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例えば男女比1:30の世界で、例えばそんな世界だからこそ免罪符で女の子に……とかないんだがっ!  作者: √宮ハルヒ
第一部

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第3話 こんな世界でも初めに友達になるのは男だったりする。

 ホームルームが終わった。

 ホームルームは担任の教諭の簡単な自己紹介(教諭は当然女性で)とその後の流れについてだった。


 特に男子生徒への忠告ともなく、ただ普通の学校であった。

 うん。なんか。期待した。んだけれど…その世界の概要とは違う。


 絶望的他ない。


「はあ」と溜息を吐けば、項垂うなだれるように机に突っ伏した。

 誰も俺の相手をしないのなら、特段こんな世界、以前とは以前として変わらない。

 寧ろ価値観の乖離との軋轢あつれきで不快感しか募らない。

 

 理想的な世界は案外俺に優しくないらしい。

 完全に不貞腐れた文言がつらつら湧き出し、より一層近づき難いオーラを身に纏った。

 こんなことをしているからボッチなのだと言うならそれはど直球ドストレート。心象が心傷する。


 俺は完全にやる気を折られていたので、目もくれず、秘技。机に突っ伏して、寝たふりをかました。

 まあこうして秘技を出したところで腕の耐久性はゴミだった。ものの数分で腕が痛くなってほとほと耐えかねた頃。誰かが俺の出方を伺うかのようにたたずんでいた。あれ。もし、もしかして、女の子か?春、春が来たのかっ?


 ガバッと効果音が付く勢いでそちらを見たけれど、はっ。

 口汚いそれと舌打ちしか出るものはなかった。さっきクラスを二分する勢力の一つ。メシアのこと。いや、メシアじゃない。俺に対してのレジスタンスだった。


「君、あの。無理していないか?無理しているんだったら保健室に……」


 さっきの舌打ち諸々のことを後悔するくらいの生粋のイケメンだった。顔が良くてその上性格もいいとか。

 

「いやいや…。全く無理してませんよ」


 相当無理をしているのはしているのだけれど、この人をクラスから離脱させる訳にはいかない。そんなことをしたらただでさえ関わりのない女子から恨まれてしまう。


「ならいいのだけれど…」


 彼は心配そうな顔を見せる。女子の前で振り撒いていた清涼感あふれるアイスキャンディを彷彿とさせうる軽やかな笑顔を見せてくれたらいい。


「ああ。急にすまない。名乗ってなかった。僕は星宮旭ほしみやあさひというんだ。星宮か。旭か。なんでも好きに呼んでほしい」

「そうですか」

 

 それは名簿で確認済みなので知っている。

 いかにもイケメン。まじまじと見つめて観察するけれどいやあ。工芸品と見間違うほど整っている。ルーブル美術館に展示しても違和感もないだろう。


「あの……。そんなに見つめられたら…。恥ずかしいのだけれど……」と顔を手で咄嗟とっさに覆い尽くす。


 なんだよ。女の子に毎日まじまじと眺められていることだろうに。何を今更と、毒づいた。


 そのえーと、その星宮はその恥じらいを塗りつぶすがごとく「あの君の名前は?」と尋ねる。名乗る時は自分からという暗黙の鉄則を律儀に遵守しているようだ。

 健気さが残り、好感の持てるやつだと………いやいや。陽キャですから。ちょっとは認めてあげよーみたいな?そうそう。


「えーと。俺は関根四季せきねしきだ。よ、よろしく……?」


 慣れない笑顔を振り向ける。大丈夫か?これで。星宮なんてキラキラな名前じゃなくてどこにもいそうな関根で良いのかとか。

 結婚でしか変えられないけど、現状から見れば無理だろう。と別ベクトルの卑下をしつつも「四季くんね。よろしくっ」と星宮は屈託のない笑顔を浮かべていた。


「四季くんは学校どこだった?」

「うーん」


 前の世界との整合制はどうなっているのだろうか。俺は普通の共学化中学に入っていたのだけれど……。どうなっているんだ?と悩んだ挙句の返事だった。


「ああ。済まない。通っていないこともあるよね」

「そ、そうなの?」


「いやだって。女性恐怖症は珍しくないって。それではないのだよね」

「違いますよ。どうして?」

「いや、だってそれはまあ。慣習的なこと以前に君からは敵意というか警戒心というかが剥き出しで…、正直話しかけずらかったものだよ。四季が男子じゃなければ話してなかったかも」


 そんなぶっちゃけた冗談を言うけれど、これはただただ俺がコミュニケーション能力の欠如他ないだろ。

 終始話し始めるのは「あっ」というえずく定番のアレをしてしまうから、だからといって女性恐怖症なわけない。ないよな…。

 不甲斐なさで押しつぶされそうになった。


「寧ろ俺は色々喋りたいのですけれどね……」

「ははは。確かに君は結構なおしゃべりらしい」

「随分と長くこうして話していなかったから、エネルギーが溜まっているんですよ」


 引きこもりはそれはないよ?だけれど、会話相手なんて妹か、父母。画面の向こうのお友達とか…。

 改めて思うけど、俺の交友関係は更地みたいなものだった。空きテナントしかない。

 無性に涙が溢れ止まない。


「じゃあ。僕に気軽に話してよ。そうやって畏まらずにさあ。ね。もっと砕けた感じでいいんだよ?」


 その言葉によって元気が出てきた。そんな気を掛けてくれる同級生に敬語など確かにどうかとも思う。

 やっぱ相手が明らかなる陽キャだから無意識に刷り込まれているのか?星宮が俺より上ってことがっ。実際上なのだけれど。


「じゃあ。星宮。元気〜」

「ぎこちなさは全開だけれど、いいよ。その調子」


 褒め上手だなあ。俺の欲しくもないプライドが青天井に成長してしまうことだ。

 その後も他愛のない会話を続け、陽キャについても悪くないなあと思った。

 一番最初に話しかけられるのが男子というのはこの世界の楽しみ方として間違っている気がするけれど、まあ。

 ボッチは回避できたので前の世界より前進だ。

 てか、前の俺ひどすぎ。

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