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例えば男女比1:30の世界で、例えばそんな世界だからこそ免罪符で女の子に……とかないんだがっ!【選択権はここにあるっ!!】  作者: √宮ハルヒ
第二部

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第64話 どんどん混沌を極めていく。

 あのゲームで見た通りのアパートがここに鎮座していた。

 駅から近いのも再現されていて、アニメの聖地巡礼をしているかのような感覚に陥った。


「この号室かな?」

「君の方がよく知っているのだろう?」

「それもそうですね」


 現実感のせいで疑問符が生まれたけれど、確かにここだ。

 だから、ドアノブに手をかけた。

 ガチャガチャと音が鳴った。


「あれ。開いていないですね」

「そうでしょうね。誰か住んでいるんですから」

「じゃあ。どうすれば……」

「インターホンを鳴らせばいいだろうね」


ああ。そうね。なんて単純なことを尋ねているんだ。上司の無駄遣いじゃないか。そう思うと私は思い出したかのようにインターホンを押した。

 ピンポーンと鳴り響く。


 ……。


「出てきませんね」

玉響たまゆらの時を待つことをお勧めする」

「はあ、さいですか」


 言われた通り、ちょっと待ってみる。そうしたら、上司の読み通りまもなくせず扉は開いた。

 

「す、すいません。ちょっとお手洗いに入っていたもので、遅くなってしまいました。はい。どちら様でしょうか。宗教は空飛ぶスパゲッティー教で、新聞はYahoo!ニュース取ってますからいらないですよ?」と慌てた女の人が出てきた。


「あの……私たちは……友達なんです。四季くんの」と無難に答えておいた。

 まあ。ゲームの中なんだけれど。それも微妙に友達と言えるか分からない立ち位置なんだけれど。


「あっ。そうなんですか、へえ。お兄ちゃんに……。そんなあ。あの引きこもりゴミくそニートにと、友達なんて……。本当にお兄ちゃんの友達なんですか?」

 

 ぐいっと、その猜疑心さいぎしんに満ち満ちた表情を近づけてくる。


「と、友達だから。とは言っても最近ネットで知り合ってオフ会をしただけなんだけれど……」

「へえ……。そうなんだ。そうなんだ」

「そうなんですよ……」


 なんだ?その眼力は。鋭い目に私は刺し殺されてしまう。

 肩を窄めて、私は小さくなっていく。

 見かねた上司は助け舟を出した。


「まあ。いいじゃないか。そこの人よ。立ち話もなんだから、上げてくれないか」と図々しいことを上司は言った。上司にも眼力たっぷりの圧力を振り掛けて、彼女は眉を顰めた。


「まあ。いいか……」と折れて、私たちを家に招いてくれた。

 家の間取りはまんまだった。ゲームの家を映し取ったようだった。いや、一つ知らない部屋があったけれど、多分それはこの人の部屋なのだろうな。

 その部屋を通りすぎて、リビングへ招かれた。


「えーと。紅茶とか、コーヒーとかそういうものは出せないんですけれど……」

「大丈夫さ。それを主としてきていない」


 そうですよね。私のお金使ってさっき喫茶店でしこたま飲み食いしていたですもんね。ここでお茶が出て来なかったのは幸いですか?


「あ、申し遅れましたけれど、関根折節です。お兄ちゃんの妹です」

「あはは。妹さんでいらっしゃいましたか。えっとこちらは***と言います」


 上司は上司らしくぺこりとお辞儀しただけだった。名乗りはしなかった。


「こういう人なんです…。あはは」と誤魔化すのはいつも私の役目だった。

「いや……。なんかどこかで会いませんでしたか?」


 その妹さんは唐突に私の上司に向いてそう言った。


「どうだろうね。会ったかもしれないし、会ってないかもしれないし君の認識の問題さ」


 上司は意味のわからない回答をする。


「そうですか……」


 ちょっと残念そうな声を妹さんはする。


「で、あの。ここまで尋ねてきてなんの用です?」


 ところ変わって最大限の警戒心を露わにして問いただす。

 まだ、彼女には私たちは四季の自称友達の不審者でしかない。

 だからと言って馬鹿正直に全ての事情を広げるわけにもいかない。余計に不審者でしかないだろう。でも、嘘なんてあまり吐きたくはないな……。

 そうして、躊躇していると、嘘を嘘だと思わない上司が割って話した。


「あの、そうですね。常日頃から、お世話になっていますご友人の関根四季くんと、連絡がつかなくなったもので、直接自宅へ赴くしかなかったのです。すいません。常々妹さんのことは聞いていたのですが、こんな形で対面とは思っても見なかったことです。えっとですね。ここにきたのはその四季くんはどこにいるのかを聞きたいのです」


 嘘八百並べやがったぞこいつ。

 その妹さんとやらも呆れて「そうですか」と言っているだけじゃないのか?

 私はまじまじとそのように見たけれど、呆れているというよりも虚しさや悲しさを彷彿ほうふつとさせる表情を彼女は浮かべていた。部屋の空気がそちらに引っ張られるようにガラリと変わった。


 妙な緊張感が走る。

 私は唾を飲み込んだ。彼女は重たい口を開いた。


「関根四季。私のお兄ちゃんなら、もうすでに確か一年前、交通事故死をしてしまいました」と。

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