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例えば男女比1:30の世界で、例えばそんな世界だからこそ免罪符で女の子に……とかないんだがっ!【アイスピックでそれを突き刺せよっ!!】  作者: Nomulesse oblige
第三部

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第110話 何がなにが可笑しくてチャーハンで笑えるのだろう。

 桜場さんの勢いが良い食べっぷりに関心をしつつ、それとは関係のない疑問が浮かび上がっていた。どうして、まだ、妹は帰ってこないのだろうか。

 別に早くなるだとか、遅くなるだとか、聞いちゃいないが、それにしたって異様なことである。全然帰ってこない。どこをほっつき歩いているっていうんだ?

 

 もう、すでに12時を回って、次の日である。

 朝帰り?朝帰りなど許さないけれど?

 カノジョが女だとしても良くないぞ?

 それはもう、百合小説を嗜む俺だとしてもなんか許すとか魔法の言葉はないぞ?


 シスコンだとか嘲笑されたくはないけれど、そこだけは全お兄ちゃんは複雑怪奇な気持ちになること間違いなしだ。もう、そんな想像がよぎってしまって、煩悶し倒したいこと間違い無い。

 

 あれ、待てよ……。

 ちょっと沈着になって考えてみれば、妹を見たのは随分と前になりそうだ。


 もしや、あの妹が監禁されているという罷り間違った事件が起きているかもしれない。

 それだけは勘弁である。


 そんなに心配しているなら、ちょっくら聞いてみよう。

 LINEを開けて、安否確認をしてみる。

 文章は何がいいだろうか。適当に“あ”とか送ってみるか?う〜ん。なぜここで俺は選べないんだ。やになっちゃう。


「何を真剣に悩んでいるの?」


 目の前で俺のチャーハン。俺の作ったチャーハンでもあるけれど、俺の分のチャーハンでもあるものを掬っていた。


「別に何も……、ない…」

「そう?」


 無邪気に傾げて、どうでもよさそうにチャーハンをレンゲに乗せていた。

 まあ。何を送るかなんて、どうでもいいのかもしれない。

 さっきまでフリック入力で打っていた“あ”を送った。


 即既読。

 “あ”が返ってきた。

 別に多忙で返信することができない訳ではないらしい。


『今どこにいる?』って送ってみる。

『さあ。どこでしょう』って焦らした返信を返された。


 皆目見当もつかない。

 真剣に考えたらいいのかどうなのかすらも分からない。そうして、画面の前で固まっていると、目の前の桜場さんが「やっぱりどうしたの?」と聞いてくる。


「いや。まあ。何も……」


 この返しをさっきも返したような気がする。


「ふーん」


 じっとした目で凝視してくる。

 その容貌には微かに俺を透過して頭の中で何かを思考しているようだった。

 なら、俺を見ないでほしい。俺が間違っているみたいじゃないか。俺は意図して目線を逸らして、画面に目を落とす。


『割と近くに居るけれど、それは教えられないね』


 新着の妹のメッセージだ。頭は良くないので、こんななぞなぞのような文面を送られたとて、困り果ててしまうだけだ。


『そう、チャーハンを作って冷蔵庫にあるからレンジから取り出してチンしてね』と言いたかったことを入力して、俺はスマホをポケットにしまった。


「ああ。そういえば妹さんは元気?」


 俺が妹とのLINEに勤しんでいることがすでにバレてしまっているのか?

 だとしたら何という慧眼だ。でも、そんな訳でもないらしく、ただの酒のつまみならぬチャーハンのつまみとして、話を聞こうとしているだけだった。


「元気、元気といえば元気かな……。そりゃあ。以前と比べれば」

「以前?」

「妹ってやつは昔と印象がだいぶ違うんですよ。今はギャルのように明るく無邪気な妹なんですけれど、昔は、もうちょっと暗いやつだったと思う。それはもう、俺が守ってやらないといけないくらいには。その程度が一番妹らしいといえば妹だったかもしれない」


 昔はおにーちゃん。おにーちゃんって言ってくれて頼ってくれたのを思い出す。今は俺が教わっているのは情けないかもなあ。聖良さんの時だとか、ありがたかったものだし……。懐古に浸っていると、配慮を忘れていた。


 「そういえば、桜場さんは一瞥もしたことないのに、急に印象の話をしてしまって、申し訳ないです」


 慌ててフォローをする。

 知らない話を聞くのは結構辛いものがあるんだ。かくいう俺はとんでもなくむずむずい思いをするのだ。付いていけないからだ。


 俺だったら苦笑いで「ふ〜ん」としか返せないからだ。


 案の定というべきか、桜場さんは「ふ〜ん」と返した。

 その上ににんまりと不敵な笑みを作った。


「確証したよ。動機も含めて。なんて単純だったんだ」


 ククク、と急に笑い出すものだから、俺は当惑を隠せない。


「どういうことですか?」


 一人でそうやっている分に申し訳ない。俺には何一つピンときちゃいない。


「いや、君をここに閉じ込めた犯人がわかったのさ」


 ?


「それは君の妹さんだ。間違いない」


 桜場さんは意味のわからないことを言っている。

 意味のわからないことを教えてくれる立場であるというのに、意味のわからないことを吐いている。そして、信じられない。信じたくもない話を語っている。


 どういうこと?

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