25、敗北
その日を境にカイトは私付きの護衛を一旦離脱しました。
カイトに会えなくなって早一ヶ月経とうとしています。
私が余計な事を言ったからなのでしょうか?
でも他に何と言えば?
後悔先に立たずとは言いますが、本当にその通りなのですね•••。
私のジメジメと茸でも生えてきそうな雰囲気など物ともせず、ハンナは大量の資料を運んできました。
私のジト目などどこ吹く風。
「姫様。これから姫様も忙しくなりますから、ご覚悟なさって下さいね。」
何故私も忙しくなるのでしょう?
ぱっと見たところ、この騎士の心得などの資料は必要なのでしょうか??
騎士を支える在り方、戦略的に交渉する術、極め付けは長編小説"騎士伝"
これらは一体いつ使うのでしょうか???
「ハハハ、ハンナ?私をいまから騎士になれと言っているのでしょうか?
何だかついて行けないのは••どうしてでしょうね?」
「姫様、どこに行かれるおつもりですか?」
そそくさと退室しようとした私をいつぞやで見た覚えのある紐を片手に、ユウタ医師を彷彿とする笑顔で詰め寄ったハンナの目は•••
ハンターです。
あっさりと捕獲され、机に舞い戻った私は慰問の資料にのみ目を通し(時折騎士関連が混ざっていますが)ていきました。
ある程度目を通し終わり、休憩にしました。
一息ついたら、思い起こされるのはライズ団長の言葉です。
「何故ライズ団長は勝負の事を知っていたのでしょう•••?
やはり、親子の語らいでもしているのでしょうかね•••ふふ、カイトもまだ親に弱みを言う時があるのですねぇ。」
私のそんな呟きを拾った人達は一様に
『ブッフォ!!カイト(様)可哀想〜••!』
目をしぱしぱし、お腹を抱えて笑う人達の姿を見て理解不能になりました。
「さて姫様、姫様も勝負の時なのです。
良いですか?知識は姫様にとって武です。
この前姫様が言われたように、腕力だけが全てでない事をお見せ致しましょう。」
ハンナの言葉に言い返す言葉が見つからず、全くの未知の分野を勉強するはめに•••
勉強を始めて数日。
「居ましたー!そちらに走っております!」
「姫様ー!無駄に速いその逃げ足を知識の吸収にお使い下さーーい!!」
「これは単なる逃げではないのです!戦略的撤退は戦略的にも有用だと騎士の心得第四項に書いてありました!!」
私は只今、全速力で城を走っています。
私の全速力を止められるのは、カイトくらいでしょう。
風魔法でブーストし、一人で考えられる場所に行こうと頑張っているのです。
私は勝負には負けてはいないです!
でも、戦略的撤退は•••負けなのでしょうか?
でもでも騎士達の魔法灯による信号とか、手や仕草による会話とか!ハンナとのパントマイムの方が余程分かりやすいのですものっ!
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次回投稿予定は5/10日です。




