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例えば男女比1:30の世界で、例えばそんな世界だからこそ免罪符で女の子に……とかないんだがっ!【アイスピックでそれを突き刺せよっ!!】  作者: √宮ハルヒ
第二部

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第59話 真面目系不良がいたって不思議じゃない。

 授業が終わるや否や俺はトイレに向かって駆け込んだ。

 トイレはこまめに行こう。これが読者と俺のお約束だ。

 そのおかげか、授業の内容はすっからかんに抜けている。唯一考えていたことは桜場さんのことである。


 好きだから、色恋沙汰に現を抜かしていたという抜かしたことは言わない。

 ただ、この世界の状況を知るものを失ってしまった感覚に近い。わかりやすく言うと、見知らぬ土地でGoogleマップが使えない状態ということだ。


 絶望不可避だろう?

 後は遭難して、死ぬだけだ。その状況と同じである。俺は永遠にこのゲームの中に閉じ込められて、永劫とも言う時間を過ごすことになる。

 そこでは死という概念は訪れるのだろうか?もし、死ねなかったなら、俺は背筋がぞくっとした。もう一回トイレに行きたくなってしまったじゃないか。


 ああ。桜場さんがいなければ、トイレのし過ぎで膀胱がイカれてしまうことに不安感を覚え、たった10分程度の休み時間にその彼女を探しに行く旅に出かけた。意気揚々と出て行ったことは良かったのだが、出かけた途端に息詰まる。どこに行けばいいのか皆目見当も付かなかったからだ。


 俺と一緒に教室の端っこでゲームをするような人なのだ。桜場さんが良く行くところなど、無いに等しいのではないかと思う。


 仕方なし。見当が付いていないなりに、しらみ潰しに徘徊はいかいするしかない。適当に教室やら、食堂、そして、馴染みの図書館(華月さんにとってだけれども)にまで足を踏み入れたものの、やはりその気の人は見当たらなかった。


 どこにいるのだろうか。やはり、消えてしまったという解釈が正しいのか。それとも、ただの休みなら取り越し苦労の杞憂民である。馬鹿馬鹿しい。


 手の甲に顎を置き、しばし、じっと考えて見たけれど何も思いつかなかった。

 そうして俺は図書館前に立ち尽くしていると、声をかけられた。


「何をしてんの?授業遅刻するけれど?大丈夫なの?それとも一緒にサボる?」


 机にお尻を付けて、ダウナーに維川カンナが突然話しかけてきた。


「何しているんですか?」

「何って、サボりだよ。サボり」


 堂々と不良行為を宣言する。

 前は着ていなかったスカジャンに学校指定のスカート、勿論、際どいくらいの短さに加工されてるそれはその不良行為をしてもまあ。仕方ないで済まされそうである。

 そうだ。念の為にこの人に聞いておこう。


「自分を二人とも言わず、二人みませんでした?」

「自分を?寝ぼけているん?」


 ああ。まだ。俺だけの幻覚だったらしい。

 あまり関わりのない人に聞くようなことじゃないし、あまり関わりのない人にそんなことを喋ってしまったことだから、気まずいよ。俺は話題を逸らすように、質問を繰り出す。


「勉強とか大丈夫なんですか?」

「勉強は大丈夫だろ。それよりもカレシくんの方が不味そうだ」

「いやいや。例にも漏れず、ねえ」

「見た目でそう判断しているなら、ちょー失礼だったり?進学校での不良は大体賢いんだよ」


 そんなことは聞いたことないけれど。

 と、いうか自称不良の自称賢い人らしい。こういう自称の人は大体事実が反転している。

 善良の頭悪い人だけれど……。なんか違う気がする。


「まあ。あれなんですか?星宮のところに行かないんですか?」

「別に星宮がいなくたって、生きていけるぞ?」


 イメージだけで語ってしまった。気分を害してしまったらしい。だってオブラートに包まなければ偏見だけで語ったということである。


「それにしたって旭は、今日はいいんだよ」

「そうなんですか?」


 もしかして、星宮本体に興味があるわけではなくて、星宮が身につけているものに興味があるということかもしれない。前例から思えば……。


「失礼なこと考えていないか?」

「考えていない。考えていない」


 手刀を左右に振って、適当に苦笑いする。

 そうだ。彼女なら知っているやもしれん。根拠はない。


「桜場さん知らないですか?一緒にサボっていたり……」

「桜場?桜場は知らないなあ。今日来ていないのか?」

「さあ。分からないから、聞いているのだけれど……」

「まあ。ここに来たのは誰もいないから。かれこれずっと一人だよ。図書室の利用者数が低迷で、知識大国としての日本の地位が危ぶまれるものだ」


 周りを見渡して見るけれど、図書館にいる人は俺を含めて維川さんしかいない。

 こんな10分休みで来る物好きはいないだろう。

 そして、こうして、図書室でイキっている人物好きも余程いないだろうね。


「図書室の不良ってなんか滑稽ですよね」

「優秀だからさ。図書室居るんだよ。カレシくんはまあ。バカそうだよね?」


 不良らしく、ギャルらしく無邪気に俺を殺傷してくる。

 こちとら不登校児だぞ。頭悪くて仕方ないじゃないか。


「だから、そのカレシくんは頑張って授業に出てよね」

「当たり前だ」


 俺はそう言い捨てて、図書室から出ていく。

 時は無惨にベルがなった。あ、また遅刻じゃん。俺。


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