表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
例えば男女比1:30の世界で、例えばそんな世界だからこそ免罪符で女の子に……とかないんだがっ!【アイスピックでそれを突き刺せよっ!!】  作者: Nomulesse oblige
第三部

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
100/122

第97話 優しい教師が来たなら、もっと学力は下がる。

 明くる日も明くる日も、華月さんはめげることなく俺の家に来た。どうしてそこまで、俺を賢くしたいのか甚だ疑問があるのだが、もうそれも気にならないぐらいには、これが日常となってしまった。


 だから、今日も五月蝿く俺をベットから叩き起こすのだろうと、ベットの中でうずくまっている。なんか、華月さんが起こしてくれるから、夏休みなんだと思い始めているのだ。よっぽど重症だ。けれど、今日は一向にその気配がなかった。


 予定より、一時間は経過したか、それ以上か、そのくらいの時間に、俺は夏休みに珍しく、自力で重い目蓋を開ける。もう、如何せん何日ぶりのことだろうか。そう思う暇もなかった。


 目の前に男がいた。

 仰天である。俺はわざとらしくもベットから飛び降りた。


「な、なんでま、ま舞賀さんが!?」


 寝ぼけ眼にはっきりと反射する彼女……、限りなく彼に見えるけれど、その彼女が真ん前にペタリと座っている。


「何でって……、ボクはその、華月さんに頼まれて……」

「頼まれて?」


 はて、その肝心の華月さんは姿が見えないのだれど?どこなんだい?


「四季くんに連絡があるって聞いたのだけれど…」

「連絡?」


 俺はその言葉の真意を確かめるべく、スマホを手に取った。ずいぶんと前にLINEに通知があったらしい。俺はそれに焦りを覚え、慌てて、LINEを開けて、送られた文章を目で追う。


『私は大変不覚ながら、夏風邪を引いてしまいました。憐れな私をどうか……』


 華月さんの懺悔だった。

 懺悔と言ってもどうでもいいような懺悔だった。俺のいよいよ俺の勉強の不出来さに愛想を尽かしたのではないかと心配していたけれど、愁眉を開いた。


「てか、いま10時過ぎじゃん」


 チラリとスマホで時刻が見えたのだ。いつもならもっと早いと言うのに……。舞賀さんだからか?舞賀さんだから、起こしてくれなかったのか?


「今から、起こそうとしていたんだよ…」


 それじゃ遅いのだけれど……。まあ。華月さんがいないからそれを咎める某かも居ない。まあ。自由だ。意図せず、降ってきた自由はどうしよう。途端に暇に変わったのは何かのマジックか?


「暇だよう………。夏休みなんて、そこまでやることはないんだから……」


 虫の息みたいな声を出した。名家の後令婿だから、何かしらあると思ったがないらしい。


「だがな、暇だからと言って男の家にヒョイヒョイくるもんじゃない」


 疑問を呈したそうなくらいの美しい角度で首がぽっきり傾いだ。

 この女ってやつは…本当に襲われてしまうぞ。チキンな男だと言いたげかもだけれどさ。


「君がおんn……」と、言いかけて、無理やり口を塞がれた。軟弱脆弱な彼女からすれば驚きの行動だったが、背景を見れば自ずと納得した。


「星宮?来ていたのか?」


 唇を押さえつけられていたせいで、ややどもった声だった。そんな声で喋るものだからか、星宮は苦笑いで出迎えた。


「まあ。いつもここに来ているから、順当にって感じかな。結音ちゃんが来ないから、僕らは遊んでたよ」


 僕らと言うことは……。


「ほーい\( ̄0 ̄)/呼ばれて飛び出てアンニョンハセヨ!どうもダーリン。ハニーだよ」


 朝からは過剰摂取なテンションの彼女も段々と慣れてきた頃合いだった。

 てか、華月さんが居なくともここはもう既に彼女、彼らの溜まり場になってしまったらしい。


「えっと聖良さんは何をしていたんですか?」

「何してたっていつものように?」


 やっぱゲームか。華月さんが居なくなったら、俺たちに自制心などあるわけないよなあ。ゲームしようぜ。ゲーム。

 ああ。と俺を止めるか如くの声を舞賀さんが漏らしたけれど、お構い無しだ。

 

「舞賀さんってゲーム上手いよね」

「そうなの?ダーリン」


 あれ。俺が寝ている間、三人で対戦とかしなかったのか?


「してないよぉ。星宮とはしたけれど。祈は来てからずっとダーリンの横じゃない」

「はい?」


 ずっと横とは?


「いや、だから、ダーリンの隣でずっと寝顔を見ていたんじゃない?わたくしも初めは一緒に見ていたんだけれど、10分も経たない内に飽きちゃってね。ゲームしちゃった」


 いやいや。お前の事情はどうでもいいんだ。は?つまりは、舞賀さんは数時間は俺の寝顔を観察する何て言う奇矯な振る舞いを見せていたというのか!?


 殆ど夜伽みたいなやつじゃないか。それはもう、華月さんが必要としていることだろう?


「結音は私のことを、好ましく思っていないだろうけれど、検討してみる」


 そういえばそうだった。それが分かるのはまだ先の話か。


「まあ。その結音が、頼みをしてきたなら、遂行をしたい」


 まあ。そうだな。普段頼まない人の頼みごとって嬉しいよな。


「だから、勉強を教えに来た」


 そこに辿りつくらしい。

 思い出したが、彼女は華月さんに次いで二位だった。華月さんの代役と言えば、彼女の他に右に居ないだろう。


 それでも、だ。え?今日は遊ぶんじゃないの?


「遊びたい。けど、進めなかったら、進めなかったで、結音は手段を選ばない」


 もしかしたら、舞賀家本家の方に諫言するとか……。第二次舞賀家騒動は勘弁だ。


「大丈夫。分かりやすく、優しく教えるから」

「易しくして……」


 忌々しき参考書が取り出される。

 俺はもうそれで、死にたくなったのだった。うん。華月さんより舞賀さんの方がましだとか思っていた時期もありました。勉強は誰が教えたとしても、好きになれるものではないと学んだ瞬間だった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ