第34話 実戦で試す
訓練を始めて5日目、ギルドから呼び出しが来た。
北西の街道で、旧魔王軍らしい一団が目撃されたという。
「人数は15前後。荷車が2台」
ダリオが地図を指す。
「目的は捕縛と荷物の確認だ。今回はゼルガじゃない。普通に任務だからな」
「分かってるって」
ルークたち4人も同行することになった。
見つけたのは夕方だった。魔族14人が荷車を囲んで進んでいる。
ダリオたちが前を塞ぐと、相手はすぐ陣形を作った。
「人間だ! 魔術師を後ろへ!」
ルークが飛び出す。
盾持ちが正面から受けた。
「今までなら、ここで力任せだったけど……」
拳を握る。
脚から腰へ。そこから肩、腕。
全部を力ませず、一瞬だけ繋ぐ。
ドッ!
「ぐっ!?」
盾は割れなかった。
だが、持っていた魔族だけが後ろへ吹き飛ぶ。
ルークが自分の拳を見る。
「今の、ちょっと近い!」
「戦闘中だぞ!」
ダリオの声が飛んだ。
横ではエマが剣士と打ち合っていた。
足を払われ、姿勢が崩れる。
以前なら立て直した。
今は違う。
倒れながら地面へ手をつき、その勢いのまま下から剣を振る。
「なっ!」
相手の剣が弾かれる。
「できた!」
「だから戦闘中!」
「分かってる!」
ミナも試していた。
火球を放つ。
敵が水の障壁を張った瞬間、術式の外側だけを変える。
「風」
火球が横へ曲がる。
障壁を迂回し、地面へ着弾した。
「曲がった……!」
本人が一番驚いている。
「次はもっと早くできそう」
「今考えるな!」
今度はフィンまで叫んだ。
ノアは戦場全体を見ていた。
「ルーク、右足!」
「了解!」
言われる前にルークが踏み込みを変える。
直後、そこへ槍が突き出された。
「エマ、次は後ろ!」
エマが振り向かず一歩ずれる。
魔力弾が空を切った。
治癒を使う回数が減っている。
傷を治す前に、傷そのものを減らしていた。
戦闘は数分で終わった。
魔族14人を捕縛。
こちらに重傷者はいない。
「まだ全然だけど」
ルークが拳を見る。
「使えるな」
「うん」
4人とも少し嬉しそうだった。
ダリオは何か言いかけて、やめた。
「……まあ、今日はちゃんと褒めてやる」
「珍しい!」
「取り消すぞ」
問題は荷車だった。
武器でも食料でもない。
大量の魔石。
古い魔道具。
そして、封印された箱がいくつも積まれている。
フィンが1枚の輸送指示書を見つけた。
「行き先が書いてある」
「どこ?」
ミナが覗き込む。
フィンの表情が変わった。
「魔王城跡」
全員が黙った。
29年前、アルドたち4人が魔王を倒した場所。
旧魔王軍は。
そこへ何かを集め始めていた。




