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例えば男女比1:30の世界で、例えばそんな世界だからこそ免罪符で女の子に……とかないんだがっ!  作者: √宮ハルヒ
第一部

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第23話 相手より賢くなければ相談は聞けない。

 中庭。

 ベンチ。昼を星宮と食べる時の定位置だった。

 楽しくね。最近はゲームの話もしたものだ。


 しかし、今日は違うものだ。

 星宮がベンチに座って、俯き気味になっている。

 明らかに話しにくそうな雰囲気を醸し出しながら、「えっと。急にこんなところに呼び出して悪いし、重い話でもあるんだけれど…」と低いトーンで言ってくる。


 俺みたいなやつがそんな雰囲気で和ませる一言を思いつけるはずはなく、「まあ。大丈夫ですよ」と言うだけだった。基本的に聞き手なのでね。上手いこと言えませんよぉ。


「ありがとう。えっと。まあ。最近悩んでいることがあるんだ」

「うん」


 見れば明らかだよ。目元にくま憔悴しょうすいしきった顔を見れば誰だってそう言う。



「最近。女の子からのアプローチに悩んでいるんだ」

「あー」


 それは、なんだ。自慢…。だとか、俺の浅ましい心は思ってしまったのだけれど、真剣に悩んでいる顔を見れば、冗談ではないことはわかる。それでも高度すぎる悩みだ。俺は人に相手にされないことに頭を悩ませていると言うのに、俺がどうにかできるとでも?

 まあ。一旦話だけは聞いてみよう。それから判断するのも悪くないはず。


「それはどういう?」

「毎日毎日、女の子たちから声をかけられるんだ。それは分かりやすく、好意以上の何かを持っているし、それはとても嬉しいとも思っているんだ。多数の人が僕を認めてくれているということだからね」

「そう」

「でも、その中でも過激になる人も一定数いるわけなんだ。まあ……簡潔に言うならストーカーなんだけれど」

「ストーカー?」


 あれ。あの伝説の?いや、別にそんなことないけれど、しかし、身近に被害を受けている人なんて。これは相談を受けている側ではあるものの、どう協力すればいいのか分からないなあ。


「そう。ストーカー。おかしなことを言っているのはわかっている」


 俺はストーカーというものはされたことないし、なんなら美少女がしてくれるなら、特になんとも思わない同人誌人間なのだけれど、殊、星宮のような優しい男ならば、きついものがあるのだろう。


「でも、確実にいるんだ。今も視線を感じたりするんだ」

「視線を?」

「生暖かいというか気配というか。まあ。それは気にならないのだけれどね」


 気にならないならいいじゃないか。


「それぐらいじゃあ、僕も問題視しなかったのだけれど、近ごろ。テニス部の更衣室で僕のユニホームが無くなるんだ」

「ユニホームが!?」


 それは紛れもなく犯罪なんじゃないか?


「極めつけは、下駄箱の中にね。手紙が突っ込まれているのはいつものことだけれど、2月でもないのにチョコレートが入ってあったんだ。手作りのね」

「へえ。下駄箱にチョコレートって衛生観念どうなってんだよ?」

「まあ。僕もそうは思ったんだよ?でも、せっかく作ってくれたんだったら食べなきゃなんか良くないじゃないか」

「まあ。俺も食べちゃうなあ」


 俺はバレンタインという陰キャ殺しの文化を毛ほども嫌っている。

 多分もらった時は嬉しすぎる。欣喜雀躍きんきじゃくやく。アホなら踊らな損損。

 もらったことないけど。


「ちっさい箱にあってね。チョコレートの色はしてたんだけれど、完全に固まっていなかった。バカな僕は生チョコというのはこういうものなのかなとか思っていたんだ」

「確かに生チョコって固まってなさそうな名前ですもんね」

「まあ。生チョコと期待して食べたら味がおかしかったんだ。なんていうか臭い。生臭くてね……。あ、なんだろうって、考えてみたら、レバーみたいなんだよ。つまり血の味がするんだよ」


 血?血だと!?

 血なんて下駄箱に入れる衛生観念以前の問題じゃないか。手作りチョコは型に移し替えるときに数億の菌が混入しているとかいう冗談を言うのだけれど、それが洒落にならない事実だった。


「僕は思わず吐き出してしまったよ。吐いて、口をすすいで、でも、そのチョコは捨てなかったなあ」

「それは血液検査をして誰かどうか特定するためですか?」

「ああ。それは思いつかなかったけれど、どうしてもって時の最終手段だね。そこまで大事おおごとにしたくはないんだ」


 それはいいやつだなあ。多分華月さんなら瞬時に開示請求だよ。だからこそ、俺に相談を持ちかけている。そういったことも伺える。


「そこで、四季に頼みたいんだけれど、僕が動くのもなんだから、誰がしているのか突き止めてくれないかな?」

「まあ。構わないけれど」といつしかでした返答をする。

 特に何も考えてはいないかった。

 ここが俺の落ち度というほかない。後々後悔を引きずることになるのだ。


「なら、悪いんだけれど、テニス部に入ってくれない……?」

「テニス部っ!?」

「僕テニス部に入っているから、入部?を…して、まずはユニホームの同行を探って欲しいんだ……。ユニホームはないと困るんだ」と。

「いやあ。でも、警察に行った方が」


 広域防犯システムとかいう訳わからないシステムは国家的なところで運用しているのだろう?その穴をついてそういう犯罪に手を染めている輩だぞ?一一般人が無闇に手に突っ込んでいい案件ではない気がするけれど。


「大事にはしたくないんだ。だからお願い?」と気が弱そうに頼んでくる。

「い、いやあ…」


「同級生の犯行でないのなら、それは警察でいいから」と懇願する。


 このまま拒否をし続けたならどけ座も厭わないそうだ。

 俺はこういう人にはめっぽう弱いのだ。


 俺は仕方がなく。「わ、わかったから、うん。なんとかするから」とはぐらかす。


 入部するとは一言も言っていない。そう言う言い訳ができる余地を残した言い方だった。

 無理だ。テニス部は。バレンタインを批評するゴミだぞ?陽キャの部活には到底入れるわけないじゃないか。


 「じゃあ。ありがとう!?放課後にテニスコートで」と純粋無垢な表情で、言われたのを聞いていると世紀の大悪党な気がしてきた。


 ち、違うよね?そうだよねえ?

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