第4話―2 奈落に棲む不死の魔物:2
アリシェラの言う、奈落流刑地に流れているという異様な邪気。
魔導戦士という強そうな肩書きがあるアリシェラは、なぜ倒せないのだろうか……。
「この奈落流刑地に流れる異様な邪気? アリシェラにはそれが見えるのか?」
「えっ? コトバ君には、この奈落流刑地の地表の至る所で噴いてる紫黒の邪気が見えないの?」
地面から噴いている紫黒色の邪気?
でもよくよく見てみたら、霧みたいなモノが微かに見えるな。
「微かに見えるこの霧はなんだ?」
「やっぱりコトバ君にも見えるんだ?」
「ああ、アリシェラが灯りを照らしてくれているからな」
「あっ確かに、じゃなくて! ……私自身、奈落流刑地が本当にあるなんて考えてもいなかったし……、でも聖精霊ワドラ様が見せてくれたサイス・スパイダーの情報から考えてみると……、奈落流刑地で死を迎え、この邪気の霧に晒され続けた魔物はアンデットとして復活する、そんな感じかな」
邪気の霧に晒され続けた魔物が不死身化する……。
もしワドラと契約していなかったら、今頃俺もアンデット……んなことを考えるなんて、今を信じるタイプの俺らしくないな。
「あと、私が発動できるスペルズ魔法には、聖浄化の魔法がないだから、私には倒せ――」
『ガァァァァ!』
斧狼の咆哮か!
「アクスウルフが徘徊を始めたみたいね……コトバ君、どうするの?」
「アイツに真正面から挑んでも勝てる確証はない、だから情報を集める」
「情報を集める、ねー。でもどうやって情報を集めるの?」
「これを使うんだ、ワードライブラリオープン」
《『はいはいー! 呼んだー、コトバ?』》
「はっ? そうか……ワードライブラリでワドラ、か」
《『今頃気づいたのー? まっ、いいやー、これがコトバのワードライブラリだよ』》
「これがコトバ君がワードドレインしたワード……」
【ワードライブラリ 保有ワード一覧】
[・スキャン][・ソニック][・カース]
[・ステルス][・ハント]
【ワードライブラリ 保有KS式WM一覧】
[・ソニックスキャン]
[・ヘヴンリークレンジングソニック]
ん?
ワードライブラリに保有しているワードとは違う、[保有KS式WM一覧]?が表示されているな……、KS式WMってなんだ?
「コトバ君、この下の表示。これってコトバ君のワード魔法のことじゃない?」
《『さすがーアリシェラー! そうだよー、コトバがこれからどれだけ長い間この世界にいるのか、それはコトバにしか分からないからねー』》
「そうだな、ワドラ。でもこのKS式WMってなんだよ」
《『はいはいー! KS式WM! コトバは刻想勇者! つまりKokuSou、だからKS! WMは、ワードマジック! つまりワード魔法! つまり刻想勇者式ワード魔法だよ、ってことだよー!』》
「なるほど……コトバ君がワードドレインしたワードを組み合わせる、そのワード魔法はコトバ君にしか扱えない……、もし一歩間違えたら、世界の脅威に成りかねない……か」
「アリシェラ、俺は琴珠市に帰りたいだけだ。だから世界の脅威になるつもりはないし、脅威判定されても困る」
「コトバ君……、君はコトダマに帰りたいだけなのかもしれない、でもその力をオルタシェイラ王……いいえこの世界を代表とする国々が気付いてしまった時、君を間違いなく脅威として認識するか、傀儡にしたい存在として認識して動くか、それぐらいの力なのよ!」
「アリシェラ。今は奈落流刑地を脱出して、アリシェラの故郷であるオルタフェリアに行くのが先。そこからどうするのかはその時に決めるよ」
「ごめん。ただ、コトバ君のその力、ワードライブラリだっけ? それはコトバ君が本当に信頼できる人にしか見せない方が良い」
確かに、ワードライブラリを見ることができるのは、今のところアリシェラだけだ。
問題は奈落流刑地から脱出した後。
人目につく場所でステータスを開いたり、ワドラを呼び出したりするのは控えないとな。
《『コトバはどうするのかなー? ワード魔法を作るのかなー?』》
「ワード魔法のソニックスキャンとワード:ステルスを組み合わせて、ワード魔法:ステルスソニックスキャンだ」
《『はいはいー、ソニックスキャンとステルスね……………はいどうぞー! ステルスソニックスキャン!』》
ワドラ、そんなドヤ顔でこっちを見るなよ……。
でも新しくできたステルスソニックスキャン。
あの斧狼もこれだったら探知もできないだろ。
第4話―2 奈落に棲む不死の魔物:2 完。
第4話―3へつづく!
【ワードライブラリ 保有ワード一覧】
[・スキャン][・ソニック][・カース]
[・ステルス][・ハント]
【ワードライブラリ 保有KS式WM一覧】
[・ステルスソニックスキャン]
[・ヘヴンリークレンジングソニック]




