表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
11/34

11、威厳

私の受け持つ仕事に慰問地訪問と賓客の対応があります。


現在自室の執務机に付き、国内で起こった災害による被害場所と内容が書かれた書面を見ながら次の慰問地を考えていました。



「ハンナ、今度慰問する場所はこの前大きな魔獣の被害があった所はどうでしょう?」


いつもは、すぐに返事が聞こえてくるのに何の言葉もなかった事を怪訝に思い顔を上げハンナを見ると、書面の一箇所を眺めたまま身動きすらせずに佇んでいました。


ハンナの目線を追い、ハッとしました。


ハンナは男爵令嬢として、地方の小さな領地で細々と家族や領民と仲良く暮らしていましたが、裕福とは言いづらい生活をしていました。

その為、城のメイドとして働きに出て家へ仕送りをしているのです。

そんな彼女の地元を含む一帯は、一昨年から続いた日照りや台風により飢饉状態となり王家としても支援を行なって来ました。


支援を行なってはいても、やはり実際に目にしていない事もあり気になるのでしょう。


「ハンナ?ハンナ!」


ハッとしたように現実へと引き戻されたハンナは狼狽えながら


「申し訳ありませんでした••!」


言葉と同時に勢いよく頭を下げました。


「ハンナ、今度の慰問先はヴァレン地方にしましょう。」


ヴァレン地方とはハンナの地元方面の一帯の名称です。


「で、ですがこの前山間部でスタンピードがあったばかりではないですか。

姫様のお気持ちは大変嬉しいのですが、私の事よりもそちらを優先して下さい。」


ハンナがそう言うだろう事は予想済みです。

私は得意げに片眉を上げ気持ち胸をそらし


「何を言っているのです。私は公平な立場にいるべき王家の一員です。

ハンナの事を慮っての事ではなく、支援物資の状況を知る為にも必要な事なのです。

なので、ご家族はどうしてるのだろ?ハンナは地元の状況を見れば安心出来るだろうか?とは微塵も思ってはいないのです。」


あっ、今の少しギルベルトお爺様に似ていたかもしれません!

威厳と風格が出てきたのでしょうか!

顔をツーンと背けそんな事を思っていると


「•••姫様、ありがとうございます。」


殊勝な表情で頭を下げてお礼を言ってきたハンナに、今度はお爺様の真似をして腕を組み

うんうんと頷いて返事をしました。

一人勝手に威厳ある格好を試していたところ


『ブッフォ•••!』


いくつもの噴出音が、部屋のあちらこちらから聞こえてきました。


得意満面になっていたのが一変し、怪訝な表情で周りを見渡すと


壁側に控えていたカイトを始め、その同僚の護衛や部屋に控えていたメイド達、果ては

目の前で先程殊勝な表情でお礼を言っていたはずのハンナまでも、お腹を抱えて笑いを我慢していました。


そして、皆んなから異口同音で


『姫様、威厳よりもそれは巷で流行りのツンデレです。』


何と言う事なのでしょうか!ツンデレなんて知りませんし私が目指すべきは威厳と風格です!

それを•••そ、備わっていないと言う事なのでしょうか!?


私にだって、いつか••••ぐす。



ーーー

情報追記

魔獣:魔素溜りに当たられた影響で家畜や野生動物が突然変異した成れの果て


スタンピード:魔獣の大量発生による集団暴走


閲覧いただき、ありがとうございます。

誤字・脱字等ありましたら都度訂正していきます。


次回投稿予定は4/15日です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ