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例えば男女比1:30の世界で、例えばそんな世界だからこそ免罪符で女の子に……とかないんだがっ!  作者: √宮ハルヒ
第一部

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20/27

第20話 やっぱカノジョが欲しい。

解決した。

 そう。全て解決したように見えた。けれど聖良さんのことが気ががりであった。

 妹にぐちゃぐちゃにしろと言われたけれど、ぐちゃぐちゃにしたのは聖良さんだけだった。


 そりゃ、一枚も二枚も上手な華月さんを引っかき回すなんて無理があったんだ。

 無理があってもどっちも引っかき回して、平等だというのに。

 ああ。多分、俺は聖良さんにぶっ飛ばされるんだなあ。とちょっと怯えを感じながら、教室まで歩く。


 教室の前まで来ると、あのテニスの試合があった時のような人だかりができていた。

 なんだろう。

 そんな注目の的になる存在なんてないのに……。

 

 まさかっ。また聖良さんと華月さんが争っているのか!?懲りない奴らだ。

 俺はその真偽を確認しようと、席へ向かおうとするが、群衆が多くて確認することさえ叶わない。


「どーしたのさ?」と俺の肩にツンツンとする少女がいた。


「えーとあの。桜場さん」

「せいかーい」とにこりと笑う。

 ギャルっぽくて、まさしく陽キャといった感じだ。


「あの、えっと。桜場さん。こ、これって、この状況どうなっているんですか?」

「それはねえ。見た方が早いよ?」

 

 そりゃ。百聞は一見に如かずとはいうけれど、この状態じゃあ。見れないじゃないかと突っ込んでおくと、桜場さんは手刀のポーズをして、


「はーい。みんなー。どいてー。《《元》》カレくんが通るよー」

 

「はえ?《《元》》カレ!?」


 周りの群衆がさーあと引いていく。鶴の一声はあったらしい。

 道が出来たので、必然的に前へと出る。


 先に来て、最前列で観察していた日御池ひみいけさん、維川いかわさん、それに星宮ほしみや。その3人が3人ともに唖然とした表情をしていた。

 俺もこの光景に唖然とした。


「ねえー。結音。ダメなの?」

「ダメとかじゃないわ。不条理で、不合理だからよ」

「難しい単語はいいの。わたくしの愛が伝わればいーの」

「じゃあ。それは一生無理ね。残念ながら」

「じゃあ。付き合うのは?」

「もっと無理ね。私が男でも断るというのに女なら余計によ」

「付ければいいいの?手術?タイにでも行けばいいというの!?」

「あなた理解力をなくしたわね」


 そんな会話が繰り広げられていた。

 違う。昨日と明らかに違う。全く攻撃性に富んでいない。むしろ仲が良いとも取れる。そんな会話。

 

 固まってしまうのは当たり前だろう。

 状況判断に困るのは当たり前だろう。


 「え。どういうこと?」とちょろっと独り言で言えば、人だかりの中で聞こえないのはずの華月さんが、「し、四季くん?あなたのせいでしょう?なんとかしなさいよ」と叫び取り乱した声が廊下まで響き渡った。


 耳も耳で地獄耳なのかと感心するけど、あの天才、完璧、完全無欠の華月さんでもどうすることできないことがあるらしい。おかしいかな。無力な俺に助けを求めている。


 周囲の視線が俺に集まる。恥ずかしいったらありゃしなかったけれど、ずっと俺を無碍にしてきた華月さんだ。恩の一つぐらい売りたい。


 と、思いもしたものの、これなんとかしろって言われたってこれ明らかにNTRの現場じゃないですか!?

 

 俺のカノジョが友達(女)に取られている。カノジョが一方的に悪いとしても、デートまでしたのに。デートしたからかもしれないけれど、そんな性悪女でも好きになれるところだったのに……。


「ダーリン?あー。ダーリンはよくないんか。四季くーん?ありがとう。四季くんが言ってくれたおかげで自分の心に正直になれたわー」


 そ、それは言ってはならないNTRの言葉。

 維川さんたちあたりからゲラゲラと声が聞こえる。そういえばNTRがどうとか言っていたもの。ただ彼女らに話の種を提供しているだけじゃないか。


「どーぞ。俺は別にお前のこと嫌いだったからなあー!!!」とただの負け犬の遠吠えをした。嘘。やっぱ俺ちょっと好き。


「それ私の言葉なんだけれど」と聖良さんに雁字搦がんじがらめにされ、身動き取れない華月さんが何か言っている。


「わたくしは華月結音が好きだーー!!!」とかいう惚気のろけでかき消されていた。


「じゃあお幸せにぃいー」


 そう手を振る。何に負けたかよくわからないけれど、退場の綺麗さは負けないようにしようと。


 こうして俺の怒涛の四日間が終わった。

 或いはここから始まるのだろうと思ったのだ。

 だって涙が溢れるもの……。


 やっぱ俺カノジョ欲しい。

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