21、憂鬱
ユウタ医師が帰還して二日経ちました。
ハンナは何事もなかったかのように振舞ってはいるのですが•••
どこか空元気な気がして、胸の痛む思いがします。
「姫様、以前予定していたスタンピードの起こった地への訪問は如何いたしましょう?」
ハンナの地元へと慰問したので、まだ行けていなかったと思い至り思案しました。
魔法院の方々の話によると、瘴気溜まりが消失しているので後は突然変異を起こしてしまった魔獣の対処をするだけとの事。
「ハンナ、慰問へと行くとしたら時期はいつ頃になるのかと、どれくらいの期間行けるのかを確認願います。」
「キカン•••き••かん••••帰還?」
何やら心ここにあらずで、ぶつぶつ言っているハンナですが、多分文字が違いますよ?
ふぅ、と溜め息を吐きまた空を見つめて、多分ユウタ医師を思っているのでしょう。
ハンナの心情を思いやると確かにくるものが•••。
ハンナとユウタ医師は世界を隔ててしまったのですから。
いずれ帰還する人と分かっていても、一度灯った想いは簡単に忘れられないものです。
揶揄われる事も、冗談を言い合う事も姿を見る事も出来ない•••
"会いたい人に会えない"この言葉は思ったよりも重くのしかかります。
私も他国へ嫁いだらカイトに会えなくなり、声すら聞く事も出来なくなり•••考えただけで段々•••
想像なのに胸が苦しくて••••
いけません、また涙したらハンナに心配かけてしまいます。我慢しなければ!
がまん•••が、まぁん〜••プルプル•••
「ひぃー••!姫様!?姫様にあるまじきお顔になっておりますよ!!?」
ひぃーとは何事です。このしんみりとした空気で自分も上の空のくせして、何故私の事だけ言うのでしょう。
「とととと取り敢えず涙はハンカチで、鼻から流れているものはこの紙で隠して下さいませ!」
何と言う事態でしょう。涙を我慢したら鼻から流れてしまっていたようです••
それなのに、目からも涙が出てしまうとは•••!
カカカカカカカイトの前なのにー!
違うのですよ!こここ、この鼻から出ているのは涙ですから!!
違う意味で泣きたくなりました••••!
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次回投稿予定は5/3日になります。




