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例えば男女比1:30の世界で、例えばそんな世界だからこそ免罪符で女の子に……とかないんだがっ!【アイスピックでそれを突き刺せよっ!!】  作者: Nomulesse oblige
第二部

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第74話 こっち側なんて忘れていた。

 生徒会選挙の演説会練習は困難を極め、俺の中でまさに地獄と化していた。


 舞賀さんは飲み込みは早いものの、しかし、それに至るまでの説明が長かった。人生でこれほど説明力が問われる日は来ることはないだろう。俺のモラルをこれほど問われることもないだろう。そして、昨日の舞賀さんの家で食べた晩餐ほど今後豪華なものは出てこないだろう。恐ろしかった。一万では効かないくらいの豪勢なものを頂いた。


 そのあとはちゃんと一層気合を入れて教えたので、元は取れたと信じている。後半はほとんどプログラミングを組んでいるような指示だったけれど……。そこが舞賀さんのポンコツ具合だと思ったけれど。


 それでも、なんとか完璧に近い形まで成長させられたと思う。

 だからこそ俺は全身が疲労困憊状態だった。それ故に俺は大幅な睡眠超過。すなわち遅刻なのである。まあ。しかし、肝心な生徒会選挙の演説会は放課後にほど近い五限目、六限目を予定されている。舞賀さんの演説練習の最終取り付けも昼休みなのだから、特段、早急さっきゅうに対処するべきことでもなかったのだ。


「な、何をしているのよ。四季」


 なのに、俺は華月さんに怒鳴られていた。そんな筋合いもないんだけれど、普通の時間に登校はしてはいないけれど、普通に登校してきた男子生徒なんだぞ?ちょっと叱られる筋合はあるけれど、怒鳴られる筋合いはないんだ。


「何って?別に登校をしているのだけれど?」と開き直って、尋ね返してみる。


 そしたら、華月さんは激昂したような表情を浮かべる。

 え、え、何か癪に障った?開き直ったのが良くないのか?華月さんを怒らせるとネチネチとした京都人みたいなことを言うので苦手なのだ。


「四季。今日は何の日か分かる?」


 華月さんは呆れて俺に質問をする。


「何の日って……?今日は生徒会選挙の……」

「???」


 本当に訳のわからない顔をされた。ちょっと間違えれば、俺のガラスのハートが木っ端微塵になるくらいの呆れ顔だった。けれど、俺の方がわけが分からないんだ。え?昨日まで俺は舞賀さんの生徒会演説を手伝っていたのは記憶に新しい。確証を持ってはなしているのに、両者、意思疎通が不可能な外国人同士の会話と化していた。


「あのね。今日はハレよ。貴方みたいな腫れ物でも晴れるべき日なのよ」

「つまり?」

「つまり今日は卒業式ってことよ」


 そ、そ、卒業式?

 それは、と言うことは目の前の華月さんは俺のカノジョということですか?

 

「あの。一週間後と言っていたはずじゃあありませんでしたか?ほら、昨日まで卒業旅行の計画を立てていたではないですか」

「それが一週間前なんでしょう?」


 いやいや、そんなはずがない。俺は自分の記憶よりも確実なスマホの電波時計を確認する。そしたら、今日は3月1日なんて出ている。卒業式シーズンである。


 そういえば、生徒会選挙戦の日しか見ていなかったので、あの時が一週間前なのかどうなのかを確認する術は持ち合わせてはいなかった。


「ほんとに一週間前なんですか?」

「わざわざスマホなんて見たというのに、私に訊くのはいかがなものかしら」


 また同じような呆れた、諦めらめた顔をされた。これ以上、そんなことで騒げばもっと引かれてしまうのは明らかで、仕方なく飲み込めない状況を飲み込む。こういうことなんて最近腐るほどあるからそろそろ慣れないと行けないんだろう。


「えっと。まあ仮に卒業式だとして、何時から始まるんでしょうかね?」

「仮にではないけれど、貴方昨日、やはりぼおっとぬぼおっとアホみたいに聞いていたのね。ちゃんと聞いていたか尋ねたというのに、カノジョの言うことが実行できないのかしら」


 俺は体験したという記憶はないけれど、彼女らには持ち合わせている記憶らしい。

 俺という存在を矛盾のないように繋ぎ合わせているのだろうか?10章に飛ばされた時もそうだったし、関連性はありそうだ。ここも桜場さんに聞きたいことだ。


「何を考えているの?私の話も聞かずにねぇ」


 おっと。人の話も聞かずに考察をしてしまった。


「まあ。何でもいいじゃないか。それより俺が聞きたいのは小言じゃなくて、何時始まるかなのだけれど」

「ちゃんと聞いていた?」と俺の反応に不服だった様子だ。


「効いてる。効いてる」


 心に効いてるから。だから、早くその時間を教えてくれまいか?


「20分後に入場よ」

「はい?」


 おい、そんな。え?


「こんな無駄話している暇ないんじゃないですか?」

「まあ。無駄話をするのが、カップルというものだろう?」

「カップルが卒業式を台無しにするんだろうな」

「あら。カップルがそうするんじゃないわ。貴方がそうするのよ。まあ、私はどうでもいいのだけれどね」

「どうでもよかったなら、こうして迎えには来てくれないでしょう?」


「ふふっ…。さあね」と澄ました顔で遅れまいと、走り去った。

 飄々とした雰囲気で、真っ赤に頬を染める華月さん。

 もしかして、彼女はカノジョらしく、カレシの俺が来なくて、顔を青ざめさせていたのかもしれない。そうならば、幾分いいのに……。


 歩を先ゆく彼女に遅れないように俺も走った。


 この後、風紀委員の隠れ蓑を纏った舞賀さんに廊下を走った件と卒業式遅刻の件でこっぴどく公開処刑をされてしまったのだった。

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