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例えば男女比1:30の世界で、例えばそんな世界だからこそ免罪符で女の子に……とかないんだがっ!  作者: √宮ハルヒ
第一部

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第12話 理想が唐突に現実になると考えられなくなる。

あんな大言壮語。

 べ、別にそんなこともないけれど、あの言葉を証明できる余裕は無かった。

 とびきり可愛い美人さんを連れてくる。そんな言葉……。


 まあ。大丈夫だし。大丈夫……。じゃない。


 その、来てくれそうな美人な女の人、華月かづきさんは図書館との一件であんまり宜しくなくなったんだ。初日にしでかすとはやっぱ友達経験の浅さを感じるぜ。

 こう、ずっと教室の前の扉で、ぐるぐると回っている程には思考がぐるぐる回っているのだけれど、流石に観衆を呼び起こす道化師と化してしまう。


 でも、仕方はない。言ってしまったり、やってしまったならそれはもう戻れないことだ。

 頭を抱えて混乱を浸っていても変わらない。

 俺は勇気を振り絞って自らの席に着席する。


 ほら、何にもなかったじゃないか。現に俺は気にしているのに、俺との気まずい関係を物ともせず、隣人は読書に耽溺しているじゃないか。

 開く文庫本はこれは実に《ドグラマグラ》だった。カバーをしないと言うことはひけらかしているのも同義。


 それはもうギョッとする。これは話しかけない方がいいと思って粛々とこじんまりと腰をかけているのは正解だろう。

 これはもう話しかけるのは明日にした方がいいいだろう。


 俺は勝手に思っていたのだが、


「あら。おはよう、そんな一言も挨拶もなし?自称友達なんでしょう?」


 オロオロと授業の準備をすれば、ついぞその隣の彼女に声をかけられた。おい自称ってなんなんだよ。


「じゃあ。おはようございます?」

「うん。おはようございます。四季くん。初めからそうするべきね」

「ははは。昨日のこともあるから、ねえ」

「あら、配慮でも考えていた?随分と烏滸おこがましいことね」

「いやあ。だって普通に気まずいじゃないか」


 昨日、大口叩いて偉そうに色々御託を並べていたけど。

 結局それは全部、論破というか、聞き入れちゃあもらえなかったし。擦ったもんだを気に揉んでしまうだろう。俺みたいな気弱はそりゃ気になるでしょう。


「まあ。私にそんなこと言ってしまったのだから、気に病んでしまうものね。私が悪かったわ。実際私は特にあまり気にしていないわ」

「なら、彼女と仲良くしてくれますか?」

「それは無理な相談ね。撤回するわ。特に気にしているわ。彼女が頭を地面に擦り付けるなら考えなくもないわ」


 間髪も入れることもなく毅然と否定した。

 ですよねーー。って感じ。だって俺じゃないから。こんな赤の他人の不仲を傍観しているだけの俺が心を痛めている。当事者なら下手に出て丸く収めようとしていただろう。


 これはまあ普通の解決法ではある。解決はしていないかもしれないけれど、問題は起こっていない。だから解決も何もないのだ。


「そーかい」と言って俺は会話をすることをやめた。今は有効な会話デッキを持っていない。今またグチグチと言ったとしてもどうせ言い包められる。そう言う訳で戦略的撤退と言うやつだ。合理的判断だ。


 俺はそれを悟られないため、トイレに行くふりをして教室から出ていく。

 教室から出た三歩目。あー。出て行ったのはいいけれど、どうすりゃいいのだと後悔した。即落ち2コマ。


 俺ってつくづく考えなしだなあ。と失望しつつ、まあ思いつくのはボッチ時代のように踊り場でゲームでもしようと考えた。


 三階のあの人気ひとけのない踊り場が一番いいんだよ。こう語っていて悲しくもなった。こんな専門家になりたくなかった。


 でもゲームは面白いからねと言う気概だけで、階段を登り詰めていた。

 そうだ。そろそろガチャの更新が来るんだった。

 どっちみち俺はゲームを開けなくてはなかった。階段を上がるステップが軽やかになった。もう誰も俺を止められねえ。


「ねえ」

「あ、はい」


 止められた。止められないとか言ってたのに止まった。

 俺って意思よわよわ!?


「ねえ。ちょっとわたくしについてきてくれなーい?」


 ギャ、ギャルだ。俺の防衛本能が言い方にアラートを鳴らした。


 いや、違う。神々聖良みわせいらだった。

 な、なんで、お、俺なんかに?

 俺、神々さんと会話したっけな?してないな全く。じゃあ初会話だ。


「あ、えー。あのあの……あの」


 コミュ障発動。一つも言いたいことが言えない…。これが弊害か。

 俺がこうしてオロオロとテンパっていると、ネクタイをつかまれる。首がまる。


「あの。もう少しでチャイムがなるから……」

「黙ってついてきてほしい」

「あ。はい」


 俺は言われるがまま従った。独裁政治が生まれたら俺は飲み込まれてしまうタイプだろう。そう思った。

 

 結局連れられたのは当初目的としていた三階の踊り場だった。

 その奥に扉がある。屋上だった。


 あー。屋上とか入れたんだ。アニメとか漫画の話かと思った。


「えーと。あの。なん……ですか」

「えっとね。まあ。あんまり驚かないで欲しいのだけれど」


 と、彼女は屋上のフェンスに手を掛けた。大きな空を眺めている。黄昏たそがれながら俺の方へと振り返った。


「ねえ。あなた。私と《《付き合わなーい》》?」


 はい?

 どして?



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