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例えば男女比1:30の世界で、例えばそんな世界だからこそ免罪符で女の子に……とかないんだがっ!【選択権はここにあるっ!!】  作者: √宮ハルヒ
第一部

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第2話 教室に入る。期待はするな。傷付くだけだ。

 01


 嘘だと思っていた時期もあっただろう。

 当然と言えば当然であるのだが、流石に、流石にだ。こんな俺のためにドッキリを仕掛けるなど、テレビ会社の制作資金をドブに捨て去るほどの愚策だろう。付け上がりにも甚だしい。

 

 その上、変わらぬこの光景を目の当たりにして、俺は信じざるを得なかった。

 順当に俺は入学する高校へと足を運ぶ。されども女子ばかり。


 俺の入学する高校は共学だったはずだ。ここは女子校だったのか?と呆然と立ち尽くすが、誰一人として違和感は持っていない。あそこにいる俺と雰囲気を同じとした男子くんでも平然と入っている。屈強な女の子を連れて。


 こんな多数の女子を前にすれば狼狽えるのが、俺だった。

 俺と雰囲気を共とした男子くんでも女の子を連れているというのに何というていたらく。証拠にスマホでここについて検索して、最近女子校が共学化したという噂も情報も綺麗さっぱり存在しなかったことに驚愕しているのである。


 そう呈した疑問を疑問としない世界に俺だけが可笑しいことにようやく落ち度が着いた。

 良い夢だと思って、相手にしない用にしよう。俺の日頃の行いが良かったのだな。これが俺の結論だった。


 さてさて、まあ。とりあえずは学校に入らなければ意味もない。考えていてもしょうがないだろう。考えを自分だけで完結させれば鬱々としたマインドになるだけだ。


 俺はこの今にも爆発四散しかかる心臓を抑えつけてクラス表でも確認しに行った。

 この女の子だらけの雑踏を分け入って獲得できた情報は…。あー。俺は1組らしい。

 一年一組。まるで小学生のようで、童心に還ったようだった。心踊る気分だろう。

 しかし、いただけないのは連ねる名簿のほとんどが女の子っぽい名前だった。

 やめてよ。俺一人なんて体が持たないよお〜。

 あ、でも普通に性別も記載されているタイプの名簿だ。えっとそれで見ると……。


 よ、よかったあ。俺以外にも一人。一人いた。男子が絶滅危惧種なのは間違いはないのだろうけれど、教室に誰一人同性がいないのはインキャの俺としては最悪のシュチュエーションだ。救われた。メシアだ。その人は。


 その人を早くお目に掛かりたい一心ではやる気持ちで教室に這入る。

 うおっ。気圧される。圧倒される。やはり女だらけ。

 30人ほど人がいるが、男女比は30:1か。どこぞの共学化したての女子校よりも酷い比率だ。俺が勝手にメシアと呼んでいるその彼を入れてもせいぜい15:1で酷いのは変わらない。


 こんな状況なら、こんな状況であるからこそ、このフツメン、ド陰キャの俺でもキャーキャーと黄色い声を散々に浴びて、一気に陽キャに転身してしまうのではないか…。

 下心and 下心within下心しかない。

 

 でも実際問題、こうやって想像通りにいかないものである。

 あれ。おっかしいなあ。

 教室に入ったのに誰一人として俺に話しかけないぞお?どころか、相手にもされていない。恨みを買うとか、そういうことではなく空気中の空気といった感じだ。


 この雰囲気、別に前の世界と変わってなくないか?

 それとも俺が期待しすぎだったのか?


 なんだか肩身が狭い空気が漂う中で自分の座席を探す。

 ほお。いい感じの席だ。窓際で教卓から一番離れた所謂いわゆる主人公席。それから右に1席目。まあ。いい席ではあるが、なんともコメントしづらい席だった。

 まあ寝れるからいいとしよう。俺はその席に座った。


 この席は教室を一望できる。友達のいない俺は周りを見て行動しなければならないので、望むところだった。


 まだホームルームも始まっていないクラス。大きく分けて二つグループらしきものができていた。だが、それもガッチリと決まったものではなく、ゆるーい、初々しさや瑞々《みずみず》しさが残っているものだった。


 グループのその中の中心人物は物凄く、お綺麗な女性だった。上品というかたおやかというか、めっちゃええ。めっちゃ。俺の貧弱な語彙では表現することはできないけれど、多数の人を魅了していた。


 いいや。これはどこの世界にもいるようなやつだろう。嫉妬するほどどこにでもいる。

 

 だが、この世界だからこそ嫉妬するようなこともある。もう一方のグループだ。おそらくあの、名簿で見つけたやつだろう。そいつを俺は勝手に俺と同一視していた。俺と同じインキャで、飢えているやつなんだろうと勝手に想像していた。

 

 全く違った。彼はどう考えてもイけている陽キャにイケメン。周りに多数の女の子を侍らせ、求愛を受け取っているという。


 ああああああ。ちくしょうっ。ふざけるなああ。

 俺だけかよ。こんなボッチなのは。あっちもボッチであればいいのに。

 こんな恨みがましいことを散々思っていても変わらない。


 こんなボッチだからこそ、周りの視線が痛い。男子なのに話しかけられない俺を嘲笑っているのだろう。


 俺は目を背けるように窓の外を眺めてやり過ごす他なかった。

 桜が散って吹雪をなしていた。心が洗われるようだ。主に下心が。


 最悪の開始となった高校生活、もといこのよくわからない世界をそこはかとなくやり過ごせるのだろうか。

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