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例えば男女比1:30の世界で、例えばそんな世界だからこそ免罪符で女の子に……とかないんだがっ!【選択権はここにあるっ!!】  作者: √宮ハルヒ
第二部

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第62話 不法は不法で。

 変な人に出くわして、翻弄されて、呆然と立ち尽くしていても意味はない。

 変な人などこの世界にはたんまりといるものである。だってゲームの世界であるから。 

 各々個性豊かな特性を設定しないとゲーム自体が売れないからである。


 ゲームでやっていても気づかなかったが、なるほど現実世界のようになると意外と強烈なキャラクターたちである。あの不気味な人もどこかの話で出てくるキャラクターなんだろう。そう言うふうに納得をしなければ、俺は俺に遭遇したものに説明をつけることはできなかった。


 まあ。それもこれも、今から訪ねる桜場さんに訊けばいいのだけれど。

 俺は平然とコンコンと2回ほど握り拳の手の甲で叩く……。なんて昭和的なことはせず、扉のすぐ近くにあるインターホンを軽く押した。


 閑静なと言うほどには、商店街の生活音が聞こえる位置だけれど、そのインターホンの音がこの一帯に透き通るように鳴り響いた気がした。

 この調子であると、出てくる足音も分かってしまうんじゃないかと調子づいたことを思ったけれど、インターホンから声が漏れると言う訳でもなくて、相変わらず静寂のままだった。


「いないのだろうか」


 なぜいないのだろうか。病気とか患っているのだったら、一日中いることだろうし、やや暮れなずんでいる中途半端な時間ではあったものの、外出するには不自然な時間であった。


 親御さんとかいないのだろうか。


 こういうのは車の有無を確認すれば早い話なのだが、それはどうしようもない田舎の話である。星五月雨5丁目という舞台設定もずいぶん都会的なところである。駐車場要地は確保されていなかった。


 ゲームの世界というメタフィクションを使ってもいるとは考えにくかった。

 所詮恋愛ゲームの過程を描くものだ。親に許しを願う家庭入りのシーンを描いても仕方がない。というか最終局面よりも大分先の話であろし、そもそも設定が不可解な一人暮らしが多い。だから根本的には親がいないという結論になるのだが。


 考えていても、仕方がないので、もうひと押ししてみる。


「ごめんくださーい」と声もおまけにつけてみる。


 やはり無反応だった。いないのか?

 俺はドアノブを気休め程度にガチャガチャ回してみる。

 そしたら、開いていた。キィと年季の入ったきしんだ悲鳴を出しながら扉は弱々しく開いたのだ。


 招かれているのか?いや、招かざる客だ。

 俺は一応一声出す。


「ごめんくださーい」と家中に響き渡るように、さっきより気休め息を吸い込んで叫んだ。

 近所迷惑なんてその時は考えずに、脳はただただ、この家に人がいないことに困惑を隠せないでいた。


「いないのだろうか」


 でも、万が一だ。桜場さんが倒れていたりしたら、どうだろう。ここで見逃した俺はとんでもないやつに成り下がるんじゃないか?

 俺は杞憂さながらの思考に囚われていた。ここは所詮ゲームの世界で司法など杜撰なものだと、あれこれ都合のいい理由をつけながら俺はこの家に無断で入ることを選んでいた。


 無論、入るからには丁寧に、迷惑をかけないように。ただ一つ目的を果たすように。

 まるで空き巣みたいな心得である。初めて女の子の家に入るというのにこんなのでいいのか?


 とりあえず、桜場さんを探さなければと、桜場さん専用の部屋を探すことを始めた。

 案外すぐに見つかった。手近な家である。そりゃすぐに見つかる。

 廊下を道なり、奥の部屋が桜場さんの部屋だろうという予想だった。別に桜場さんの名前が書いてある訳ではないけれど、桜場さんの部屋らしかった。

 六畳程度の部屋で、これと言って特徴はない。男性の部屋か、女性の部屋か一瞬言われてわからないくらい普遍的な部屋である。


 だがしかし、なぜ桜場さんの部屋であると断言するのかというと単純にその部屋に我が高校で使用している教科書が学習机に無造作に置かれていたからである。桜場さんがいる、いないで判断していないということは、この家に彼女はどこにも見当たらなかったからである。してや、ご両親などいるはずがなかった。


「どうしよう」


 八方塞がりではないか。

 ただ俺が不法侵入した事実が残るだけだった。

 早く出た方がいいだろう。

 もし、ご両親がいて、帰ってきたら、桜場さんが不法侵入したから、不法侵入し返したんですよおと苦しい言い訳をしてしまうかもしれない。


 もうすることもないし帰ろうとしたところだった。

 俺は足に何かしらをぶつけた。


 それは黒い機械だった。あれ?壊れていないよな?大丈夫だよな?なんてありきたりなことを心配する前に俺が抱いた感想は。

 

 これどこかで見たことあるなあという呑気な感想だった。

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