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青春のクソページ  作者: ペアトップ
一章: 雑多なチュートリアル編

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16話 弱者救済か強者の特権


 とりあえずヘルズの風呂上りを待って、三人集まったことで早速俺たちは現在の状況と今後の行動について整理することにした。


「さてと、この一か月(あめ)(かぜ)(ゆき)黄砂(こうさ)と、天気の神様は喜怒哀楽全部やっちゃってくれたわけだけど、今日は機嫌を直してくれたっぽいので、一旦ここ一か月で分かった新情報を整理して魔物狩りを再開しようと思います」


 例にもれなくホワイボードを使って説明してくださるのはメタクラック先生。そしてそれを聞くはソファに座る生徒二名。名前は言わずもがな(キュウタ)とヘルズ。


「まず、今回整理する情報は主に二つだ。一つが一か月前から稼働させ続けているシラトの効果についてと、もう一つがドロップ品について」


 大事な情報はその二点。俺もメタリック同様そこさえしっかり理解できていれば問題ないと思っているので認識が他二人とちゃんと合致しているのかを確かめる必要がある。ここ一か月遊んでばっかでこの世界の情報についてはまったく示し合わせてなかったからな。誰かが知らない情報がないように情報の整理はしておくべきだ。


「んで、最初のシラトについてなんだけど。これは新たな情報が一つある。信憑性はテレビから半分。実際の経験半分ってところだ」


「一応確信してるってことか?」


「まあそうだね。ほぼ間違いないから信じていいと思う」


「ほう」


 シラトの効果についてはまだ未知数な部分が多い。例えば結界に関しても俺たちの知らない効果がまだ存在するのかもしれないし、他の効果も存在するかもしれない。何分異世界物である以上全部をすぐに理解するっていうのは難しい。隠された機能、なんてあればなおさらだ。


「それで、その情報っていうのは?」


 ヘルズが冷蔵庫から取り出したアイスを食べながら質問する。


「ズバリそれは、電気ガス水道の使()()()の開放だ」


 実のところ、天候が荒れ始めてすぐにシラトの効果については詳しい情報がされていた。ゲームをしている時は半日ずっとこの情報がテレビで放送されていたのだ。それだけこの世界にとって重要な情報であり、人類にとって生き残るためのキーとなる情報だと言っていい。それがシラトの二つ目の効果だ。


「シラトに魔石を入れると、結界の効果時間と同等の時間、電気もガスも水も使用することが出来るようになる。これはうちが一か月ずっと使い続けられる根拠にもなるし、実際電気やガス諸々使えない家が、魔石を入れた途端使えるようになったという報告が数えきれないほど存在するらしい。まず間違いないだろう」


 それがシラトの効果の全容だと、メタリックは語る。

 電気ガス水道の使用権か。考えれば考えるほど不思議なもんだ。原理や理屈に関しては魔法ということで一旦置いといて、シラトという異世界物はあまりにも人類に画期的かつ重要なアイテムだ。なにせ、魔石を入れるだけで安全な住居とそのための環境が整えられるわけだからな。これほど単純でありがたいシステムもそうはないだろう。


「まあ、考えてみればこのくらいは当然の処置なのかもしれないね。というか割に合わない」


「どういうことだ?」


「だって世界中に何十何百億って人が暮らしてるんだよ? 一人一人避難場所に避難させるなんて到底無理な話だし、今世界中の人間が常に命を狙われている状況だ。軍隊や自衛隊がそんな市民を守るなんて不可能。魔物はどこからともなく湧き上がるうえ、武器も有限だ。もちろん、安全な場所を作るのだってそれなりの労力がいる。となれば、最低限人類側が生き残る処置として一人一人自らが安寧を守るシステムはあって然るべきだと思う」


 なるほど、たしかに言われてみればそうだ。今世界中で魔物に襲われる人たちがごまんといる。そんな中、日本の自衛隊がどこまでやれるかと言われれば、精々が一日数千人を救える程度だろう。しかし、日本にいる現在の人口はそれを大きく上回る1億2500万人弱。雨風、魔物に殺された人を鑑みても、ざっと1億1000万人以上の人間がまだこの日本にいると言っていい。当然、その全員を自衛隊が救うなんてできる筈もなく、警察が動いたとしても雀の涙程度の助力でしかない。そりゃ、それでも動いてはくれているだろう。できるだけ多くの人を救うために努力もしているはずだ。だとしても、現実を直視すれば圧倒的に戦力不足。老若男女全員救うことはできない。


 特に、問題があるとすれば今俺たちがいる田舎。人がそこまで多くなく、買い物には車が必須な場所には救いの手は伸びにくい。向こうからすれば出来るだけ多くの人が救える場所に向かうからだ。つまり悪く言えば、俺たちのような田舎者は二の次。都会っ子から救われるというのが現実。


 そう言うやつらがどうやってこの世界を生き延びろというのか。その答えこそが、シラトという異世界物なのだろう。白い戸と書いてシラト。これさえあれば、自分の命を自分で守ることが出来る。


「うまくできたシステムだよね。弱者救済というか、乞食救済というか……別に戦わなくたっていいんだから」


「間違いないね」


「ん? なんがだ? 魔石がいるなら全員戦闘は必須だろ」


「いや、そうじゃないでしょ。この一か月キュウタは何を見てたの?」


「何をって……」


 天候がこれでもかと荒れたってことくらいしか見てないが。シラトに入れるのが魔石であり、他の素材を入れようとすれば壁のように弾かれる以上、魔石の入手は必須だ。となれば必ず魔物と戦いそれらを手に入れる必要がある。

 

「あれってたしか二日目くらいだっけ? 石塀から向こう側の竹に網を括り付けたやつ。川から大量の魔物の死骸ーードロップ品が流れてることに気づいて、全部丸ごと掻っ攫おうとしたよね」


「失敗したやつね。途中までうまくいってたのに、水圧とかゴミとかで網ごと流されちゃってすっげぇ萎えた。その後ドロップ釣り大会もやったけど大して取れなくて諦めた」


「そうか! 魔物は必ずドロップ品を落とす。何も直接手を下す必要はないんだ。拾えば安寧は確保できる!」


「そう言うこと」


 これがヘルズの言う弱者救済改め乞食救済というわけか。言われてみればたしかにこの一か月で数えきれないほどの魔物が激しい天候で事故って死んだ。それこそ俺たちが汚れた川の中に魔石が紛れていることに簡単に気づけてしまうほどに。それらを回収すれば家に結界を張ることが出来る。一度張ってしまえば魔物からも災害からも守られる安地の完成だ。それだけでしばらくは生き延びられるはずだ。


「まあ、食料に関しては自分で集める必要があるけどね。そのくらいならこの結界を利用すれば誰でもできるんじゃないかな。なんたって結界の効果は単に魔物が入れないようにするだけじゃなく、見ざる聞かざる入らざるだから、結界の近くに魔物が来た瞬間キルして戻ればいい。そうすれば子供でも魔物を倒すことが出来るはずだ」


「近くに寄ってくるかは運次第だけどね。私らには必要なくても、ちゃんと弱者が戦える手筈はある」


「おお」


 相変わらず俺に見えてない情報を次々話す二人に感心せざる得ない。考えてみれば、シラトの一番の肝は結界を張る範囲ではなかろうか。曰く、結界は家に張られるのではなく、()()に張られるという点。それにより、ヒット&アウェイが可能となり戦闘手段も確実に増える。つまり、弱くても頭を使えれば問題なく生き残れると、そう言うわけだ。いやはや、中々想像してみると面白いシステムだな。


「シラトについてはこんな所かな。結界の形成と電気ガス水道の使用権。無限に使えるって点はすごく魅力的だ。効果時間は魔石によってまちまちだけど、まあそこは今言ったように何とでもなる。俺たちによって有益な情報は水も電気も自由に使えるってところだ。後者は関係ないね」


 俺たちは弱者じゃないし、魔石に関しては自力で取ることが出来る、今更ちまちま拾う必要はない。もちろん、溝とかどっかでたまってたら拾うべきだろうが、基本的には自力で取ることになるだろう。したがってそこの心配はなし。


「さて、それはともかく二つ目の新情報といこう……と思ったんだけど、さっき説明したからこれはもう不要かな。魔物は死後必ずドロップ品を落とす。そこに原因は関係なく、必ず落とす。それだけだ」


 ドロップ品については俺もヘルズもメタクラックも知っている。これは念の為の確認みたいなもんだ。俺もさっき忘れかけてたし、確認できたのはよかった。まあ、網漁の件もあり、本当はすぐに気づかなきゃいけないことなんだろうけど、俺は頭がよくないからな。二人みたく引き出し引っ張って次の新たな情報につなげるみたいなことは苦手だ。そう言うのはすべて二人に任せる。


「というわけで、長々と話したけど、情報整理はこんなところだ。この後は各々魔物狩りに出かけるって感じで。魔石はまだ半分以上あるけど集めるに越したことはないし、食料もまたしかりだ。気づきがあればまた報告しよう」


「了解! やっと体動かせるのか。バドだけじゃ物足りなかったんだよな」


「同意だね。私も午前中にたまったストレスを発散したい気分だ」


 そうだね。負けたもんね、悔しいよね、悲しいよね。ストレスは弱い奴から溜めていくんだよヘルズさん。と、そんなことを言ったらおそらく後々魔物の群れとか連れてきそうなので一旦黙っておく。定例会議も終えたことだし、無駄な摩擦はなしにしよう。ってか煽るのは一回だけで終いにしようというのは今朝俺が言った言葉だし。

 とりあえず洗濯した戦闘服(作業着)に着替え、一か月前同様に武器を装着。今回はレベルも上がったということで短剣を三本。二本は実際に使用する物で一本はなくした時の保険だ。

 最初とは違って彫刻刀とかは持っていかないことにした。投げ攻撃は砂でも石でもできるし、何よりドロップ品で武器が出ればそれを投げればいい。つまり、無駄なものをもっていって動きに支障が出ないようにとの判断だ。

 もちろんアルミホイルを巻くのもやめた。あれ結構動きにくくなるからな。なんであんなことしたのか今でも分からん。多分二人への対抗意識か、あるいはちょっとテンション上がってたからか。どちらにせよレベルアップもしたことだし体も強化されている。下手なことをしなくても問題はないだろう。


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