29、驚愕
ユウタ医師が逆召喚した次の日、謁見の間にハンナと二人呼ばれたのですが•••
賓客のもてなしや正式な儀がない限り、謁見の間に行く事がない為、二人で不安が先に立ったような表情をしていたと思います。
そして部屋に入り視界に入ったのは、ハンナのご両親イーノル男爵夫婦にユウタ医師、そして私の両親である国王と王妃の五人でした。
不思議に思いつつ国王に挨拶をしました。
「待っておった。リアンカとハンナに聞きたい事がある。
まずハンナに聞きたい。
ハンナと異世界より来て頂いたユウタ殿が恋仲と言う話を聞いたが、誠か?」
お父様は重い口調で話始めました。
ハンナとユウタ医師の真意を聞かれ、お父様の意図が分からず胸がドクドクとしてしまいました。
ハンナは始め目をオロオロさせていたのですが、一度目を閉じてからしっかりと国王を見て言いました。
「恋仲がどのような事を言うのか、分かりかねるところはございますが•••
少なくとも、私はユウタ様を思っているのは確かでございます。」
「そうか••。ユウタ殿は分かっていると思うが、異世界よりいらしてくれている。
このまま二人一緒にいるというのは、世界を跨いでいる故厳しい•••と言うより無理な事は良く分かっているな?」
二人のやり取りを見守っていましたが
お父様のその言葉にあの騎士伝のように、もしや離れ離れになってしまうのかと別の不安に駆られてしまいました。
「••••はい。理解しております。」
「うむ。そこでハンナには選択肢が三つある。
一つ目はユウタ殿と共に異世界へ渡る。しかし二度とこちらへは来られなくなる。
二つ目はその気持ちをもったまま、別れる。
そして三つ目は、ユウタ殿にこの世界の住人になってもらう。
ただし、これには誓約が必要になる。
難しい選択故、ご両親やユウタ殿とも相談し良く考えて答えを出しなさい。」
選択肢がある事にもその選択内容にも驚きましたが、予想はしていてもハンナが側からいなくなると考えるだけで•••切なくなってしまいました。
「国王陛下、直言をお許し願えますでしょうか。」
そう口にしたユウタ医師はお父様の許しをもって、徐に言い放ちました。
「すでにハンナさんには、誓約の証を渡しております。
ですので、ハンナさんが了承して頂ければそれをもって完了になるはずです。」
私もハンナもポカーンとしてしまいました。
えっ?証を渡している??
ハッとしたハンナは胸ポケットに入れていたペンを取り出し、じっと見つめました。
「•••••っ!これ文様が婚姻の魔法陣じゃないですか!!!」
ハンナの国王の前だからと言う外聞をかなぐり捨てたような叫び声が、広間に響き渡りました。
へっ?こんいんのまほうじん•••?
こんいん、婚姻、婚•••えぇぇぇえ!!?
婚約を越して婚姻!!!?
頭が理解に及んだ瞬間これ以上ないほどに目と口を開いてしまいました。
あのふざけた恐怖の手紙に、ついでのように入っていたペンがそんな重要な物だなんて!
「私は挨拶の際にきちんと話しましたよ?暫定の滞在だと。
向こうへ戻り、今度はここに根を張る思いで整理してきました。
そのペンを受け取って大事に胸ポケットへとしまってくれていたのが、返事と受け取っても良いのですよね?」
本家本元の胡散臭い笑顔で、有無を言わせずにせまっているユウタ医師に震えつつ、ハンナを見守りました。
もちろんコクコクと頷き了承していたハンナ。
えぇ、諾以外は言えない笑顔でしたからね。
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次回投稿予定は5/20日です。




