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例えば男女比1:30の世界で、例えばそんな世界だからこそ免罪符で女の子に……とかないんだがっ!【アイスピックでそれを突き刺せよっ!!】  作者: √宮ハルヒ
第二部

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第65話 恐ろしいことだ。

 次の日の朝。

 ぼおっと、頬杖をつきながら、廊下の窓で外を眺めている。

 特に校門の方を。舞賀さんと、聖良さんの騒がしい演説合戦を横目に桜場さんがくるか来ないか、一人一人、確認している。

 家にいなかったから、ここに来るとは限らないと思うけれど、だからと言って逆に何もしないなんて行動をとったなら俺は不安で押し潰されてしまいそうだった。


「それにしても、いないなあ」

「検定試験の合格欄に名前がなかったのかしら?頭が悪いなら、要努力ね」と毒舌まがいの孤高の女王、華月さんが話しかけにきた。毎回毎回皮肉が効きすぎているので、慣れてきた自分も怖い。


「そんなわけないよ。だってどこも受けていないのだから」

「そう?英検ぐらいは受けることをお勧めするけれど、貴方の頭じゃ無理かしら」

「2級ぐらいなら、いや準2級?」

「12級を受けなさい」

「バカにしすぎじゃないか!?」

「I recommend you take the Eiken Grade 12 exam.(私は貴方に英検12級を受けることを勧めるわ)」


 急に帰国子女並みの流暢な英語を吐き出されて、俺の脳は停止した。


「バカだわ」

「英検不保持者にはきついよ」

「貴方どうしてこの高校に入れたのよ」

「知らないですよ」


 知らないけれど、入ることになっていたのだから。大体、漫画、アニメも進学校設定しておきながら学力レベルの低い生徒が入っているなんてことザラにあるじゃないか。ここはゲームなんだぞ。当たり前じゃないか!?という説明をゲームのキャラにしても納得されないのだ。


「まあ。いいわ。過程に興味はないわ。結果が全てなので、入れなかった仮定に興味はないわ」

「過程に興味がなくても過程にドラマが生まれることもあるかもしれないじゃ無いですか」

「ホームビデオにドラマ性を見出そうなんて、物好きもいるものね」

「言い過ぎじゃないか」

「いつものことじゃない」


 自分で言うなよ。それを自覚して言っているのなら断然タチが悪いのだけれど。


「そんなことには興味は無いけれど、貴方がそうして窓の外を眺めているのは興味があるわ。この学校に素晴らしい庭園なんて存在しないものだから、見ても何も楽しくはないでしょうに」

「そういうわけじゃなくて……。あの、桜場さんがどこにいるのかを」


「ああ。前も言っていたわね。まだ見つからなかったの?」

「家に行ったけれど、もぬけの殻で」

「そうなの。へえ……。だとしたらもう死んだわね」

「死んだ!?」


 不謹慎なこと言うなよ。本当に心臓に悪い。そんなことありえないと分かっているけど、ちょっとでも頭で想像してしまったじゃないか。


「じゃあ、他に探すとこあるのかしら?」


 学校だって探し尽くしたし、家の中だって見たものだ。

 はっきり言って他のところは思いつかない。俺は頭を抱えた。


「ないんじゃないの?」

「どこ探せばいいですか?」とわらをもすがる思いで尋ねて見た。


 本気で困る反応を見せられた。

 さしもの華月さんでも、打開策という打開策は思いつかないらしい。


「まあ。気長に待つことも大事だと思うわ」


 苦笑いで微笑んだ。

 諦めんなよ。桜場さんがいなければ、二重聖良さんをどうすればいいのだ。


「ウェええーーーーーーイぃ」


 噂をすればなんとやら、華月さんを後ろから抱きしめながらの(激突と言ったほうが正しいが)神々聖良の堂々登場である。

 この聖良さんは多分演説をしていない方の聖良さんだった。いわば二人目の聖良さんだった。


「やあ。結音ちゃん。愛しの聖良ちゃんが朝から会いにきたんだぜえい!?」

「げっ」


 露骨に嫌な顔をする華月さん。品行方正クールビューティーからそんな汚い声を出させる最悪さに拍手を送りながら、朝からその熱量ははたから見ている俺でさえも呆れ返ってしまっていた。華月さんの周りを頻りに取り囲む体力はどこから来るというのだ?やはり愛なのか?あの愛の力なのか?


「キス。朝のキッスはどうですかあ」

「AIにでもそのキッスとやらを振り撒いて欲しい限りだわ。だから、ベタベタするな」

「ヤダヤダああ」


 聖良さんがより一層、華月さんをガッチリと掴んだ。

 なんだ、これ。嫌よ嫌よも好きのうちだろう?ただイチャイチャしているだけにしか見えないじゃないか。いいぞ。もっとやれ。


 こんな百合百合な場面に遭遇したら、男の俺はどうするべきか。

 そう退却を選ぶそれ他ない。ターンレフトである。

 聖良さんに捕まっている華月さんから物凄い眼力が浴びせられたものだが、仕方がない。


 もとより、俺がすべきことは華月さんと談笑をするべきでもなくて、二人の聖良さんをどうにかしなければならなかったのだ。どうすればいいんだ?

 とりあえず、考えながら廊下を歩いているとある人に話しかけられた。


「あら。四季くん。おはよう。朝から、鈍臭いわね。まあそれがいいというか、それでもいいということだわ」


 つんざくような物言いをしてくる人を一人しか知らない。

 毒舌まがいの孤高の女王、華月結音。その人だった。

 本日2回目。二人目だった。


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