20、呆然
ユウタ医師が帰還し、自室へと戻ってから
先程ハンナにユウタ医師が何て言ったのか聞こうとしたのですが
「ハンナ?どうかしたのですか?」
ハンナは放心したように、窓の外を見ていました。
何だかんだ言って、一番ユウタ医師と連絡を取り合い間に入ってくれていたので
仲間を失ったような寂しさが、沸き起こってきてしまったのかもしれませんね。
口を開くとユウタ医師にいつも揶揄われていましたが•••
暫く放心していたハンナですが徐ろに
「こんな帰り際に••やはり胡散臭い男です。」
ボソッと言ったハンナの言葉に首を傾げていると、ハンナは私を見て苦笑し
「あの男は、あの間際に〝いつまでも貴方を思っています〟と言ったんですよ。」
とんでもない事を聞いた気がして、動きが止まってしまいました。
その事を気にする事なく、ハンナは爆弾を投下し続けました。
「姫様や他の方達との連絡係をしていたので、頻繁にお会いしていたのですが
会えば恐ろしい事を言われたりと若干苦手だったんです。
でも慰問に行くに際し私の地元で起こった事を話した時、またいつもの様に揶揄われると覚悟していたのですが•••」
そこまで話して、ハンナは一つ息を吐きました。
「あの男は•••抱きしめ慰めてくれたのです。
〝無理に話さなくても良い。不安な時は私を思い浮かべれば良いのです。少なくともその間は不安な気持ちが消えるでしょ?〟て。」
だ、抱きしめると言う言葉にドキマギすれば良いのか、そのように不安に思っていたハンナを慰めればよいのか•••私の胸はドキドキがうるさくなりました。
「自分でそう言ったくせに、結局帰ってしまうくせに•••最後にそんな言葉を言うなんて卑怯ですよ!」
いくら鈍感な私にもハンナが強がっている事くらい分かりました。
ハンナに近づき、そっと抱きしめるとハンナは静かに涙していました。
本当に男は自分勝手です!
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