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例えば男女比1:30の世界で、例えばそんな世界だからこそ免罪符で女の子に……とかないんだがっ!【選択権はここにあるっ!!】  作者: √宮ハルヒ
第二部

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第60話 消えたり、分かれたり、そして……。

 キョロキョロと未だ桜場さんを見つけられないまま、もうすでに学校は喧騒に包まれていた。

 そう。すでに昼休みの到来である。


 皆が皆、浮かれた気分で仲間内で寄せ合って、弁当やら学食へと歩を向けているのだ。華月さんは聖良さんに絡まれて一緒にご飯を食べていたり、日御池さんと維川さんとその他大勢の女性は星宮を取り囲んで和気藹々《わきあいあい》とご飯を食べている。


 かく言う俺はというと深刻な目つきである。周囲を仕切りに確認したりする不審者に成り下がっていたのである。いつものようにゲームに勤しむことも叶わない。気が気ではない。脳が支配された状態だった。


 どうしてこんなことになっているのかと言うと、なぜだか分からないが、学校を隈なく見回して見ても発見することは叶わなかったのだ。桜場さんがいなければこの2人の聖良さん問題を放置するしかない。それは勘弁だ。


 だから、最終手段というか、忘れていた手段があった。ことを思い出した。直接、電話を掛けるべきなのだ。電話は苦手だが、そういうことを言っていられる次元ではない。俺は俺の住所と引き換えに得られた番号へと、電話をかけてみた。


 大体5回ほどコールをした。どこぞの日御池さんみたいなことをしてしまったが、返ってきたのは『お掛けになった電話番号は現在、電波の届かない場所にあるか、電源が入っていないためかかりません』という文言しか聞けなかったので、参ってしまったのは言うまでもない。ほんとどこへと消えたのやら。


 というか、いつから消えてしまったのかすら、俺は分からなかった。授業の途中?それとも学校に到着してからもう既に消えてしまったのか?ありとあらゆる可能性を考えながら、俺は動揺して碇ゲンドウのポーズで硬直するだけだった。


「ねぇ。四季くん、ゲームもせずに何をしているのかしら」


 聖良さんの怒涛の絡みに疲れ果てた華月さんが気まぐれに俺に話しかけてきた。


「ああ。別に何もないけれど……。あの、桜場さん見なかった?」

「桜場さん?今日来ていたかしら?私、あまりそういうの見ないから」


 そうだ。華月さんはこんなやつだった。人に興味なし、知っているのは世界のことか、膨大な学問のこと。まさに灯台下暗しみたいな性格の人物にこのクラスの中のことを聞くならば、一番役に立たない人材なのだ。こういうのを聞くのに一番適しているのが、隣にいる聖良さんではあった。

 しかし、さっきのことがあったもので、どうにも話を振りたくはなかった。


「えっとね。桜場は、消えたよ?」


 話は振っていなかったけれど、さすが陽キャだ。割り込んでそう言った。


「消えた?」


 それは比喩的なあれか?

 そういう考えを否定するように聖良さんは首を振った。


「そう、消えた。授業中ふと目を上げると、桜場がいなかった。白昼夢を見ていたかと思ったくらいには忽然と。そうだな。瞬きをしたら居なくなったみたいな?」


 話してる本人が神隠しの如く不思議な体験として語っている。狐につままれた反応はむしろ妥当だ。

 

「それは、科学的か?それともフィクション的か?」

「どちらかといえば、フィクションのようだったけれど……」


 ううむ……。

 どうなっているのだろう。ただのゲームのバグならば、桜場さんには関係ないはずだ。考えても考えても分からなかった。

 しかし、桜場さんが消えるなんて俺は納得がいかなかった。だって、困惑を解く人が、困惑を招いてどうするんだ?いや、まてよ。彼女ならば、俺にメッセージを残していてもおかしくは無い。

 

「さ、桜場さんは何か言っていなかったか?」

「いや、そこまではわからないけれど……。今日は一言も話してはいないから」


 首筋を掻きながら、そちらも困惑して言った。

 華月さんの方を確認してみたけれど目を逸らした。知らないらしい。


 手がかりはなし。はあ、と。そこまであつらえたものはなくて落胆したけれど、そんなものか。俺も乗り出して、興奮しすぎたなと思った。少し冷静にならなければ。


「本当は来ていなかったんじゃないかとも思っているのだけれど……」


 それは……。

 あるかもしれない。今日、話そう、話そうと思っていただけで、結局話すことは出来なかった。出会っていたら自ずと喋っていたから、そこは俺の記憶だろうと信用できる。


 じゃあどこに行ったんだ?どこに言ったと聞いても、それはどうせ知らないと言われるに違いない。ならば俺は……。


「あの。桜場さんの家はどこにあるんですか?」


 俺は人生初、女の子の家を尋ねて、訪ねる羽目になったとさ。

 ああ。俺はチキンだからね。もう一度電話をして、不在着信なのを確認してから訪ねることを決めたのだった。

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