》
「ああ」
俺はステータス画面の中にいるワドラを見ながら、ゆっくりと目を閉じた。
(琴葉……コトにぃは、お前と父さんと母さんの元へ……必ず帰るからな!)
【LV.30/INF HP:125/250 MP:300/INF】
【WL容量:INF WL保存済みスキル:7】
第4話―3 奈落に棲む不死の魔物:3 完
第5話―1へつづく!
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