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例えば男女比1:30の世界で、例えばそんな世界だからこそ免罪符で女の子に……とかないんだがっ!【選択権はここにあるっ!!】  作者: √宮ハルヒ
第一部

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第41話 辛いことがあったらとりあえず踊れ。誰かが言ってた。

 10(改)


 提供の時から始まる一連の騒動……。俺が勝手に騒いでいただけの騒動は一応に終わりを迎えた。


 終わったのか?

 

 ただ舞賀さんが男だったことしか知らないような……。まあ。そこの納得感というのは少々足りないような気もするけれど、ひと段落はついたのだろう?ついてないとしてももう散々だ。心臓に悪いことばかりだった。

 そういう心臓に悪いことは多少心躍るものの、踊り疲れた。一ヶ月あまり踊りっぱなしだ。今度は流石に休ませてくれとは心底思ったものだ。


 窓から吹き込む風を堪能したり、教室の喧騒に心地よさを覚えたり、そういう前の世界に共通する日常は大切にしたいと思えてきた。


 それにしても疲れたがな。

 俺は机にうつ伏せになって机の冷たさを味わった。

 伸ばした手がこつりと誰かしらに当たる感触があった。


「やあ」と顔を見るに桜場さんだった。


「どうしたんですか?まだ家に帰ってませんよ?パソコンの電源をつけていないけれど」

「あはは。私、もしかして、パソコンの中の人だと思っていません?」

「そうですけれど。ついでに舞賀さんも」と言いながら横目でその人を見る。


 品行方正な凛々しい顔をしながら警備に回っている。誰かを盛大に注意するあの剛感さも持ち合わせている。あのナヨナヨした感じはない。


「あはは。あの人は確かにパソコンの中の人ですねー」

「だなあー」と俺も適当に相槌を打った。

 しばらく彼女を眺めて、俺らはにこりと微笑んで和んだ。


「いや、違う。そういう話をしにきたんじゃない」と一人冷静になって、俺の脱線術を睨んだ。

「なんの話?」とぐっきりと首を傾げた。


「えっと……。ここでは言いずらい話だね。あはは」

「そうなんですか?」


 俺は呼び出されると言うことに警戒心が湧き立つ。

 腕組みして、警戒心を表す。


「いやいや。何もないから。何も……。あはは」


 軽い笑顔で微笑むから何も信用できない。

 ジト目でもして、態度を改めてもらおうかと思ったけれど、変わらず、おどけた感じで「えっと、じゃあ。放課後、体育館裏で」なんていった時には心臓に一気に負荷が掛かった。


 え、え?


 え?


「それって、どういう?」

「どういうってそのままだよ」


 そのままって、なら。あれですか?体育館裏といえばあれなんだけれど。告白するされるスポットじゃあないか。それ以外考えられないよな。うん。そうだ。男女比が狂った世界、告白の定番スポット。あまりにも好都合な条件が揃っている。


 ああ。ようやっと俺にも春が来た。

 春が来たということでいいんだよな?と一息吸って、疑い深い思考をした。

 つぶやいた発信源をジロリと見ると照れたように、俺の目線から外れていった。

 顔がやや赤いような。


 まさか。まさかなのか?

 俺は今すぐにでも床に這いつくばって、頭を抱えて俺は悶絶し始めたいところなのだが……。ただ苦渋に揉まれた顔を見せるまでだった。


 それをもっと苦渋に揉まれる顔にさせる出来事が舞い込んでくるのはそれはもう束の間だった。


「あ、あのおお。えっと。あ、な……」と言葉の意味もない言葉を発しながら近づいてくるのは星宮だった。


 次にジェスチャーを煩くするけれど、何も伝わらないから。うん。言葉って便利なのね。


「あの。落ち着いて、いったん、いったん」

「あ、はい。うん」とすんとコロっと一変するように落ち着いた。


 死を悟った人みたいな落ち着き方だ。


「えっと。なんだっけ。取り乱していたけれど」と聞くのも馬鹿らしいほどだったが、それを話題に出した瞬間、星宮は面白いくらいに取り乱した。踊っているようだった。


「やっぱ。落ち着いて」と促すしかない。


 そしたら、また、すんとするのは面白いと思ったけれど、話が前に進みやせん。


「えっと。なんか、あの。何があったの?」といえば、星宮は慌ただしくスマホかなんかを取り出して、色々スクロールして俺に見せた。


 あるYahoo!ニュースの記事だった。


『舞賀家当主、当主交代の可能性』


「あ……。ん?」と声を漏らす。だから、何?ということだった。

 舞賀さんが当主でなくなるということだ。それはそれで一大事ではあるのだろうけれど、そこまで騒ぎ立てる理由にはなれなかった。


「えっと。何?そこまでな–––」と俺が言いかけたその間隙を縫うように「ちゃ、ちゃんと読んでみてくださいよ」と桜場さんは言った。


 だからちゃんと星宮のスマホをお借りして、読み込む。


 先に読んだ桜場さんが星宮と同じように「こ、これは本当なのか?」と騒ぎ立てている。

 やれやれ読んだところで何が変わるのやらと、俺は斜に構えてスクロール。


 えっと。『舞賀家当主舞賀祈まいがいのり氏が退陣し、舞賀家の末端家系である華月結音かづきゆいね氏に当主権を譲るという案が検討されている……』と。


 は?え?

 俺はくるりと翻して、華月さんのその机を見たが、空席であった。


 俺も星宮や桜場さんの仲間入りをした。

 こ、これは、あ、あんまりだあああ。

 彼女らとワッチャワッチャと踊り尽くして狂った気がする。


「あ、こんなことになったので体育館裏の呼び出し話です。あはは」と断られてた気がする。


 あはは。もっと踊りたくなっちまったぜ。

 あはは。



 

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