表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
青春のクソページ  作者: ペアトップ
一章: 雑多なチュートリアル編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

6/20

6話 ロマン、あるいはゲームの醍醐味


 時間にして現在時刻12時半。もうお昼時とあって魔物は外で活発に行動する時間だろう。現に、家の外には見るからにやばそうな敵が何匹か彷徨っていた。


「おぉっほー! 相変わらず結構いるね。朝と変わってないや」


「昼時だしね。腹でも減ってるんじゃない?」


 二人とも武器を構えつつ歩く。家は石塀に囲まれているため少し見にくいが、出口に立てばよくわかる。敵の数は全部で6体。近くに4体と、遠くに2体だ。


 案外見た目だけでどんな生き物なのかわかるもので、一体は5歳児くらいの小さな小鬼ーーゲームでよく出没する最初の雑魚種であるゴブリンだった。そしてその近くには透明な生き物。こいつも序盤に出てくる雑魚種だ。柔らかくて骨もない液体ーースライムだろう。

 そのほか兎が宙に浮いて回ってたり。樽が歩いていたりするが、こいつらも多分魔物。流石に味方じゃないだろう。ヘルズが俺たちより先に歩き始める。


「さっきは冗談っぽく言ったけどさ。死んだらマジで殺すから」


 顔は見せないが、おそらく本心であろうその言葉にメタクラックと軽く頷きあった。この世界が現実である以上ここからは命の駆け引きを行うことになる。まあ、だからと言ってごちゃごちゃ面倒なことを考えていると動く体も動かないから気にしないけど。


「適当でいいんだよこういうのは。真面目なのは性に合わない」


「今更ね。ま、ゲーム通り動けるように気合いで頑張るしかない」


 ゲームと現実。その圧倒的な違いが一つある。それを直に感じるか否か。まずは実戦を行って確かめるのが先だ。

 早速、魔物がこちらに気づいて走ってきた。リハーサルはなし。いきなりの実践だ。


 他二人よりも前に出る。走ってきたのは緑色のしわ付きのゴブリン。顔だけで言うならとうに90歳は越えてますみたいな怖い顔面のそれが手斧を持って走ってきた。周辺を見る。スライムは動く様子はなし。他の魔物も俺たちには気づいたがすぐには襲ってきていない。その手斧がきらりと光った。ゴブリンは飛び上がると思いっきり振りかぶり俺の顔めがけて振り下ろしてくる。あまりにもわかりやすい攻撃に拍子抜けするとともに、誘っているのかと一瞬警戒するほどだが、しかし手斧は地面に叩きつけられその反動で割れた。


「いきなりか。けど思ったより遅いな!」


 わずかに体を避けることで回避……なんて現実で初めてしたぞ。それも緊張で直前まで動かなかったわけじゃなく攻撃を見て避けるとか。いや、そもそもの子供サイズだ。手も腐ったような死臭香る骨と皮だけの軟弱。であればこの程度の攻撃になるのもうなずける。


「おっと、悪い。煽ったわけじゃないぞ。ちゃんとした本音だ」


 左の引っ掻き攻撃を後退して避ける。いくらか威勢のいい引っ掻き攻撃を続けていたが、その都度隙があった。警戒している分、損している感じがするのは気のせいだろうか。ゲームなら今のうちに三回くらい蹴飛ばしていただろう。とはいえ、ゲームと現実の大きな違いは身体能力の差だ。攻撃できると思っても自分がどこまでうまくやれるのか、イメージに少し誤差があるはず。


「悪いが、本気でやらせてもらう!」


 思いっきりゴブリンを蹴り飛ばす。やつは数度跳ねて転がった。その隙に包丁を取り出し首を一撃。血が噴き出た。ゲームのように赤いポリゴンが噴き出るというわけではなく、紫色の血がタラタラと噴き出ていた。結構グロいな。R15はありそうだ。

 っと、そこで気配がして背後を見る。


「これなんてゲーム!? メタクラックくん!?」


「ああ、ちょっと今話しかけないでくれる!? 集中してるから!」


「はいはい!」


 二人も戦闘を開始していた。ヘルズは樽に手足が生えた魔物。メタクラックは宙に浮いた兎を相手していた。どちらもよく分からない魔物だ。見たこともないし、メジャーってわけじゃない。ちょうど足元にいたスライムを踏みつぶし、観戦することにする。


「……」


 ウサギがこちらを見ながら手をかざした。光が収束する。ぴかっと光ると、光の玉のようなものが目の前に出来た。ふむ、あの感じ……なんか知ってるような……


「え、嘘でしょ飛び道具!? みんな伏せろ!!」


「こっちもだ!!」


 二人が同時に言った。ヘルズの方を見ると樽が持っていた刃物で自傷(?)していた。その拍子に上から何かが飛び出してくる。全身包帯をまわしたミイラみたいな生き物だ。ってかこっちに飛んできてね?嫌な予感を感じ横に転げながら回避する。


「うおっ!? え!?」


 地面が爆発し、破片が飛んできた。それらをどうにか避けて耐える。同時に光線が地面を削りながらさっき俺がいた場所を真っ二つにし、100メートル先の看板に穴を空けた。背後の草木が燃え始めている。


 なんつー威力!初戦の魔物(エネミー)が出していい威力じゃねえ!?兎を見てみると、全部出し切ったのか力なく地面に倒れていた。一発限りの最強技……ってことだろうか。だとしたら迷惑すぎる……。

 ミイラの方は落ちた拍子に頭をぶつけてふらふらしていた。もしかしたら光線にあたって死んだか、とも思われたがそれはギリギリ避けたようだ。


「なるほど。あっちは一発屋でこっちは防御型から攻撃型に変身するわけか。色々ギミックがある分面倒ごとは多いけど、種がわかればいけそうだね」


 ミイラの頭をサクッと刺殺したヘルズはこちらを見る。もし俺が先に戦闘を終えてなかったら光線かミイラの斬撃か、どちらか掠っていてもおかしくなかった。助かったというのもあながち間違いじゃないだろう。


「っていうかメタクラック! もっと他所で戦えよ! 二次災害もいいとこだぞ!」


「ごめーん! まさか光線飛ばすとは思わなくてさ! 警告したし許してよ!」


「ちっ、にゃろう」


 わざとではないだろうが、妙にムカつく謝り方しやがる。もしかしたらヘルズにもあたる可能性があったからな。そこらへん注意しないと流れ弾で死にかねん。そんな死に方は絶対ごめんだ。


「ぷっ。……まあ、私は無関係ってことで。知らんぷりしとこ!」


「お前も同類だ。ミイラ向けてきやがって」


「ごめーん! まさか樽からミイラ飛んでくるとは思わなくて! 警告したし許してよ!」


「……」


 そりゃ俺もまさか樽からミイラ飛び出てくるとは思わなかったよ。多分あれ黒ひげ危機一髪だろ。仕組みがまんまそれだったからな。

 まあともあれ、残りの敵は遠くにいる二体だ。一体はイノシシでもう一体は猿。どちらも大した敵には見えないが、どっちかというとイノシシの方が危険そうだ。体当たりは速度によって避け切れない可能性も十分ある。そっちは槍持ちのヘルズにでも任せるか。

 

 その時、頭の中で音が聞こえてきた。


《おめでとうございます! ゴブリン・並びにスライムを討伐しました》

 ・貢献度は10です。

 ・経験値を40獲得しました。

 ・レベルが上がりました。

 ・現在のレベルは2です。

 ・ステータスを確認します。

 ・ステータスが確認できません

 ・ステータスを作成します。

 

 先ほどゴブリンとスライムがいた場所からポンっという音がする。死体が消えていた。さっきまであった血もきれいさっぱり消えている。どうやら魔物は倒したら血と一緒に霧になってきていくようだ。ありがたい。血が残っていると匂いで魔物が引き寄せられるだろうからな。


 カランッと何かが落ちた音が聞こえた。視線を向けると、綺麗な石が落ちていた。それと何かの素材らしきものが転がっている。


「聞こえた? 二人とも、今の声」


「ああ、これが噂の天の声だな。ステータスを作成するとかなんとか言ってたけど」


「物は試しだよ。ステータス」


 ヘルズが言うと、横に何か出てきた。これまたありきたりな出し方だな……と思ったが実際に出てくると興奮する。流石の俺も中二病こじらせた時期にステータス、なんざ口に出したことはないが、ロマンはあるに越したことないよな。


「……なるほどね」


「何か書いてあったか?」


「いいや、何も。作成中って文字が書かれてて、特に変動はないよ。どうやら作るのに時間がかかるみたいだ」


「へぇ、それは初耳だな」


 ゲームならステータスは片手間に見れるものだ。作成に時間がかかるなんてことは聞いたことがない。


「俺も同じ表記だね。ローディングしてるみたいだ」


「いよいよだな」


 ローディングなんてゲーム以外で聞かないぞ。もう完全にこの世界ゲーム化してんじゃねえか。まあ今更だし疑問は持たないけど。とりあえずステータスに関しては一旦置いといて、それよりドロップ品の確認だな。なんか遠くの魔物はこっちを見るばっかで襲ってこないようだし。そっちは無視でいいだろう。近くに落ちたゴブリンとスライムのドロップ品を手に取ってみる。


 ゴブリンのドロップ品は二つだった。一つは綺麗な宝石みたいな石だ。定石通りなら魔石ってやつだろう。もう一つが手斧。今すぐにでも壊れそうなおもちゃみたいな武器。落とされても困る。

 スライムのドロップ品も二つだった。一つはゴブリン同様魔石だ。ゴブリンよりも少し小さいか。あっちが指先から第二関節くらいの大きさならこっちは第一関節くらいの大きさをしている。大きさの違いは強さが関係してるのか?そこはこれから要検証だな。もう一つのドロップ品は液体の入ったメスシリンダーみたいなガラス瓶だ。コルクでとじられていて、中身は水色の液体が入っている。


「なんだろうなこれ。回復薬っぽいけど……」


「得体のしれない液体は飲むなって相場が決まってるよ。先駆者が出るまで待つのが得策だね」


「先駆者? …まさかこの三人の誰かが飲むってことか? 俺は嫌だぞ?」


「私も無理。ロシアンルーレットでも飲まないよ」


「いや、そう言う意味じゃないけど……まあとりあえず、持ち帰って取っておこう。それもドロップ品の一つだ」


 これがドロップ品か。取っておくのはいいとして、本当にものを落とすんだな。しかもその生物とは全く関係なさそうな水の入ったガラス瓶。これはスライム限定ってわけでもなさそうだし、もしかしたら魔物によってはめちゃめちゃ強い武器とか落とすんじゃないだろうか。なら俄然やる気が出てくるな。


「ふふふっ、この何が出るか分からないワクワク感。ゲームの醍醐味だよなぁ」


「たしかに。ゲームって何が起こるか分からない序盤が一番面白いからね。この気持ちはゲーマーにしか伝わらない」


「沼るやつね。私もこういうのは結構好きだよ」


 ゲームあるある。自由に冒険して自由に魔物狩って、どんな報酬がドロップするかはお楽しみ。もしかしたらゴミがドロップする可能性もあるけどもしかしたらレアなアイテムがドロップする可能性もある。

 ゲーマーならこれにロマンを感じないなど皆無だ。絶対この二人よりいいもの見つけて自慢してやる。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ