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例えば男女比1:30の世界で、例えばそんな世界だからこそ免罪符で女の子に……とかないんだがっ!  作者: √宮ハルヒ
第一部

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第11話 妹は大体兄を信用しない。

 華月かづきさんに説得を求めることはできなかった。

 まあ。これも予想の範疇はんちゅうといえばそれまででしかない。


 これを星宮に言ったところで「そりゃそうだね」なんて、もう一度アプローチしてみれば?と言うアドバイスもなしに納得されるだろう。それではいけないと思う。それでは俺の心が解決されるが、根本は一つも解決されていない。


 俺はもっと非常に非情なやつかと思っていたのだが、意外にも心を痛めているらしい。それは初日に出会った人にも有効らしく、これは友達がいなかった弊害だろうか。

 距離感という距離感がバグっていると言える。これが要因かな。


 取り敢えず、交渉は決裂だ。

 決裂した旨を星宮にLINEで報告して、もう結構な時間だ。帰路へと辿った。

 

 ⭐︎ ⭐︎ ⭐︎


 俺の家は狭いマンションだった。

 家賃何万か知らない。でも、高くはないとわかるおそらくバブル期に建築されたマンション団地に俺は住んでいた。

 きしむ玄関扉を開けて「ただいまあー」と俺は靴を揃えながら聞こえるか聞こえないくらいの言葉を発した。


「はら。岡絵ぇ里」と返ってくると思わなかった返事が来た。

 それはこんな変な時間の風呂上がりの妹がいた。妹の名前は折節おりふし関根折節せきねおりふしだ。口にはアイスキャンディーを咥えていた。


「誰なんだ?それは。カノジョかっ」

「違うわ。実質、実質的にはカノジョはいるけれど、それは別の人よ」

「カノジョいるのかっ!?彼氏じゃないのかっ!?」


 前の世界の妹は彼氏じゃなかったか。事あるごとに自慢してきたその彼氏じゃないのか?そのインスタとか探して見てみたけれど、良い人すぎてお兄ちゃん死にそうになったぞ。

 その彼氏じゃないのか?


「いや、彼氏って。彼氏ができるほどにトップカーストなわけないのだけれど」

「トップカースト?」

「そりゃ、まあお兄ちゃんにはわからないだろうけれど。男子のくせに友達がいない人にはわからないだろうけれど」

「な、なんだ。喧嘩か?喧嘩?」

「じゃあ。いるなら一人くらい連れてこいっていうものよ」

「ははは。いーぞ。連れて欲しいなら何人でも連れてきてやるわ」

「は、え、な?」


 予想外の返答に妹は動揺している。ここで言い負かせられないなんてと邪な心が否定されたように……。ついには俺が俺でない誰かだと思っている。


「お、お兄ちゃん。友達いるの?私がどうにかしないと作れないのに?」

「なんだと?その侮辱は?いるよ。当たり前だろ?」

「え、女の人?」

「女の人も男の人も」


 女の人の方は絶賛仲が悪くなったけれど……。先輩がいるじゃないか。先輩はもうほぼ友達じゃん。あれ。俺だけ思ってたらどうしよう。あれ友達じゃない?

 俺は勝手に絶望した。


「あ、そーなんだ」


 アイスキャンディーをしゃりしゃりと頬張る妹はツーンとした目を向けた。それは疑心暗鬼の目というより、寂しさや侘しさを含んでいるような気がした。

 妹がそんなブラコンを見せてくれるなんて……。感動。


「ふーん」とこうした意味深な一言で十分だ。


「何よ。お兄ちゃんのくせに生意気。そんだけ言うなら、明日でも、明後日でもここに連れてきなさいよ。無理だと思うけどー」


 くすす。と口角を上げて嘲笑う妹。

 クソ生意気な性格をしているのは妹の方だろう。そんな煽られたら腹にくるものもあるだろう。


「あー。いいさ。いいさ。明日でもとびきり可愛い美女を連れてきてやるよ」

「へー。そのとびきり可愛い美女かどうか審査してあげる」

しゅうとめか何か?」

「別にー」と妹は頬を膨らませながら、アイスキャンディーを完食した。


 そのアイス棒を乱雑に捨てる。

 何か不満があるのか、それとも……。

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