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例えば男女比1:30の世界で、例えばそんな世界だからこそ免罪符で女の子に……とかないんだがっ!【選択権はここにあるっ!!】  作者: √宮ハルヒ
第一部

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第43話 何故冒険をするんだい?ここはラブコメではなかったのかい?

 走り始めた頃、なんて寒いんだ。節々がかじかんで凍りそうだと思った。

 100メートル走って、200メートル競歩をし、300メートルをトボトボ歩いたところで俺は本当に考えなしだということがわかった。

 外が寒いので自動的に頭が冷やされただろう……。

 冷やされても、目の前に桜があるのだから、意味がわからない。


「ど、どこを探せば、はあはあ。はああ」


 意味のわからない出来事が発生しているのに俺にとっては些事だった。匙を投げたい。

 ど、どこなんだよおお……。

 俺は中腰で息を整える。

 もう走り回ることはできない。疲労感と荒い呼吸で、白い息が生み出されている。まるで温泉じゃないか。自分で温泉を生成できるようになったらしい。


 まあ。その素晴らしさなんてわからず、疲労感は溜まって行くので、手頃なベンチに座り込んだ。リラックスした。

 脱力感と共に、「聖良さん。どこにいるんだろうなあ」と呟いた。

 

 別に死んだ人ではないのに遠い目で彼方の空をうつろに眺める。

 そ、そうだ。俺にはスマートホンがあったんだ。それでワンコールでもすれば人とコンタクトを取れる文明の力があったことを忘れていた。案の定聖良さんとはカノジョという関係性があった時期があったものだから連絡先も持っているものだった。

 まだ、俺は焦っているらしい。


 俺は一旦深呼吸をして、携帯のボタンを押した。

 着信音が一回、二回、三回。

 ほとんど、切れそうなタイミングでようやく『あ、ああ。ああああああ』と耳元で盛大に泣き叫ばれた。


「うわっ。びっくりするじゃないか」

『えっ。ああ。すまん。わたくし、感極まって……』

「いいよ。いいよ」なんていう優しい言葉を掛ける前には『ああああああ』って発狂する。

 また、耳がぶっ壊された。


「だ、大丈夫ですか?」


 こんな言葉を掛けても多少のものにもならない。ここいらで見た人たちの中でぶっちぎりに情緒不安定だ。話ができるかどうか不安なラインではある。流石、あの華月さんをストーカーしていたまである。


『大丈夫です。話せます』とひとしきり発狂した後にいつもの調子の聖良さんになった。

 本当?と若干疑いながらも、聞くことは直球に「華月さんはどこにいるんだ」と言った。

 できるだけ淡白に動揺していることを悟られないように。


『華月さんはですね……。……。舞賀家本邸ですよー?』

「本邸?ここから近いのか?」

『そこがどこか知らないんだけれどー?』

「学校出てから500か600メートルくらい」

『あー。なら、そこから私鉄に乗ってターミナルまで向かって欲しい。そこから特急に乗り込んで……』

「ちょ、ちょ、ちょまって…。近所じゃないの?舞賀さんはそのルートで帰っているの?」

『多分別邸に住んでいると思う』

「あ。そうなんだ」


 納得。じゃない。


「とりあえず。俺。今からそこへ向かう」

『そう。いいね!協力者が増えるものだ』


 ……。

 協力者?


『あ、ちょっ。警備員さん?わ、わたくしは結音ちゃんを……。え?不法侵入?ち、ち、違いますよ。友達……。じゃなくていずれ恋人になる人がそこにいるんです。。。。。ああ。やめて、ちょ、ちょ』


 プツ。ツー、ツー、ツー。


 切れた。え?大丈夫か。あいつ。牢獄行ったんじゃないか?と思わせるほどの打ち切り具合である。まあ。言い回しもさることながら、行動も不審者当然だ。

 その不審者に俺は合流しようとしているのか。はあ。着いて、彼女らしき人を見つけたら、他人のふりして去ってしまおうか。なんて、思いながら俺は私鉄の駅へと向かったのだった。

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